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【ハニプレ】「あかり&蒼太」プレシャスストーリー(1)

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最終更新者: m*ru_

ハニプレ(HoneyWorks Premium Live)の「あかり&蒼太」プレシャスストーリーです。

第1話

「好きってなんですか…?」

望月蒼太

 僕じゃダメですか!

早坂あかり

 は…はい!
 いい…と思います?


これは…
『私が恋を知る日』までの物語――


お昼休み。私は、友達のなっちゃんや
美桜ちゃんと一緒にお弁当を食べていた


榎本夏樹

 聞いたよー。あかり、今日も他のクラスの男子から
 告白されたんだって?相変わらずモテモテじゃん!

合田美桜

 それ、私もさっき噂で聞いた
 断っちゃったらしいけど、本当?

早坂あかり

 ああ…うん。私、付き合うとか
 そういうのよくわからなくて…

合田美桜

 そういえば、あかりちゃんからそういう話
 聞いたことないよね

榎本夏樹

 言われてみれば、そうだね
 今は好きな人とか、いないの?

早坂あかり

 好きな人…
 うーん…
 特にいないかな

榎本夏樹

 そっかそっか!

早坂あかり

 (友達の恋の話を聞くのは好きなんだけど…)
 (それが自分のことになると、どう反応したらいいか
 わからなくなっちゃうんだよね)
 (なんでかな…?)

榎本夏樹

 あ、あかりのお弁当のおかず
 すっごいおいしそう!

早坂あかり

 じゃあ、ひとつ分けるよ

榎本夏樹

 ありがと!
 じゃあ、私も卵焼きあげる!

早坂あかり

 ありがと、なっちゃん
 (まあ…いっか…)


~美術室~

松川先生

 今日の授業では人物画を描いてみましょう。それぞれ
 ペアを組んで相手の似顔絵を描いてくだせいね

榎本夏樹

 はーい
 あかり、一緒にやろうよ!

早坂あかり

 うん!


榎本夏樹

 できた!
 あかりは?

早坂あかり

 私も描けたんだけど…
 うーん…

榎本夏樹

 見せて見せて!
 うわぁ…すごい上手じゃん…!
 なんだか、私が美人に見えるよ!

合田美桜

 あはは
 なっちゃんってば、声がこっちまで届いてるよ
 でも、本当に上手だね
 さすがあかりちゃん
 明るい笑顔がなっちゃんらしくて
 すっごく素敵だよ!

早坂あかり

 (明るい笑顔…か)

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第2話

「まだ好きとか知らない」

放課後、私は美術室に残って
授業で描いたなっちゃんの絵の続きを描いてみた


早坂あかり

 (うーん、なんでだろう…
 何度線を重ねても…描けない)


合田美桜

 明るい笑顔がなっちゃんらしくて
 すっごく素敵だよ!


早坂あかり

 (本当に描きたかったのは、明るい笑顔じゃなくて…)
 (私が一番きれいだと思う、好きな人のことを
 考えているときのなっちゃんなのに)
 私の筆じゃ、表現できない…
 どうして?
 (もしかして…私がちゃんと知らないから…?
 人を好きになるってことを)
 (恋をするってことを…)


翌日――


榎本夏樹

 あかり、何か悩んでる?

早坂あかり

 え…どうしたの、なっちゃん
 なんでそう思うの?

榎本夏樹

 1年のころからの付き合いだもん!
 顔を見ればわかるって、私でよければ相談にのるよ?

早坂あかり

 ありがと、なっちゃん…
 じゃあ…ひとつ聞いてもいいかな
 あのね、なっちゃんは
 どうして瀬戸口君を好きになったの?

榎本夏樹

 えっ
 な、何、急に…!?

早坂あかり

 お願い、教えて

榎本夏樹

 うーん…。どうしてって言われてもなあ…
 私と優は幼馴染で、ずっと一緒だったし…
 いつの間にか…としか…

早坂あかり

 そうなんだ…
 そういうものなんだね…
 (やっぱり…
 私にはまだ、わからないなあ…)

榎本夏樹

 いきなりそんなこと聞いてくるなんてどうしたの?
 まさか、ついに恋しちゃった…!?

