【ストーリー】EPISODE 1-19 恨みというより妬み

| - 恨みというより妬み 注目カレッジ! |
登場人物
女性A、男性B、イデア、ジェイド、アズール、オルト
テキスト全文
── 図書室‐エントランスホール ──
女性A:「ねえ見て、とっても綺麗なイルミネーション……幻想的にライトがゆらいでて、すごくロマンチック。」
男性B:「小鳥の声が聞こえてくる。本当に森の中にいるみたいで、リラックスできるね。」
男性B:「あっ、今本棚に映ってるカボチャのツルハート型になってない?」
女性A:「え、どこどこ?……ほんとだ、かわいい~~!」
イデア:「……。」
イデア:「ロマンチック? ハート? かわいい?」
イデア:「霧のたちこめる森のどこが「ロマンチック」で「かわいい」んだ?」
イデア:「リスペクト元のホラー映画『パンプキン・ホロウ』と同じように、どう見ても「怖い」だろ!」
イデア:「ツルの形はたまたまハートっぽく見えただけで意図してるわけじゃないし……」
イデア:「そもそもイルミネーションじゃないですし。プロジェクションマッピングですし。」
男性B:「わあ!ジャック・オ・ランタンが飛び出してきた。」
女性A:「愛嬌があってかわいい~~~!」
イデア:「出たまた「かわいい」!パリピはなにを見てもそう言って盛り上がる!!」
イデア:「そんなに「かわいい」が好きなら本に溢れた暗い図書館に来るんじゃなく……」
イデア:「みんなで自慢のお料理持ち寄って、お洒落なホームパーティーでも開けばいいんですよ!」
ジェイド:「イデアさん、あの方々になにか恨みがおありなんですか?」
アズール:「恨みというより妬みでしょうね。」
イデア:「は?妬んでなんかないですけど?」
イデア:「僕の志高いプロジェクションマッピングを見せるには、もったいないって言ってるだけ。」
イデア:「どうせ最後に僕が仮装で登場したって、奴らは……」
イデア:「「カボチャのゴーストちゃんだ~~かわいい~~♡」」
イデア:「……って言うんですよ!」
アズール:「あながち否定もできませんが……。」
イデア:「でしょ?こんなの『パンプキン・ホロウ』への侮辱だ!」
イデア:「もしもうちのハロウィーンの噂だけ聞いた人に……」
イデア:「「へえ、『パンプキン・ホロウ』ってかわいいんだ♡」」
イデア:「なんて思われたら……!」
イデア:「拙者原作クラッシャーではないですか!!!」
イデア:「そんな大罪を犯すぐらいなら、いっそプロジェクションマッピングを中止したほうがマシ!」
ジェイド・アズール:「中止!?」
アズール:「今年のハロウィーンは人が増えたのでなにか起こるんじゃないかとは思いましたが……」
ジェイド:「念の為に確認しにきて正解でしたね。」
オルト:「アズール・アーシェングロットさん。ジェイド・リーチさん。」
オルト:「わざわざ兄さんの様子を見にきてくれてありがとう。心配してくれたんだね!」
アズール:「もちろんですよ!」
ジェイド:「イデアさんはああ仰っていますが……オルトくんはどうされるんですか?」
オルト:「うーん。兄さんには言ってないんだけどさ……」
オルト:「実は僕、ハロウィーンのことそんなに大好きってわけじゃないんだ。」
オルト:「兄さんとの思い出は欲しいけど……兄さんが嫌だって言うなら無理しなくてもいいかなって思ってる。」
オルト:「プロジェクションマッピングがなくてもスタンプラリーはできるから、みんなに迷惑はかけないし……」
オルト:「今年は、僕と兄さんは部屋でのんびりハロウィーンを楽しむことにするよ。」
アズール:「そんなのいけません!」
オルト・イデア:「えっ?」
オルト:「あ、アズール・アーシェングロットさん?急に拳を握りしめてどうしたの?」
アズール:「悲しいことを言わないでください……せっかくのハロウィーンじゃないですか。」
アズール:「これまでイデアさんが運営委員として一生懸命頑張ってきたのを、僕もジェイドも知っています。」
アズール:「それをなかったことにするなんて勿体な……」
アズール:「いえ、とても心が痛む。」
イデア:「今、勿体ないって言おうとしたよね?」
アズール:「僕はナイトレイブンカレッジの生徒全員でハロウィーンを楽しみたいんです。」
アズール:「お前もそう思うでしょう、ジェイド。」
ジェイド:「はい。イデアさんとオルトくんを除け者にして」
ジェイド:「『ハロウィーンウィーク』を行うことなどできません。」
ジェイド:「たくさんのお客さんがいらっしゃっている今年のハロウィーン、みんなで楽しみましょう。」
ジェイド:「そうすればオルトくんもきっとハロウィーンのことをもっと好きになれるかと。」
イデア:「2人とも絶対なにか企んでるじゃん……。」
イデア:「……でも無駄だよ。作品に誤った先入観を与えるなんて、ファンの風上にも置けない行為……」
イデア:「拙者は絶対にしませんから!」
アズール:「なるほど……」
