水月の庭
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
50
入手方法
ガチャ(煙雨)
物語
ある雨の日、霜と飛は結婚した。たくさん客を招待する大きな披露宴ではなく、家族や親しい人だけを誘って質素な式を挙げた。元々、霜の父は盛大にと考えていたが、最後は霜の意見を尊重して頷いた。飛はいつも霜のことを大事にしていて、この時も反対の声はもちろん出なかった。結婚後、飛は、城外の二人が出会った場所に屋敷を買った。家は古風で、入り口には小川が流れている。霜は庭に草花を植えたり、金魚を飼ったりした。毎朝、飛は城内の店へ商いに行き、霜はいつも飛を玄関まで見送った。霜は飛に傘を渡しながら言った。「傘を忘れないでね。わざわざ傘を届けに来てくれる人はもういないんだから。」傘を手にした飛は「傘を忘れたとしても、俺はもう泣かないよ」と笑いながら言い返した。飛が出発すると、家の中には、江南水都の独特な静けさが戻ってきた。風が扉と窓の隙間から吹き抜けて、軽く軋んだ音を立てた。案の定、午後には小雨が降ってきた。どこからか風に飛ばされてきた古い唐傘が、家の前の水路に落ちた。雨が屋根瓦を伝い、門前の青石の階段にぽたぽたと垂れていた。霜は部屋に座り、木の窓をあけて、江南の歌を口ずさみながら、手巾の刺繡をしていた。ときどき、少し離れた細い路地を眺めながら、飛が酒を携えて早く帰ってくるのを待っていた。