【ストーリー】EPISODE 7-217 分析プリンス!

| EPISODE ◆ 7-217 分析プリンス! 深淵の支配者 |
登場人物
イデア、セベク、シルバー、オルト、ラギー、ジャック、アズール、グリム
テキスト全文
── 夕焼けの草原‐サンセット・ヴィラ ──
イデア:「それがレオナ氏の場合は摘み食いじゃなく、一国の改革ってところが厄介っすな……。」
セベク:「しかも奴は好き勝手開発を進めた後、上手くいかなくなったからと投げ出している。」
セベク:「王として最悪の所業ではないか!」
セベク:「家族を亡き者にしてまで、王になりたかったのだろう。」
セベク:「なのに、何故責務を放棄する!?」
イデア:「せ、正確な理由はわからないけど、原因はいくつか思い当たる。」
イデア:「えと、せ、拙者レオナ氏の夢に入ったときに、違和感を覚えて調べ物をしはじめたでしょ……。」
イデア:「あれ、レオナ氏のイマジネーションが構成してる夢の範囲を調べてたんすわ。」
シルバー:「もしや、夢の持ち主と離れすぎると夢が崩壊し、深淵に呑み込まれてしまうあの現象について調べたのか?」
イデア:「う、うん……あれって『プロシージャル生成』みたいなもんなんだよね。」
イデア:「たとえば……」
イデア:「一般的なゲームでは、マップがデータとしてあらかじめ用意されているけど、そうでないものもある。」
イデア:「プレイヤーが移動するたび、」
イデア:「アルゴリズムに基づいて、プレイヤー周辺に
自動的にマップが生成されるんだ。」
イデア:「夢もそれとほぼ同じシステムで、夢の主のイマジネー
ションが行き渡ってる場所のみが生成されてる。」
イデア:「で、意識から外れてる部分は具現化してない。」
イデア:「だから夢の主と離れすぎると行き止まりになってたり深淵が口を開けてたりする。」
イデア:「でも調査の結果、レオナ氏の夢はマップの生成範囲がとんでもなく広いことが発覚した。」
イデア:「ほぼほぼ夕焼けの草原全土が常時生成され続けてるんだ。」
ええっ!?
オルト:「そっか……国レベルの経済やインフラ全体をシミュレーションしているんだから、」
オルト:「国土全体に生成範囲が及んでても不思議じゃないよね。」
イデア:「きっと最初は立案した都市開発がサクサク進んで、最高に楽しかったんだと思うんだよね。」
イデア:「でも……」
イデア:「大風呂敷を広げた結果、生まれたのは膨大な作業。枯渇する資源、食料、そして湧き続けるトラブル。」
イデア:「そうなってくると、何から手を付けていいんだかわからなくなり、モチベが下がり続け……」
イデア:「「これもう完成するの無理じゃね?」ってなって全部放置……みたいな?」
ラギー:「うわ~……すっげぇレオナさんっぽいッス……。」
ジャック:「マジフト大会のときも、同じようなパターンだったよな……。」
アズール:「失敗することは薄々気づいてた。それなのに彼は遂行することを選んだ……ということですね。」
アズール:「なんというか、非常に面倒臭……いえ、複雑な人だな。」
シルバー:「ああ。それゆえか、レオナ先輩の夢の作り込みは非常に複雑かつ精巧だ。」
シルバー:「少々ショックを与えたくらいでは目醒めさせるのは難しいだろう。」
グリム:「そーだな。セベクみてーにポカッとやられただけじゃ、レオナは目を醒ましそうにねえんだゾ。」
セベク:「いちいち僕と比較するな!」
セベク:「では、どうやってレオナ先輩を目醒めさせる?」
アズール:「……コントローラーを取り上げるしか、ないんじゃないでしょうか。」
ジャック:「コントローラー?」
アズール:「彼が巨大なサンドボックスゲームをプレイしていられるのは、」
アズール:「国のすべてをコントロールできる『国王』という立場だからです。」
アズール:「ですから、どうにかして国王の権限(コントローラー)を取り上げてしまえば、」
アズール:「彼は嫌でもサンドボックスゲームを止めざるを得なくなる。」
オルト:「確かに! それが出来れば、強制的に現実に引き戻すことができるかもしれない。」
ラギー:「なら……」
ラギー・ジャック:「王様を玉座から引きずり下ろすしかない!」
ジャック:「……つっても、どうやって?」
セベク:「過去の歴史では、王を追放するには革命を起こし、新しい王を立てるのが定石だ。」
選択肢:
├ でも、新しい王って? ]
└ [ でも、革命を起こす方法って? ]
ラギー:「うーん。細かいことは抜きにして……」
ラギー:「何故か生き延びていたチェカくんが「おじたん、ただいま~!」つって登場したら、一発なんスけどねぇ。」
それだ~っ!!
