枯木の芽吹き
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
1510
入手方法
ガチャ(煙雨)
物語
古爺さんの家の前の木には、いつからか新しい芽が出なくなった。人々は、この木はもう死んでしまったのだと思い、もう植え替え時だと古爺さんに言った。人々はお金を集めて、一等いい銀杏を強に運ばせて来た。しかし、古爺さんは頑なに植えようとせず、ただ、いつものように木の下の雑草を刈るばかりだった。人々は頑固な古爺さんを説得することが叶わず、首を横に振りながら帰っていった。強は銀杏の木を抱えたまま取り残され、何をすればいいのか分からず、その場にぼうっと立っていた。「無駄足を運ばせてすまないね。」古爺さんは枯れた手で木の皮を優しく撫でながら言った。強は何か言おうとしたが、「彼女が行ってしまって、この木は枯れた。」古爺さんは言葉を続けた。「いつも思うんだ。もしいつか、この木が再び芽吹いてくれたなら、彼女は帰ってくるんだろうか。」「だが、何年も、待てど暮らせど、一度も……。わしはもう長くはなかろう。その日を待ち続けられるのか……」古爺さんは額を木に当て、声はどんどん低くなっていった。古爺さんが再び顔を上げた時、強はもういなかった。古爺さんは苦笑いした――爺さんの独り言なんて、誰も聞くまい。部屋に戻ろうとすると、後ろから慌ただしい足音が聞こえてきた。強が、大きな袋を担いで戻って来た。「いつまでたっても芽が出ないのは、肥料が足りないからだと思います。」強はそう言って袋を開け、肥料を土に撒いた。「きっとまた会えるよ!」古爺さんはその言葉を聞いて、力強くうなずいた。そして強を見送り、古爺さんも家に帰った。その夜、雨が降り、いくつかの若芽が枝から顔をのぞかせた。新たに芽吹いたその芽は、長い時を経て今、夜明けを、そして古爺さんが目を覚ます時を、今か今かと待ち焦がれた。