ルシファービハインドストーリー
ルシファー
訓練の苦痛は、いつまでたっても慣れることはない。しかし、その苦痛に耐えることは苦しいことではない。私は誰よりも強くならなければならない。それが私の宿命なのだ。
力の追求。私は力がなければ存在することができない。
「やはり、天界は絶対的な善である。」
天界は、そんな自己満足のために魔界の血が混ざった私を身ごもった。しかし、彼らは絶対に善良な存在ではない。魔界の血が混ざった私の存在は、天界は絶対的な善であることを見せつけるためのものであり、一方では、偽りがもあるという両面を持ち合わせている存在であった。私は彼らにとって、一番最初に差別の対象とされる存在であり、冷やかしの対象であった。私のことを監視しにくる大天使級の天使たちは、からかうように殺気立ちながら私の首を絞めた。当時の私は、羽も生える前の幼い子供だったというのに・・・。
いつ死ぬかわからないという強迫観念は、私の人生全体を貫いていた。私は彼らの目を避け、静かに力をつけた。終わりのない訓練。いつまで続くのかわからない苦痛。
私は力を隠していたが、普通の天使よりも強いであろうということを、天界の誰もが知っていた。ある日、私は分隊長の地位を任され、戦地へと派遣された。はじめは私も認められるチャンスだと思ったが、やはりそれは錯覚にすぎなかった。敵の隠れた兵力をおびき寄せるためのおとりとして私を使おうとしていたのだ。利用されるだけされて、犬死するわけにはいかなかった。
私は夜遅く、軍団長の寝床へ侵入し、全ての力を振り絞り軍団長を殺した。しかし、初めて使う本当の力を制御するのは簡単なことではなかった。私は暴走した。天界、魔界、誰でもお構いなしにすれ違う者は全員殺した。体の深いところから、力が絶えず沸いてきた。その力には喜怒哀楽全ての感情が混ざりあっていた。私は完全に狂いはじめていた。
その時、目の前を覆う黒い魔力の気配。私はあれを忘れることはできない。魔王様の圧倒的な力が私をあっと驚かせた。私には救援そのものな力だった。
「ルシファー軍団長様。魔王様が出戦待機を命じられました。準備を始めてください。」
私は魔王様と共に歩むことを決めた。魔王様は公平だった。私が強ければ強いほど認めてくださり、欲しいものをくださった。私の出生についての疑問も、一緒に考えてくださるとおっしゃった。」
私は堕天使だ。私よりも先に堕落したのは天界の奴らだという事を私の力で証明するのだ。