盆景の照壁
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
1510
入手方法
ガチャ(封神)
物語
その日は天気がよく、虚清は丹薬部屋で炉の火を見つめていた。そこに突然、大宝が綺麗に咲いたサザンカの花の束を抱えて駆け込んできて、宝物を捧げるように目の前に差し出した。「お父さん!お花あげる!」爽やかなお茶の香りがスッと鼻腔を満たす。虚清の心は震えた。最近大宝はいたずらをしなくなったばかりか、時折虚清のためにお茶まで淹れてくれるようになった。成長を思い、虚清が大宝を見る目はますます優しくなった。サザンカを受け取り、鼻先に当てて匂いを嗅いだ。「いい匂いだ!ありがとうな、大宝。」大宝も大喜びで、歯を出して笑った。「お父さん、好き?」「好きだよ。」「よかった、大宝もっと取ってくる!」大宝はそう言って、いそいそと外へ出て行った。虚清は笑いながら後ろ姿を見送り、花を活ける花瓶を探そうとしたが、ふと何かに思い当たり、外へと飛び出して行った。西の塀の下にやってくると、案の定、大宝がぐらぐらと不安定な石の築山に立ち、小さな手を伸ばして、道観で唯一のサザンカの木に触ろうとしていた。虚清は真っ青になり大股で近づくと大宝を抱き下ろした。「お前は猿か、こんな高いところに登って落ちたらどうする!」あまりにも険しい表情に、大宝は口をへの字に曲げ、今にも泣き出しそうになった。「お父さんにお花を摘んであげたかったの。」虚清はため息をついた。それ以上非難の言葉を口にすることはできなかった。それから数日も経たないうちに、虚清はサザンカの木を庭に移し、元の場所には、花の咲く怪石の盆景を据えた。