割竹毬灯
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
1010
入手方法
ガチャ
物語
お正月、庭は雪化粧し、いつもは華やかな花々も雪に覆われている。安は部屋から出てきて、両手を広げて伸びをした。「窓を隔て風竹を驚かし、門を開けば雪山に満つ」安は隅から箒を取り出し、庭に積もった雪を掃き始めた。寒い日だったが、しばらく働くと安の額には汗がにじんだ。朝の山居は、辺りに人の声こそ聞こえないが、時折犬の鳴き声がして、冬景色に活気を添えた。「一人ぼっちの年越しは、やっぱり寂しいな。」安は新しく書いた対聯を取り出し、門の両側に貼り始めた。「安くん、灯会を見に行くか!」提灯を手にした魚屋のおじさんが、安を呼んだ。しかし安は、風邪気味だからと手を振り、おじさんの誘いを断った。「灯会か、もう何年ぶりだろうね。」安は、初めて書院に入った年に祖父に連れられ、町の灯会を見に行ったことを思い出した。巨大な丸い提灯が、数人に押されながら、目の前を通り過ぎた。安は驚いてすぐに祖父の手を握り、二人はそのまま丸い提灯の後ろについていった。「お爺ちゃん!お爺ちゃん!よく見えないよ。」幼い安は祖父と手を繋ぎ、ずっと笑っていて、最後は祖父の背中で眠ってしまった。門が閉まると、真っ赤な新しい対聯が華やかに貼られていた。大きな赤色の提灯が竹垣に吊り下がり、掃いたばかりの庭にはまた雪が積もっていた。走っていった足跡も次第に雪に覆われていき、その雪の中には、一本の蜀葵の花が咲いていた。人生到る処知んぬ何にか似たる、応に似たるべし飛鴻の雪泥を踏むに。