早坂あかり

 ううん、逆なの
 来いってなんなんだろうって思って…

榎本夏樹

 うーん。じゃあ、私からも質問!
 あかりはさ、どんなタイプの人が好きなの?

早坂あかり

 タイプ…うーん…。自分がどういう人が好みなのか
 よくわからないんだ、私…
 (それに、人を好きになったことも
 今まで一度もないし…)

榎本夏樹

 それって…もしかしたら『好きになった人がダイプ』
 ってことなのかもね!

早坂あかり

 好きになった人が、タイプ…

榎本夏樹

 うん!好みのタイプだから好きになるんじゃなくて
 好きだって気持ちが先に動くんじゃないかな

早坂あかり

 うーん…
 そんなこと、あるかなあ

榎本夏樹

 あるよ!あかりのハートをぶち抜くような男子に
 まだ出会えてないだけだよ!

早坂あかり

 ぶち抜くって…あはは!
 (いつか、出会えるのかな
 私の心が、揺れ動くような人に…)

芹沢春輝

 おい、大丈夫か!?
 鼻血出てるぞ!

早坂あかり

 …?

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第3話

「ナイショ♡」

芹沢春輝

 もちたー!!
 おい、大丈夫か!?鼻血出てるぞ!

早坂あかり

 …?


隣のコートを見ると、同じクラスの望月蒼太君が
倒れていた。サッカーボールが顔に当たったみたいだ


望月蒼太

 うう…

瀬戸口優

 保健室行きだな、こりゃ

芹沢春輝

 おい、顔面ブロックくらいで泣くなよ

望月蒼太

 泣いてないし…

瀬戸口優

 そうそう
 ナイスプレイだったぜ、泣くな

望月蒼太

 だから泣いてないって…!

榎本夏樹

 あーあ…
 もちたって、相変わらずドジなんだから

早坂あかり

 そっか、なっちゃんは瀬戸口君だけじゃなくて
 望月君とも幼馴染だったもんね

榎本夏樹

 あと、春輝もね


望月君は、芹沢君と芹沢君に「ブーン」と
飛行機みたいに担がれて保健室に運ばれていった



早坂あかり

 ふふ
 (望月君…
 そういえば、入学式の日も遅刻してたっけ)
 (ちょっと抜けてるんだな…
 なんだか可愛いかも)


翌日――


榎本夏樹

 あかり、おはよー

早坂あかり

 おはよう
 (あ、聖奈に辞書貸したままだったっけ
 2時間目で使うから、取りにいこう)


そう思って、教室を出たとき――
ちょうど登校してきた望月君と鉢合わせになった


望月蒼太

 っ…!
 お…

早坂あかり

 お…?

望月蒼太

 おはよう!
 寝癖ついてるよ!

早坂あかり

 えっ…!?

望月蒼太

 頭のところ…
 ぴょこんって跳ねて…ます

早坂あかり

 (えっ…!うそ…!)
 っ…
 ナイショ♡


私は赤くなっていく顔を見られたくなくて
望月君の前から駆け出した


早坂あかり

 (寝癖ついてたなんて、恥ずかしい…!
 どうしよう…)


望月君には呆れられていると思ったけれど…
それから数日経って、思いがけないことが起きた――

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第4話

「4時10分」

早坂あかり

 (次、移動教室だったっけ
 早く行かなきゃ…)

望月蒼太

 早坂さん

早坂あかり

 …?
 望月君

望月蒼太

 あの!
 話があります!
 今日の放課後、4時10分
 この教室で待っていてもらえますか?

早坂あかり

 っ…
 うん

望月蒼太

 じゃあ…
 またあとで

早坂あかり

 (望月君と、2度目の会話だ…
 何だろう、話って…)


そわそわした気持ちのまま、約束の時間を迎える
言われた通り教室で待っていると、望月君がやって来た


望月蒼太

 …

早坂あかり

 っ…

望月蒼太

 僕じゃダメですか!

早坂あかり

 は…はい!
 いい…と思います?

望月蒼太

 え…

早坂あかり

 え…?
 ???
 (とっさに返事しちゃったけど…
 「僕じゃダメ」って、何のことだろう…?)

