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【ストーリー】EPISODE 7-263 大量ディッシュ!

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最終更新者: novira

EPISODE ◆ 7-263

大量ディッシュ!
深淵の支配者

登場人物

イデア、トレイ、ケイト、レオナ


テキスト全文

── ハーツラビュル寮‐キッチン ──


イデア:「え、えと……トレイ氏って昔からお菓子作るのが好きなの?」

トレイ:「好きというか……俺の実家は薔薇の王国のケーキ屋でさ。」

トレイ:「小さいときからお菓子作りは日常だったから、好きとか嫌いとかはあまり考えたことなかったな。」

イデア:「あー。せ、拙者も生まれたときからプログラミングや魔導工学が日常的にあったし……。」

イデア:「そ、それと同じ感じね。理解。」

ケイト:「2人とも小さい頃からそれをずっと続けてきてるんだから、普通に好きなんだと思うけどな。」

ケイト:「でも、今ほどドハマリするにはなにかキッカケがあったんじゃない?」

トレイ:「キッカケかぁ……。俺、エレメンタリースクールの頃から科学の実験の授業が好きでさ。」

トレイ:「実はお菓子作りって、すごく科学の実験に似てるんだ。」

トレイ:「材料の割合、オーブンの温度、それからキッチンの湿度まで全部が出来上がりに影響してくるのが面白い。」

トレイ:「スイーツが自分の想像通りの仕上がりになった時の満足感は、ほかじゃなかなか味わえないよ!」

トレイ:「しかもその成果物は、俺だけじゃなく他人を満たすこともできる。一石二鳥だろ?」

レオナ:「はっ。食う人間の満足感はテメェにとっちゃあくまで副産物ってことか。」

トレイ:「副産物とまでは言わないけど……「美味しい」と言ってもらえれば、もちろん嬉しいよ。自信もつくしな。」

トレイ:「実家にいた頃は、店の休業日とか営業終了後を見計らって道具を使わせてもらってたんだが……」

トレイ:「ハーツラビュルに入寮してみたら……」

トレイ:「ほら!こんなに大きくて立派なキッチンがあったんだ!」

トレイ:「おかげで作りたい放題だが、俺はお菓子を大量に作ることはできても、それを完食できるわけじゃない。」

トレイ:「チェーニャや寮生たちが喜んで平らげてくれるから、余らせなくて済んでありがたいよ。」

トレイ:「リドルも昔じゃ考えられないくらい、好きなものを好きなだけ食べてくれてる。」

トレイ:「よかったよ……本当に。」

レオナ:「随分と含みのある語り口だな。何かあったのか?」

トレイ:「いや、大した話じゃないんだが……」

トレイ:「俺が9歳か10歳の頃、チェーニャと一緒になってリドルを家から連れ出したことがあって。」

トレイ:「「近所で一番立派な家に住んでいるのはどんな子か見てみよう」って、あいつの家の庭に忍び込んだんだ。」

トレイ:「リドルは俺の弟と同い年……いや、1学年上だったかな?」

トレイ:「なのに、随分大人びてて、植物や虫の名前もなんでも知ってた。」

トレイ:「俺たちが高い木の枝にひっかけたサッカーボールも魔法で軽々取ってくれて……。」

トレイ:「賢い弟分ができたって、俺たちはいい気になった。それで、俺たちは何度もあいつを外に連れ出したんだ。」

トレイ:「ほんの出来心だった。」

トレイ:「でも…………。」

トレイ:「あいつを自習時間に連れ出してたことと、」

トレイ:「うちの店のイチゴタルトを1切れ食べさせたのが」

トレイ:「あいつの母親にバレてな。」

トレイ:「そりゃもう、大変なことになった。」

ケイト:「クローバー家揃って、バッチバチに詰められたんだっけ? 5時間も。」

イデア・レオナ:「5時間っ!?」

イデア:「え、やば………タルト1切れで5時間説教!?」

レオナ:「王宮の口うるさい教育係どもでも、そんな長時間説教しねぇぞ。」

トレイ:「リドルの家の教育方針として、お菓子は食べさせない決まりだったらしいんだ。」

イデア:「で、で、でも食品のアレルギーがあったりしたわけじゃないんでしょ?」

イデア:「イチゴタルトは確かにお菓子だし、カロリーは高いけど……」

イデア:「分解すればただの糖質とタンパク質と脂質だし……。」

イデア:「主食に含まれてる成分と、構成的にはあんまり変わりないじゃん。」

ケイト:「それなー。クローバー一家、可哀想すぎる。話聞いた時、「リドルママ、マジでやばすぎ」って思った。」

トレイ:「まあ……家庭ごとの方針もあるし、あまり悪くは言えないけどな。」

ケイト:「でもリドルくん、実家にいた頃は食事をグラム単位で管理されてたんでしょ。」

ケイト:「色々あったあとに一緒にランチしたんだけど、その話がサラッと出てきて場が凍ったよ。」

イデア:「ぅげぇ……。あ、あぁ~……なるほど。」

イデア:「人為的に造られたアスリート……そういうことね……。」

レオナ:「ふん。飯の不味くなる話だ。」

トレイ:「怒鳴り込まれたことに関しては、今となっては笑い話だよ。うちの親もあまり気にしてないし。」

トレイ:「それに、親元から離れたことでリドルにもかなり変化があったみたいなんだ。」

トレイ:「チェーニャの後押しもあってか、今では自分の好きなものを好きなだけ食べてくれる。」

トレイ:「本人に言うと怒るだろうけど、俺もチェーニャもリドルのことは弟みたいに思ってるから……」

トレイ:「たくさん食べて、大きく育っていってる姿を見ると頼もしい気持ちにもなるよ。」

トレイ:「おっと、クッキーが焼けたみたいだな。」

トレイ:「もうすぐ16時のお茶の時間だ。出来上がったお菓子を盛り付けて庭に運ばないと。」

ケイト:「トレイくんはああ言ってるけど、絶対トラウマもんでしょ、さっきの話。」

イデア:「言えてる。拙者だったらもう二度とリドル氏に近づかない……。」

イデア:「トレイ氏、なんで現実で副寮長やってんの?もしかして心臓が鋼鉄製かなんか?」

レオナ:「副寮長の選出方法は、寮長の指名、立候補、あとは寮生の投票で決める方法がある。」

レオナ:「どうせリドルに指名されて、渋々腹をくくったんだろう。」

ケイト:「いや、それがそうじゃないんだなぁ、これが。」


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