【ストーリー】EPISODE 7-216 離脱リード!

| EPISODE ◆ 7-216 離脱リード! 深淵の支配者 |
登場人物
セベク、ラギー、オルト、グリム、店員、アズール、ジャック、イデア、シルバー
テキスト全文
── 夕焼けの草原‐サンセット・ヴィラ ──
セベク:「おぉ……随分と洒落た店だな。」
ラギー:「王都で一番高級なホテルのレストランッスからね。」
セベク:「なにっ? そんなところに来て大丈夫なのか?」
ラギー:「もちろん。だって支払いはシュラウド家がもってくれるんでしょ?」
ラギー:「前にレオナさんから聞いたんスよ。」
ラギー:「シュラウド家はあのジュピター財閥の分家で、すげー金持ちだって。シシシッ!」
オルト:「その情報は間違いではないし、夢の中だからどれだけ食べても問題はないけど……。」
ラギー:「オレ、ここで腹いっぱい食べるの夢だったんスよね。肉料理が絶品って噂で。」
グリム:「にゃにっ! 肉っ? オレ様も食べたいんだゾ!」
ラギー:「あ、お姉さーん! この店にあるだけのごちそうをテーブルいっぱい持ってきて欲しいッス!」
店員:「申し訳ありません、お客様。本日、メニューの食材を全て切らしておりまして。」
店員:「入荷予定も未定となっております。」
グリム・ラギー:「ええ~~~~~~~~~~っ!」
オルト:「やっぱり。さっき王宮で聞いた話によれば、この国は今、食糧難に陥っている。」
オルト:「高級ホテルも例外ではないはずだよ。」
店員:「お客様のおっしゃるとおりの状態で……お水すらご用意できず申し訳ございません。」
店員:「せめてお席はご自由にお使いくださいませ。」
ラギー:「そんなぁ……タダメシを腹いっぱい食べてやる予定だったのに!」
グリム:「肉どころか水もないなんて。オレ様たち、この夢にいるあいだは何を食べればいいんだゾ~!」
セベク:「まったく、呑気な奴らだ。食事の心配をしている場合ではないだろう。」
アズール:「セベクさんの言う通りです。早急にレオナさんを夢から醒ます方法を考えなくては。」
ジャック:「レオナ先輩……学園に通っていないどころか、まさか夕焼けの草原の王様になっちまってるなんて。」
ラギー:「しかも無茶な開発で国はメチャクチャ、民衆に「王様はいらない!」ってデモまで起こされちゃってる。」
ラギー:「まぁ、らしいっちゃらしいッスけど……。」
オルト:「『S.T.Y.X.』で行った検査のなかで、」
オルト:「レオナ・キングスカラーさんは夢が夢だと気づきやすいタイプだって結果が出てたはず。」
オルト:「なのに、今の彼はこれを夢だと気づいていないばかりか、かなり深く夢に耽っているみたいだ。」
イデア:「気づきやすい“タイプ”ってだけで、100%の確率で夢だと気づける人間はこの世にいない。」
イデア:「しかもこれはただの夢じゃなく、マレウス氏の作り出した魔法領域によるもの。」
イデア:「シルバー氏みたいな特例以外は、自力で覚醒するのはほぼ不可能でしょうな。」
シルバー:「……だが、やはり変だ。マレウス様の魔法が見せる夢は、夢の主にとって幸せなもののはず。」
シルバー:「なのに、なぜレオナ先輩は家族を失い、さらに国民に憎まれる王になる辛い夢を……?」
アズール:「ええ。この状況が彼にとって幸せだとは、とても思えません。」
ジャック:「夢の中なんだから、少々無茶でもレオナ先輩の開発計画は大成功しててもいいはずだよな。」
ラギー:「そうッスよねぇ。なんで「レオナ王最高!」「王様バンザイ!」って夢じゃねぇんだろ。」
イデア:「こ、これは仮説だけど……」
イデア:「レオナ氏の夢は、サンドボックスゲームみたいに構築されてるんじゃないかな……。」
サンドボックスゲーム?
