【ストーリー】EPISODE 29 まるで時代劇

| EPISODE ◆ 29 まるで時代劇 ハッピービーンズデー |
登場人物
フロイド、シルバー、ヴィル、リドル、エペル
テキスト全文
── 植物園 ──
???:「──止まれ、お前たち!」
フロイド:「あぁ……?急に出てきてなんなの、クラゲちゃん。」
シルバー:「植物園はすでにジャミル率いる怪物チームに制圧された。」
シルバー:「肉を焼き、ケバブを食べていたカリムたちも全員捕獲されてしまった。」
ヴィル:「なんですって?」
リドル:「一足遅かったか……。」
フロイド:「このすげースパイシーな匂い、ケバブだったんだ。」
エペル:「それは……よだれが出るはずですね。」
シルバー:「今突入するのは、みすみす捕らわれにいくも同然……悪いことは言わない。やめておけ。」
フロイド:「アハッ。オレ、指図されんの大嫌い。」
フロイド:「絞められたくなきゃ、そこどけよ。」
ヴィル:「フロイド。自由にふるまうのもほどほどになさい。」
ヴィル:「大会後に投げ技を教えるかわりに、今日はアタシたちの仲間になると言ったわよね。」
ヴィル:「口約束でも、契約は契約よ。」
ヴィル:「アズール率いるオクタヴィネルの寮生が、あっさりと契約を反故にしていいの?」
フロイド:「…………ベタちゃん先輩、意地悪い言い方すんなぁ。」
フロイド:「はいはい、わかりましたー。」
ヴィル:「まったく……。」
ヴィル:「ところでシルバー、アンタはどうしてここに?」
ヴィル:「アタシと一度遭遇したときには、農民チームであるマレウスを守る、と言ってたわよね。」
ヴィル:「マレウスはここに来る途中でリリアと闘っているのを見かけたけど……。」
シルバー:「……すまない、ヴィル先輩。マレウス様の護衛を託してくれた、貴方の信頼を裏切る形になってしまった。」
ヴィル:「え?ということは、まさか……。」
シルバー:「話せば長くなるが……俺が駆けつけたとき、すでに勝負は決していた。」
シルバー:「俺は、マレウス様をお守りすることができず……」
シルバー:「くっ! 不甲斐ない。護衛として失格だ!!」
シルバー:「親……、リリア先輩やセベクに合わせる顔がない!」
ヴィル:「そのリリアがマレウスを脱落させたんじゃないの?」
シルバー:「……リリア先輩にも、王に刃をむけねばならない事情があったのはわかっている。」
リドル:「事情というか、それがこの大会のルールだと思うのだけれど。」
シルバー:「竪琴奪還の志半ばで道を絶たれ、マレウス様もさぞ無念だっただろう……。」
シルバー:「主君の無念は、家臣であるこの俺が果たす。」
シルバー:「リリア先輩を……」
シルバー:「必ずやこの手で討ち取ってみせる!」
ヴィル:「まるで時代劇ね。ディアソムニアジョーク?」
リドル:「いえ……本気だと思います。シルバーは冗談が言えるタイプではないので。」
フロイド:「クラゲちゃんって、なんかボーッとしたヤツだと思ってたけど……」
フロイド:「結構おもしれーのな。」
エペル:「シルバーサン……わがるや! やらいだら、
やられっぱなしでいられねぇ!」
エペル:「……かな?」
シルバー:「お前たちもマレウス様とリリア先輩の闘う姿を見かけたなら、わかっていると思うが……」
シルバー:「リリア先輩は、強い。情けない話だが、俺が1人で挑んでも勝機は薄いだろう。」
シルバー:「だから、どうか……みんなの力を貸してもらえないだろうか?」
フロイド:「うん。いーよぉ。」
えぇっ!?
フロイド:「なんで驚くんだよ。協力しろっつったの、ベタちゃん先輩とクラゲちゃんじゃん。」
ヴィル:「それはそうだけど。アンタ本当になにごとも急なのよ。」
シルバー:「ああ。俺もこんなにあっさりと了承を得られるとは思っていなかった。」
リドル:「……………」
リドル:「読めたよ、フロイド。」
リドル:「さては物分かりが良いフリをして、ただリリア先輩と戦いたいだけだろう。」
フロイド:「アハッ、ばれた? だってメンダコちゃん、今日会ったヤツの中で一番絞めがいありそうじゃん。」
フロイド:「てか、金魚ちゃんも見たでしょ?メンダコちゃんの、あのすばしっこさ。」
フロイド:「もしコロシアムに張り付かれたら、竪琴奪還がぜってーキツくなる。」
リドル:「!」
リドル:「それは……一理あるね。」
シルバー:「リリア先輩はかつて砦を守らせたら右に出る者はなく「走る城壁」と言われたほどだ。」
シルバー:「神出鬼没で、どこに潜んでいるか予想もできない。」
シルバー:「フロイドの言う通り、リリア先輩がコロシアムの守備につけば、門を突破することは格段に難しくなるな。」
フロイド:「そーいうこと。んなの困るでしょ?ああいうヤツは先に沈めとかなきゃ。」
フロイド:「今どこにいるかわからねーけど、ジェイドは竪琴奪還のために動いてるはず。」
フロイド:「ここぞって時に、それを邪魔されたくねーし。」
エペル:「ジェイドサンのために、リリアサンをやっつけておきたいってこと……かな?」
シルバー:「そうか。フロイドは兄弟想いなんだな。」
フロイド:「クラゲちゃん、言い方キモ……。」
フロイド:「ジェイドにはジェイドの楽しみがあって、オレにはオレの楽しみがある。」
フロイド:「どっちも邪魔されたくないってだけ。」
ヴィル:「それじゃあ、次の目的が決まったところでお互いの状況を共有しましょう。」
シルバー:「了解した。お前たちが来る前、植物園近辺を偵察して得た情報を伝える。」
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