【ストーリー】EPISODE 7-28 噴出エモーション!

| EPISODE ◆ 7-28 噴出エモーション! 深淵の支配者 |
登場人物
シルバー、マレウス
テキスト全文
── メインストリート ──
シルバー:「マレウス様!」
シルバー:「どこにいらっしゃるのです、」
シルバー:「マレウス様!」
びゅううう……
シルバー:「……なんだ? もう春だというのに、急に冷えてきたな。」
シルバー:「雪までちらついて……」
シルバー:「……!」
シルバー:「マレウス様!」
マレウス:「……」
マレウス:「ん? ああ、シルバーか。」
シルバー:「ここにいらっしゃったのですね。お捜ししておりました。」
シルバー:「今日は父の送別会の日。」
シルバー:「どうかお別れの前にひと目だけでも、父に会って言葉をかけてやっていただけませんか。」
マレウス:「……」
マレウス:「祝いの席はもう始まっているのか。」
マレウス:「僕も招待状を受け取った。」
マレウス:「旅立つリリアに祝福を贈らなくてはならないな。」
マレウス:「かつて茨の魔女は王宮のパーティーで、みなが驚く素晴らしい贈り物をしたという。」
マレウス:「ディアソムニアの長として、僕も茨の魔女に恥じぬ贈り物をしなくては。」
シルバー:「そんな……マレウス様がご参列くださるだけで父にとっては充分かと。」
マレウス:「ずっと考えていた。あいつにどんな贈り物をするべきか……。」
マレウス:「………………。」
びゅうううう……
シルバー:「うっ……吹雪いてきた。」
シルバー:「マレウス様、今夜はやけに冷えます。早く寮へ戻りましょう。」
マレウス:「冷える?」
マレウス:「ああ、しまった。また僕は無意識に……。」
シルバー:「(……吹雪が止まった?)」
シルバー:「(マレウス様がお怒りになると雷鳴が轟くことは谷でも有名だが……)」
シルバー:「(まさかこの吹雪も、マレウス様の感情の乱れによる影響?)」
シルバー:「(マレウス様……表情には出していらっしゃらないが、」
シルバー:「やはり親父殿との別れがお辛いのだろうか)」
シルバー:「(当然だ。マレウス様は俺よりもずっと長い時間を」
シルバー:「親父殿と過ごしてきた)」
シルバー:「(俺など、たったの17年しか……)」
シルバー:「……………………」
シルバー:「っ。」
マレウス:「ふむ……ここで悩んでいてもキリがないな。」
マレウス:「送別会に向かおう。」
シルバー:「…………先に……戻っていて、」
シルバー:「くださいますか。」
マレウス:「シルバー?」
シルバー:「俺も、すぐに、追いかけます………」
シルバー:「グスッ。」
マレウス:「どうした?」
マレウス:「……泣いているのか?」
シルバー:「も、申し訳、ありません。」
シルバー:「グスッ……情けない姿をお見せして。」
マレウス:「別に情けなくなどない。子どもは泣くものだ。」
シルバー:「俺はもう17です。来年成人します。」
シルバー:「マレウス様や親父殿から見れば、子ども同然でしょうが……。」
シルバー:「17年前……親父殿は茨の谷の森の奥深くで、」
シルバー:「赤子だった俺を拾った。」
マレウス:「…………。」
シルバー:「親父殿は妖精、俺は人間です。」
シルバー:「血のつながりも、育てる義務も……なにもない。」
シルバー:「なのに、」
シルバー:「あの人は俺を我が子同然に育ててくれました。」
シルバー:「毎日食事を与え、稽古をつけ、」
シルバー:「寝込んだ夜は一晩中そばにいてくれた。」
シルバー:「妖精と人間は、脆さも成長スピードも……」
シルバー:「なにもかも違う。」
シルバー:「茨の谷には人間の育て方を知る者がほとんどいない。」
シルバー:「そのうえ父は独り身です。」
シルバー:「頼れる相手もいない中、手探りで人間の赤ん坊を育てるのが」
シルバー:「どれほど大変だったか……」
シルバー:「感謝してもしきれません。一生かけて、」
シルバー:「恩を返していくつもりでしたッ……!」
シルバー:「なのに……まだ俺は、あの人になにひとつ」
シルバー:「返せていないのに!」
シルバー:「あの人は独り、」
シルバー:「遠い国で最期を迎えようとしている。」
マレウス:「………………。」
シルバー:「俺はっ……」
シルバー:「親父殿が魔法を使えなくなり、身体が衰えて……」
シルバー:「もしすべてを忘れてしまう日がきても、」
シルバー:「ずっと側で支えていけたらと……!」
マレウス:「……リリアは良い息子を持ったな。」
シルバー:「全然良い息子なんかじゃありません。父親の願いひとつ、叶えてやることができない。」
シルバー:「あの人の望み通り、笑顔で送り出してあげたいのに……」
シルバー:「俺は、俺は……っ」
シルバー:「う、ううっ……!」
マレウス:「…………。」
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