望月蒼太

 ええと…
 だから、その…
 好きってことです!

早坂あかり

 えっ!?

望月蒼太

 だから好きなんです!

早坂あかり

 っ…!
 (好き…?)

望月蒼太

 絶対悲しませないし…
 毎日、笑わせてみせます!

早坂あかり

 (どうしよう…)
 (今までも、男の人に付き合って欲しいって
 言われたことは何度かあるけど…)
 (こんな風に、まっすぐに「好き」って
 言われたの、はじめてだ…)


どう答えたらいいのか、言葉が見つけられない
それでも、どうしてなのか
私の胸は、ドキドキと高鳴りはじめていた――

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第5話

「あかりん」

僕には好きな女の子がいる
高校1年生の頃から、ずっと…


クラスメイト

 望月、おはよー!

望月蒼太

 おはよう
 (あ、あかりんがいる)

榎本夏樹

 あかり、おはよー!

早坂あかり

 おはよう、なっちゃん

望月蒼太

 (あかりん、おはよう…!
 ああ…今日もマジ天使…!)

芹沢春輝

 もーちーた

瀬戸口優

 おはよ

望月蒼太

 優、春輝…!
 お、おはよ…

瀬戸口優

 朝からボーッとして…
 なんだ、また早坂のこと考えてんのか?

芹沢春輝

 もう2年も片想いしてるんだろ。告白しろよ

望月蒼太

 む、無理だよ…!
 だって、話したこともないのに、告白なんて…

早坂あかり

 …?


僕の視線に気づいたのか、あかりんがこっちを向く
目が合いそうになって、慌てて扉の陰に隠れた


芹沢春輝

 なに隠れてんだよ

望月蒼太

 だって、あかりんと目が合いそうになっちゃって…

芹沢春輝

 目が合いそうになっただけで隠れるって…
 お前、早坂と付き合いたいんだろ?
 どうにかしろよ、その意気地のなさ!

望月蒼太

 わ…わかってるよ…

瀬戸口優

 まあ、早坂は男子にモテる高嶺の花だし…
 おまけにそれを自覚してない天然っぽいところもあるし
 尻込みするのも当然かもな

望月蒼太

 優…
 優しい…!

瀬戸口優

 つっても、少し尻込みしすぎだと思うけどな

望月蒼太

 うっ…

芹沢春輝

 声かけてみろよ
 そうしなきゃ始まるもんも始まらないだろ

望月蒼太

 うん…
 頑張るよ…


そう、返事はしたものの――

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第6話

「好きな人の好きな人の話」

望月蒼太

 はあ…
 (あかりんに声をかけるとして…
 何て言ったらいいんだろう?)
 (おはよう?今日はいい天気だね?
 そこからどう話に繋げたらいいんだ…!)

榎本夏樹

 うーん。じゃあ、私からも質問!
 あかりはさ、どんなタイプの人が好きなの?

早坂あかり

 タイプ…うーん…

望月蒼太

 (なになに!?
 隣のコートにいるのはまさかのあかりん!?)
 (そして、まさかの
 あかりんの好きなタイプの話…!?)

早坂あかり

 自分がどういう人が好みなのか
 よくわからないんだ、私…

望月蒼太

 (そうなんだね…。僕は君が好みだよ
 好みすぎて辛いよ…)

榎本夏樹

 それって…もしかしたら「好きになった人がタイプ」
 ってことなのかもね!

望月蒼太

 (え…)

榎本夏樹

 うん!好みのタイプだから好きになるんじゃなくて
 好きだって気持ちが先に動くんじゃないかな

望月蒼太

 (そ、そんな…!好きになった人がタイプって…
 それって攻略が一番難しいやつじゃん…!)
 はああ…


大きなため息をついた、そのとき――


望月蒼太

 あがっ!!


顔にサッカーボールが思い切り飛んできて
僕はそのまま仰向けに倒れてしまった


芹沢春輝

 もちたー!!
 おい、大丈夫か!?鼻血出てるぞ!

