【ストーリー】EPISODE 12 期待はするなよ?

| EPISODE ◆ 12 期待はするなよ? ハッピービーンズデー |
登場人物
ルーク、トレイ
テキスト全文
── 植物園‐亜熱帯ゾーン ──
ガサガサ…………
ルーク:「補給箱が手つかずのまま残っている。ここを訪れた冒険者はまだ誰もいないようだね。」
カパッ
ルーク:「おお、魔法の迷彩ジャケット!」
ルーク:「それに、これは通信機かな。それから……豆を弾いて避けるラケットだね」
ルーク:「どれもこれからの戦いに役立つものばかりだ。ありがたく頂戴しよう。」
ルーク:「フフ……ヴィルの着こなしアドバイス、少しは活かせているかな?」
ルーク:「(さて、私の予測が正しければもうすぐ“彼”がここへやってくるはず……)」
タッタッタ……
ルーク:「(……来た。この足音、呼吸音。間違いない!)」
ガサッ!
ルーク:「やあ、薔薇の騎士(シュヴァリエ)!!コマンタレヴ?」
トレイ:「うわっ!!??」
トレイ:「……って、なんだルークか。びっくりさせるなよ。」
ルーク:「オーララ、これは失礼。驚かせるつもりはなかったんだが。」
トレイ:「思ってもないことを言うのはよせ。いたずらが成功したような顔してちゃ、説得力ないぞ。」
ルーク:「ふふふ。バレてしまってはしかたない。」
ルーク:「実はね、ここでキミを待っていたのさ。」
トレイ:「待っていたって……どうして俺がここに来るとわかったんだ?」
ルーク:「それはね……」
ルーク:「キミは日頃から常にハーツラビュルの副寮長という立場を自覚し、寮、ひいては寮長である薔薇の君(ロア・ドゥ・ローズ)の」
ルーク:「評価に響くようなシーンではなるたけ優秀な成績を収めようと心がけている。」
ルーク:「試験や学校行事などの他寮から結果が見える場合は、特に。だが、本質的にはあまり目立つことを好まず、」
ルーク:「行事に対して積極性でない傾向がある。そこで私は考えた。おそらく、キミは」
ルーク:「「開始早々に脱落してはハーツラビュル寮の名に傷がつく」と考えるだろうと。」
ルーク:「だが私の知るトレイ・クローバーという人間は「積極的に農民チームを捕まえ、名を上げてやろう」」
ルーク:「というアグレッシヴな姿勢も見せないはずだ。」
ルーク:「となると……」
ルーク:「土地勘があり、なおかつ障害物の多い場所でしばらく敵をやり過ごし、ある程度の時間が経過してから」
ルーク:「行動を開始するのではないか、と仮説をたてた。そこでこの植物園だ。」
ルーク:「視線を遮る障害物が多く、サイエンス部に所属するキミはこの施設の中に関して一般生徒より詳しい。」
ルーク:「つまり……」
ルーク:「「フィールドを探し回るより、ここで待っているほうがトレイくんと遭遇できる確率は高い」」
ルーク:「……と、入学以来サイエンス部でキミと共に過ごしてきた私は考えたわけさ。」
ルーク:「どうだい? 違ったかな?」
トレイ:「あ、あはは……突然早口でまくし立てられたからびっくりしたぞ……。」
トレイ:「お前は本当に他人をよく観察してるんだな。」
トレイ:「ちょっと怖いくらいに。」
ルーク:「お褒めにあずかり光栄だ、友よ。」
トレイ:「ところで、どうして俺を探していたんだ?」
ルーク:「同じ副寮長として、キミと共にこの試合を楽しみたくてね。」
トレイ:「そう思ってくれるのは嬉しいけど……」
トレイ:「さっきルークも言ってたじゃないか。俺は「行事に積極的なタイプではない」って。」
トレイ:「その通りだよ。寮長や後輩たちにどやされない程度に生き残れれば、それでいいんだが……。」
ルーク:「──トレイくん。」
ルーク:「この大会で寮長と副寮長が別の陣営に分けられる理由について、考えたことがあるかい?」
トレイ:「え? 戦力の偏りを避けるため……じゃないのか?」
ルーク:「ああ。でも、この試合では『魔法の使用は禁止』とされているだろう?」
ルーク:「純粋にフィジカル面のみで考えれば、必ずしも寮長が副寮長より優れているとは限らない。」
トレイ:「ふむ……確かに、言われてみるとそうだな。」
トレイ:「それなら、先生たちが偏りを防ごうとする勝敗に深く関係する「戦力」は一体……」
トレイ:「あ。」
ルーク:「ふふ……。」
トレイ:「この行事に参加するのは今回で3回目だが……」
トレイ:「過去2回とも、最後まで粘っている奴らはたいてい3人以上のグループを組んでいた気がする。」
ルーク:「そう。素早い理解だ。さすがトレイくん!」
ルーク:「長たるものに必要な力……それは、人を率いる「統率力」だ。」
ルーク:「こればかりは、実地による経験でしか鍛えられないものだからね。」
トレイ:「なるほどな。確かに複数人でいる方が、様々な陣形をとれて作戦を立てやすい。」
トレイ:「でも偶然遭遇したヤツと即興で協力体制を作る……となると、結構難しくないか?」
トレイ:「うちの学園、協調性がない奴らが多いから。」
ルーク:「しかし、ヴィルは早速そのパワーを発揮しサバナクロー寮生を味方につけていたんだ。」
トレイ:「他寮の生徒をあっさり配下に置くとは。流石はヴィルだな。」
ルーク:「そう! まさしく、ポムフィオーレの寮長にふさわしい人物さ!」
ルーク:「……おそらく、ヴィルはさらに仲間を増やそうと考えるだろう。」
ルーク:「あの美しき猛獣に挑むためには、私も力をつけなくては。」
ルーク:「協力が必要なんだ。——寮長にも負けない、統率力を持つ者の協力が。」
ルーク:「だからどうか、私にキミの力を貸してはくれないか、友よ。」
トレイ:「……やれやれ、わかったよ。」
トレイ:「一緒に行こう。だが、あまり活躍は期待はするなよ?」
ルーク:「メルシー! 薔薇の騎士(シュヴァリエ)!キミの友情に感謝を!」
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