ラギー:「えっ!?で、でもこの夢ン中じゃ、あの子はもう……。」
オルト:「世界最先端の『S.T.Y.X.』の技術をナメてもらっちゃ困るなぁ!」
オルト:「現実のチェカさんの写真から、3Dデータを作成してホログラムで出力をすれば……。」
ジャック:「か、勝手にそんなことしていいのかよ!?」
オルト:「現実でやったらかなりマズいと思うけど、ここは夢の中だし……」
オルト:「そもそも、夢の中とはいえ勝手に存在を抹消してるほうが倫理的に問題があると思わない?」
ラギー:「おっしゃるとおり。ぐうの音も出ないッスね。」
オルト:「よし……『S.T.Y.X.』からチェカさんのダミーデータの[DL(ダウンロード)が完了。出力するよ。」
おお~っ!
シルバー:「これが夕焼けの草原のチェカ王子か……初めて見たが、まだこんなに幼いんだな。」
グリム:「マジフト大会のときに学園に遊びにきてたんだゾ。保健室でレオナの腹の上に乗っかって大騒ぎ……ん?」
グリム:「オルト。チェカのヤツ、さっきから全然動かねぇんだゾ。どうしたんだ?」
オルト:「実は……」
オルト:「『S.T.Y.X.』の技術をもってしても、この短時間で作り出せたのはビジュアルの3Dモデルだけなんだ。」
ええーっ!?
イデア:「以前のオーバーブロット問題で全在校生を調査済みのナイトレイブンカレッジ生と違って……」
イデア:「チェカ氏は他国の幼い王族。今までと同じようにサクッと作れってほうが無理。」
オルト:「音声や行動パターンのアルゴリズムを組み込んで自律行動をさせるには、データが不足しすぎてて……。」
アズール:「つまりこのチェカ王子は、全く動かないマネキンということですか?」
グリム:「あんな自信満々だったクセに、ポンコツじゃねぇか!」
オルト:「も、もう! みんな文句ばっかり言わないでよ!」
オルト:「時間がない中、『S.T.Y.X.』のエンジニアたちだって最大限頑張ってるんだから。」
セベク:「しかし動きも喋りもしないのでは、すぐに偽物だと看破されてしまうぞ。」
選択肢:
├ [ 腹話術で喋らせるとか? ]
└ [ 二人羽織をして動かすとか? ]
ジャック:「それもすぐにバレるだろ!せめて魔法で操るとか……」
ジャック:「ん?」
ジャック:「魔法で……?」
グリム:「操る……?」
ラギー:「…………ん?」
ラギー:「『王様も、ハイエナも、みーんなオレのオトモダチ!』」
ラギー:「『愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)』!」
おお~~っ!
セベク:「チェカ王子のダミーデータが、」
セベク:「本当に生き生きと動き出したぞ!」
アズール:「本当に愛くるしい子どもの動きだ。」
アズール:「少し離れた場所で全く同じ動きと表情をラギーさんがしていると考えると、微妙な気持ちにはなりますが。」
セベク:「マジフト大会の事件の時は、なんと卑劣なユニーク魔法だと思ったものだが……」
セベク:「見事な手腕ではないか、ラギー先輩!」
ラギー:「みんなして褒めてんだか貶してんだかって感じだけど……」
ラギー:「まあ、どーもッス。」
ラギー:「でも、オレの魔法の継続時間はもって数秒。」
ラギー:「データは無抵抗だし、連続してかけることもできなくはないッスけど……」
ラギー:「魔法が切れるたびに動きが止まるから、かなりカクカクしてる。本当に大丈夫ッスかねぇ……?」
ラギー:「移動はジャックくんにオオカミになってもらって、背中に乗せてもらえると助かるなぁ。」
ジャック:「それはいいっすけど。わんぱくなチェカ王子がずっと無言なのは、さすがに違和感があるぜ。」
イデア:「ここはやはり、チェカ氏に会ったことがあるラギー氏に、」
イデア:「モーションだけでなく音声も担当していただくべきなのではありませぬか?」
オルト:「チェカさんのモデルに遠隔操作対応の小型スピーカーを搭載することは可能だよ。」
ラギー:「ちょっと! アンタらオレのことこき使いすぎじゃないッスか!?」
ラギー:「つーか流石に無理あるって。オレ、とっくに声変わりしてんスよ。」
ラギー:「まだオルトくんのほうが適役でしょ。」
オルト:「僕、チェカさんがどんな人物像か知らないもん。」
シルバー:「行方不明になっていた間に、声変わりをしたことにすれば問題ないんじゃないか?」
シルバー:「「子どもの成長は早い。目を離したほんの一瞬で驚くほど成長する」……と父も言っていた。」
ラギー:「「ほんの一瞬」で声変わりするわけないって。何年子どもから目ぇ離してたんスか!?」
セベク:「今は一刻を争うのだ。覚悟を決めろ、ラギー先輩!」
ジャック:「ラギー先輩、ここまできたら腹くくるしかないっすよ!」
ラギー:「うぅう、どうしてオレが……」
ラギー:「あー、もー! こうなりゃヤケだ。やってやろうじゃないッスか!」
ラギー:「オレのユニーク魔法で革命を起こして、世界をひっくり返してやる!」
< >