望月蒼太

 うう…

瀬戸口優

 保健室行きだな、こりゃ

芹沢春輝

 おい、顔面ブロックくらいで泣くなよ

望月蒼太

 泣いてないし…

瀬戸口優

 そうそう
 ナイスプレイだったぜ、泣くな

望月蒼太

 だから泣いてないって…!


春輝と優の2人に担がれて、僕は保健室に
行くことになった――


望月蒼太

 (はあ…何やってんだろ…)

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第7話

「可愛い生きもの」

鼻血を出した翌日の朝――


望月蒼太

 (はあ…
 あかりんのことを考えていたらよく眠れなかった…)
 …あ


教室に入ろうとしたところで、出くわしたのは
よりによって、あかりんだった
驚いてとっさに目を逸らすと、あかりんの前髪が
ぴょこんと跳ねていることに気づく


望月蒼太

 (あ…あかりん…!
 寝癖ついてる…!可愛すぎだよ…!)
 (可愛さの暴力だよ…!)

早坂あかり

 …?

望月蒼太

 (って、ここであかりんの可愛さにメロメロになってる
 場合じゃない!何か声かけなきゃ…!)
 お…

早坂あかり

 お…?

望月蒼太

 おはよう!
 寝癖ついてるよ!

早坂あかり

 えっ…!?

望月蒼太

 頭のところ…
 ぴょこんって跳ねて…ます

早坂あかり

 っ…
 ナイショ♡


唖然とする僕をよそに
あかりんは別の教室へと駆けて行った


望月蒼太

 (ずるい…!何なんだ、あの可愛い生きものは…!!)
 (あかりんだよ…!
 あかりーん!!)
 はじめて喋った…
 あかりんと…


昼休み――


望月蒼太

 はあ…
 (あかりんと話してから5時間と2分13秒経過…
 まだドキドキしてる…)

綾瀬恋雪

 あ、もっちー
 これからお昼ですか?

望月蒼太

 ゆっきー…
 うん。そうだよ
 ゆっきーはまだお昼食べないの?

綾瀬恋雪

 はい。校庭の花壇がちょっと気になっていて…

望月蒼太

 そっか。真面目だなあ…
 さすが園芸部部長だね

綾瀬恋雪

 ありがとうございます
 それより…もっちー、なんだか悩んでるみたいですね

望月蒼太

 え!?
 ゆ…ゆっきーって鋭いんだね…

綾瀬恋雪

 ふふ
 僕でよければ、お話を聞きますよ?

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第8話

「ヤキモチの答え」

綾瀬恋雪

 僕でよければ、話を聞きますよ?

望月蒼太

 実は…今朝、はじめて話したんだ
 1年のときからずっと、好きだった子と…

綾瀬恋雪

 それはよかったですね

望月蒼太

 うん。まだ、胸がドキドキして
 落ち着かない気持ちだよ

綾瀬恋雪

 本当に好きなんですね、その人のこと

望月蒼太

 うん…
 でも、『好き』って辛いんだね
 自分の好きな人に、好きな人がいるかも
 しれないとか考えたり…
 その恋を応援できるかわからないとか悩んだり…
 最近、そんなことばっかり考えちゃってるよ

綾瀬恋雪

 わかります、その気持ち…

望月蒼太

 (そっか…
 ゆっきーも、夏樹のこと…)

綾瀬恋雪

 でも…
 このところ、ちょっと思うんです
 好きな人の恋を何のわだかまりもなく応援できるなら
 それはきっと、恋ではないんじゃないかって…
 もっちーがヤキモチをやいてしまうのは…
 その分、その人に対する想いが強いからでしょう?

望月蒼太

 (ゆっきー…)
 (うん…
 僕、あの子のこと…すごく好きなんだ

綾瀬恋雪

 その人と、お付き合いできたらいいですね

望月蒼太

 おつ…お付き合い!?
 そんな、いきなりハードル高いよ…!

綾瀬恋雪

 でも、影から見ているだけで充分…
 っていう恋では、もうないんでしょう?