イデア:「あ、え、えっと……サンドボックスゲームっていうのは、その名の通り砂場遊びみたいなゲームの総称。」
イデア:「RPGとかFPSみたいに決められたストーリーやタスクをこなすんじゃなくて、」
イデア:「自分で自由に遊び方を決められるんだよ。ブロックを積んで城や遊園地を建設してもいいし……」
イデア:「危険な火山を冒険してレア鉱石を掘りまくっても、家畜を育てて増やすことに命をかけてもいい。」
イデア:「そうやって、自分だけの世界を構築していく……それがサンドボックスゲーム。」
セベク:「なんだそれは。まるで子どもの遊びではないか。」
イデア:「子どもの遊び?おやおや、セベク氏はご存知ないんですなぁ。」
イデア:「サンドボックスゲームに、かなり高度なシミュレーション要素が含まれていることを。」
イデア:「確かに若年層にも人気高いけど、“ドハマリ”するのはむしろ凝り性の大人って言われてるんスわ。」
イデア:「プレイヤーは自分のサーバーの中で自由に世界を創造できる。」
イデア:「でも、『創造』すると環境破壊や資源の枯渇もセットになってくるシステムなんだよ。」
イデア:「資源を過剰に採取すれば再生が困難になるし、予期せぬ崩落や自然災害だってある。」
イデア:「外敵が侵略してくることもあるから、防衛手段も考えなきゃいけない……。」
イデア:「農業や鉱業の自動化、インフラの整備、ロジスティクスとそれに伴うリスク回避……」
イデア:「やろうと思えば、いくらでもやりこめるわけ。」
イデア:「ただ現実のサンドボックスゲームは、PCやゲーム機の性能による制限と限界がある。でも……」
イデア:「マレウス氏の魔法領域内では、イマジネーションさえ働かせれば……」
イデア:「超リアルなグラフィック機能と物理シミュレーションで、没入感満載のゲーム体験が約束されてる。」
イデア:「自分のイマジネーションが尽きない限り、無限に『創造』と『破壊』の体験ができるんだ。」
イデア:「そんなん、頭がいい奴ほど絶対ドハマリするでしょ。」
アズール:「大体のシステムは掴めてきました。しかし……」
アズール:「夢の中を自由に創造できるなら、環境破壊や民衆からの反発などを制御することも可能なのでは?」
オルト:「現実のサンドボックスゲームでも敵が登場しなかったり、」
オルト:「無限に資源やアイテムを手に入れられるモードは存在するけど……。」
オルト:「レオナさんが選択したモードは、よりリアルな環境シミュレーションなのかもしれない。」
シルバー:「フロイドの夢とは違い、何でも上手くいくようにはなっていない……ということか?」
オルト:「いや、“急速な都市開発には大きなリスクが伴う”ことを彼は明確に理解していて……」
オルト:「それがリアリティとして自分の夢(自サーバー)に反映されている状態なんじゃないかな。」
ジャック:「オルトの言ってることの意味はわかる。でも、余計わけがわからなくなってきたぜ。」
ジャック:「リスクを予見できていたなら、何でレオナ先輩は無茶な計画を実行に移しちまったんだ?」
オルト:「それは…………。」
ラギー:「本来我慢すべきことを、我慢せずやっちまってる気がする。」
え?
グリム:「どういうことなんだゾ?」
ラギー:「なんつーか「やめたほうがいいよなぁ~」って思いながら食う夜中のピザって……」
ラギー:「その背徳感込みで、すっげぇ美味くないスか?」
わかる……!!
オルト:「兄さんも、僕に怒られるってわかっていながら真夜中にインスタントラーメン食べてる!」
ジャック:「冷蔵庫で寝かせて味を染み込ませてる最中の洋ナシのコンポートのつまみ食い、」
ジャック:「どうしてもやめられねぇんだよな……。」
グリム:「夜中にキッチンに忍び込んで食べるツナ缶って、なんでかわかんねぇけど昼間に食べるよりウメェんだゾ。」
選択肢:
├ [ 深夜のスナック菓子……罪の味! ]
└ [ 深夜のアイスクリーム……背徳の味! ]
セベク:「なんと意地汚い奴らだ。僕はそんなことはしないぞ!」
シルバー:「夜中にキッチンに忍び込み、朝食用のバゲットを2本も平らげて母君に叱られたのを忘れたのか、セベク?」
セベク:「ばっ……それはまだ子どもの頃の話だろう!」
ラギー:「夜中のドカ食いなんか、身体に良いわきゃない。んなこた誰だって頭じゃ理解してんスよ。」
ラギー:「それでも誘惑に抗えないことってあるじゃないッスか。」
アズール:「わかります。」
アズール:「売上データの入力作業が終わった後に食べる深夜の唐揚げほど美味しいものはない……」
アズール:「ゴホン!!」
アズール:「つまり、レオナさんは環境破壊や国民からの反発は織り込み済みで……」
アズール:「我慢せず自分の好きにふるまう快楽と背徳感に浸っている。」
アズール:「ラギーさんはそう言いたいんですね?」
ラギー:「断言はできないッスけど。“ワルイコト”すんのが好きな王子様なのは間違いないッスから。」
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