大禹治水像
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物語
文徴明は『江南攬勝』という本に、大禹治水像を新しく描き、従兄弟である文漢儒にその前書きを頼んだ。文漢儒にとって、こういう依頼は初めてだった。彼は像を見に行き、まわりの住民に尋ねてみた。聞くと、人々は雨が少ないと像に雨乞いし、内水が起こると早く水が引くよう像に祈るのだという。さらに、学生は学業成就を願い、旅人は郷愁を訴え、農民は豊作を祈り……「結局この像は、皆にとっていったい何なんだ？」文漢儒は答えを明らかにしようとしたが、謎は深まるばかりだった。彼は帰って、従兄弟にこの話をした。すると、文徴明は窓の外の賑やかな町を見ながら、こう答えた。「誰もが一生懸命日々を生きている。これが江南水都だ。」文漢儒は悟った。大禹治水像とは、人々がつつがない生活への祈りを託す、心の支えなのだ。そして彼の中に言葉が湧き出し、前書きを書いたのだった。
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