アズール:「つまりイデアさんの『パンプキン・ホロウ』への情熱はその程度のちっぽけなものだったんですね。」
イデア:「……は?」
イデア:「今の話のどこをどう聞いたらそう解釈できるわけ?」
アズール:「「パンプキン・ホロウの魅力を伝えるためにプロジェクションマッピングと実写のショーをする」」
アズール:「イデアさんは『ハロウィーンウィーク』が始まる前にみんなの前でこう言いました。」
アズール:「中止するということは映画の宣伝を諦めたということ。」
イデア:「そ、それは……お客さんたちがなにを見ても「かわいい」しか言わないから……。」
ジェイド:「元々映画に興味のない正反対の人たちに訴求できてこその広報なのでは?」
イデア:「うっ。厳しい大人の事情……つらいが真理すぎる……。」
アズール:「つまりプロジェクションマッピングにはまだまだ改善の余地がある。」
アズール:「それを中止して、全て投げ出すということは……」
アズール:「イデアさんの映画への愛情が足りていないということに他ならない!」
イデア:「は~~~~!?」
イデア:「拙者は通常版・限定版・復刻スチールケース版、」
イデア:「ディレクターズカット版のディスクにトイ系も揃えている」
イデア:「筋金入りの『パンプキン・ホロウ』マニアですぞ!?愚弄するのも大概にしなされ!」
アズール:「しかし、それを伝えられないようでは意味がありません。」
イデア:「できますし!?伝えられますし!?」
イデア:「拙者を舐めないでいただきたい!!」
イデア:「ホラー映画の作法を知らない一般人でもわかるぐらい面白くて、怖い……」
イデア:「『パンプキン・ホロウ』の魅力たっぷりのハロウィーンを、作ってやろうではありませんか!」
イデア:「オルト、寮のみんなと一緒にプロジェクションマッピングのデータを修正しよう。」
イデア:「僕は名シーンを見せることにこだわりすぎてそこまでのストーリーを疎かにしていた……。」
イデア:「パンプキン騎士(ナイト)は怖い存在であるとわかる映画の導入部分からダイジェストで映像を作ろう!」
イデア:「より映画に忠実に、より恐ろしくでもどうしても続きが気になるような……」
イデア:「見ている人をドキドキさせるショーに変更!」
イデア:「……あ。あとハートに見えそうなツタの映像は全部修正して。」
イデア:「拙者もラストの登場シーンの完成度を限界まで高めるため、演技の練習に励む!」
イデア:「みんなで一緒に頑張ろう!」
オルト:「こ、こんなに学園の行事にやる気のある兄さんは見たことがない……。」
オルト:「兄さんがやりたいなら、もちろん僕も手伝うよ!」
アズール:「ああよかった。みんなでハロウィーンを楽しみましょう。」
オルト:「うん!ありがとう、2人とも。」
ジェイド:「お礼なんて、そんな……」
ジェイド:「……でしたらこちら、図書館の入り口に見本として置いていただけますか?」
オルト:「えっ、見本?」
オルト:「これは、パンフレットかな。 ええっとなになに……」
オルト:「「一番ハロウィーンを楽しむ!ナイトレイブンカレッジ最強攻略マップ」……?」
アズール:「今、『ハロウィーンウィーク』のために、島外からたくさんのお客さんがいらっしゃっています。」
アズール:「スタンプラリーのマップだけを頼りに広い学園を回るのは大変でしょう?」
ジェイド:「ですので、『ハロウィーンウィーク』初日の動員数を見てすぐ超特急で……」
ジェイド:「有志の寮生にガイドブックを作っていただきました。」
ジェイド:「全16ページ、1冊1200マドルで販売中です。」
オルト:「お、お金とるんだ……。」
アズール:「イデアさんが作ったプロジェクションマッピングは目玉のショーとして見開きの特集を組んでいます。」
アズール:「もしも中止になったらどうしようかと思いましたよ。」
ジェイド:「刷り直しとなると、大量に印刷した分が全て無駄になってしまいますからね。」
ジェイド・アズール:「よかったよかった!」
オルト:「なるほど……だから「ハロウィーンをやろう」って必死だったんだね……。」
イデア:「見開き特集? どうせなら折り込みポスターにしてくれてもよかったぐらいだ。」
イデア:「アズール氏、ジェイド氏、拙者の職人魂に火をつけた責任は取ってもらうよ。」
イデア:「そのガイドブックをたくさん売ってたくさんイグニハイドを宣伝してくだされ。」
イデア:「……そして拙者は『パンプキン・ホロウ』を宣伝する!!!」
アズール:「もちろん、お任せください。」
アズール:「より面白いプロジェクションマッピングになればお客様ももっと楽しんでくれることでしょう。」
ジェイド:「お客様も、僕たちも、みんな幸せになれる。今年のハロウィーンは素晴らしいですね。」
ハッピーハロウィーン!
オルト:「ええっと……」
オルト:「ハッピーハロウィーン!」
オルト:「……でいいのかな?」
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