【ストーリー】EPISODE 14 百聞は一見にしかず

| EPISODE ◆ 14 百聞は一見にしかず フェアリーガラIF |
登場人物
ヴィル、シルバー、ジャック、エース、オルト
テキスト全文
── ポムフィオーレ寮‐ボールルーム ──
ヴィル:「はい! はい!ワン・ツー! ワン・ツー!」
シルバー:「オ“ォンッ!」
ジャック:「ヅゥーッ!」
エース:「かけ声きったね。」
オルト:「かけ声っていうより、雄叫びだね。」
ヴィル:「優美なウォーキングをしてほしいのに、全身ガチガチに力が入ってるわね……。」
ヴィル:「アンタたちもしかして、フェアリーガラをボディビルの大会だと思ってる?」
シルバー:「気合いが入りすぎたようだ。」
ジャック:「すんません、つい緊張しちまって。」
オルト:「体組成を測定中……。」
オルト:「わあ! シルバーさんも、ジャック・ハウルさんも、平均値を大きく上回る筋力を保持しているよ!」
オルト:「見た目からして筋肉たっぷりのジャックさんだけじゃなく、シルバーさんもすごい筋肉質な体だ!」
オルト:「……筋肉量の問題じゃないなら、どうしてウォーキングがうまくいかないんだろう?」
ヴィル:「オルトの言う通り、シルバーもジャックも、美しくウォーキングするためのフィジカルは既にある。」
ヴィル:「問題は、美しさを意識した体の使い方を知らないことよ。」
ヴィル:「もっと“美”をイメージしてもらわないと。」
ヴィル:「シルバー。アンタが一番美しいと思うものを思い浮かべて。」
シルバー:「美しい?」
ヴィル:「ファッションに疎いアンタでも、綺麗だと思うことの1つや2つはあるでしょう。それを表現してみるの。」
シルバー:「難しいな。突然言われても、具体的に思い浮かぶものがない。」
シルバー:「……ああ、そうだ。」
ビシッ!
ヴィル:「……それでなにを表しているつもり?険しい表情で直立してるだけじゃない。」
シルバー:「ヴィル先輩だ。」
ヴィル:「え?」
シルバー:「美しいもの、と聞いて最初に閃いたものがヴィル先輩だった。他にはなにも思い浮かばなかった。」
ヴィル:「…………。」
シルバー:「どうだろうか。」
ヴィル:「…………。」
ヴィル:「悪くないわね。」
エース:「褒められて良い気分になってる場合じゃねーから!」
エース:「シルバー先輩、どうみてもただぼーっと突っ立ってるだけじゃないっすか。」
オルト:「ジャック・ハウルさんはどう?美しいものって言われてなにを思い浮かべる?」
ジャック:「改めて聞かれると困るな。」
ジャック:「……これはどうだ?」
ビシッ!
オルト:「肘を直角に曲げて、両手を上げているね。それはなんのポーズ? コートハンガー?」
ジャック:「俺が育てている、サボテンをイメージしてみた。」
エース:「なんでサボテンのポーズでいけると思ったんだよ。ファッションショーだぞ。」
ジャック:「良いだろ別に。美しいものって言われてこれが最初に思い浮かんだんだから。」
オルト:「サボテンを表現するにしたって、」
オルト:「ジャック・ハウルさんならもっとダイナミックなポーズがとれそうなのに……」
オルト:「あっ。わかった!」
オルト:「照れてるんだね!」
ジャック:「て、照れてねえよ!」
ヴィル:「オルトの言う通りみたいね。ジャックにはまだ、自分を“美しく魅せる”ということに抵抗があるみたい。」
ヴィル:「照れが見え隠れするせいで中途半端な印象になって、かえってみっともない。」
ヴィル:「シルバーには逆にあっけらかんとしすぎていて深みがない。」
エース:「この2人、こんな調子で本番に間に合うんすか?ファッションショーは明日の昼っすよ。」
ヴィル:「特訓次第だけど……」
ヴィル:「幸いにも、2人は1番大切なものを既に備えているわ。」
エース・オルト:「大切なもの?」
ヴィル:「それは……」
ヴィル:「素直さよ!」
ヴィル:「いくわよシルバー! ジャック!」
シルバー・ジャック:「!?」
ヴィル:「アンタたちに必要なのは美を表現するしなやかさ!」
ヴィル:「まずは柔軟の特訓。前後に180度開脚して太ももに頬が当たるようになるまで寝かせないわ。」
ヴィル:「そのあと平均台の上を往復2000回歩いて、姿勢の矯正をしながら、ポージングの練習!」
ヴィル:「もちろんポーズに気を取られて平均台から落ちたら、また最初からカウントし直しよ。」
シルバー:「経験したことのない訓練だ。だが努力すれば乗り越えられるはず。」
ジャック:「ヴィル先輩直々の特訓……燃えてきたぜ。上等だ!」
ヴィル:「ついてこられるわね!」
シルバー・ジャック:「おう!!!!」
エース:「うわ~、この体育会系のノリ、オレには無理すぎ……。」
ヴィル:「さて。お次は主役の……。」
オルト:「僕だね!」
エース:「ん? なんかやけに余裕たっぷりだな。」
ヴィル:「ショーの主役であるアンタには、シルバーたちよりも更に高いレベルの演技が求められているわ。」
ヴィル:「自信があるの?」
オルト:「もちろん! 絶対に、失敗なんてしようのないプランを考えたんだ。」
オルト:「ふふふ、百聞は一見にしかず。もう1度3人で合わせてみてもいい?」
シルバー:「ああ。俺たちもいい練習になる。」
オルト:「それじゃあ、音楽スタート!」
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