仲夏の東屋(2023夏)
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
7510
閑人住宅
入手方法
厳さま2023夏限定建築
物語
蘇が退官して以来毎日考えることといえば、「長い時間をどう過ごすか」だ。本を読んだり、書をしたためたり、草花を育てたり、詩を作ったり……それでも暇になるとどうしようもなく退屈だった。特に真夏になると、湿度の高い江南水都は大きな蒸籠のように地面から熱気が立ちのぼり、蝉の声さえも気力がなく聞こえ、ますます何もやりたくなくなった。ある日の午後、イライラした蘇は、蒲扇を扇ぎながら用事に出かけ、帰りに荒れ果てた涼亭の前を通りかかった。暑くてたまらず、涼亭で一休みしようと腰をおろした瞬間、すがすがしい風が吹き、水のせせらぎが耳に届いた。水に手を伸ばしてみると、ひんやりと冷たい。なんと、この小さな池のなかには、山の湧き水が流れていた。蘇は驚き、周りを観察すると、翌日から職人を引き連れ、最速で涼亭を修繕した。嬉々として涼亭にござを敷き、涼んでみると、通り抜けるそよ風が心地よく、蒲扇もいらないほどだった。以来、蘇は毎日午後になると、普段使っている茶碗や、新鮮な果物など、お気に入りのものを持ち込んで涼亭で昼寝をしていた。果物をよく冷えた水に入れ、目が覚めたら食べるのを楽しんだ。そして、暑い時はこの涼亭を訪ねれば必ず自分は見つかるだろう、と彼は周囲に伝えた。