望月蒼太

 それは…そうだけど…

綾瀬恋雪

 誰にも取られたくないなら…
 自分で掴みに行かなきゃ

望月蒼太

ゆっきー…
 うん、そうだよね
 ありがとう

綾瀬恋雪

 はい
 頑張ってくださいね

望月蒼太

 うん!
 (あかりんとマトモに会話するなんて、無理だと
 思ってた。告白するなんて、もっと無理だって…)
 (でも…こうして怖気付いている間に
 あかりんが他の誰かに取られるのはイヤだ)
 (誰にも取られたくないなら…
 自分で、取りに行く)
 (僕も先に進まなくちゃ…
 自分を変えたゆっきーみたいに)
 頑張らなくちゃ…


望月蒼太

 っ…
 は、早坂さん!
 僕じゃダメですか?

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第9話

「僕じゃダメですか?」

早坂あかり

 (望月君の話ってなんだろう…)

望月蒼太

 早坂さん!
 僕じゃダメですか?

早坂あかり

 は…はい!
 いい…と思います?


望月君の唐突な問いかけに
私はとっさにそう答えてしまっていた


望月蒼太

 え…

早坂あかり

 え…?
 ???
 (つい答えちゃったけど…
 僕じゃダメって、何の話だろう…?)

望月蒼太

 好きってことです!

早坂あかり

 えっ!?

望月蒼太

 だから好きなんです!

早坂あかり

 っ…!
 (好き…?)

望月蒼太

 絶対悲しませないし…
 毎日、笑わせてみせます!
 お弁当だって毎日作って欲しいです!

早坂あかり

 …
 毎日お弁当作るのは…
 めんどくさいのでイヤです…

望月蒼太

 っ…!!
 あああ…

早坂あかり

 (あれ…
 望月君、なんか落ち込んでる…?)
 (どうしたらいいんだろう…
 あ、そうだ)
 …そういえば、駅前に新しいケーキ屋さんが
 できたんです。もし、よかったら一緒に行きませんか?
 (甘いもの食べたら、もっとお互いに
 リラックスして話せるよね)

望月蒼太

 っ…
 はい!
 行きます!

早坂あかり

 (望月君、今度は嬉しそうな顔になった…
 なんだか面白いな)
 (望月君のことはまだよく知らないけど…)
 (この人といろんなことを話せたら
 きっと楽しいかもしれない…)

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第10話

「星屋にて」

私は望月君を連れて、お気に入りのケーキ屋さん
『星屋』に来ていた
お店のカフェスペースで食べるケーキを2人で選ぶ


望月蒼太

 早坂さんのおすすめはどれですか?

早坂あかり

 もちろん、この『ふわふわフロマージュ』です!
 もう絶品なんですよ!

店員

 フロマージュは当店1番の人気で
 今日はもう残り2つで完売なんです

早坂あかり

 そうなんですね…!
 私たち、ラッキーですね、望月君

望月蒼太

 そうですね…!


ドリンクの注文も済み
席に着こうとした時だった


男の子

 お母さん、ふわふわのケーキ、もうないの?

母親

 今日は売り切れなんだって
 また今度にしようね

男の子

 でも…

望月蒼太

 …あの
 よかったら…
 僕の分、どうぞ

母親

 え…
 でも…

望月蒼太

 いいんです
 僕はいつでも来られるし、気にしないでください


そう笑って、望月君は
フロマージュを小さな男の子に譲ってしまった


早坂あかり

 (望月君…
 優しい人なんだな…)

望月蒼太

 あ、ごめんなさい…!
 せっかく、早坂さんがおすすめしてくれたのに

早坂あかり

 ううん
 フロマージュは私のと半分こしましょうか

望月蒼太

 でも…早坂さんが食べる分が減っちゃいますよ

早坂あかり

 気にしないでください
 私が、そうしたいだけだから

望月蒼太

 …
 じゃあ、そうさせてください

早坂あかり

 はい


こうして、私たちは
1つのケーキを2人で分け合って食べることになった

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第11話

「優しい人」

お店のカフェスペースで
小さなフロマージュを、望月君と分け合って食べる
食べる分は減ったけど
不思議と、いつもより美味しく感じる気がした


早坂あかり

 望月君、さっきケーキを男の子に譲ってあげていた
 じゃないですか
 それを見て思い出したんですけど…
 私…前に、望月君を朝の通学電車の中で
 見かけたことがあるんです

望月蒼太

 え…

早坂あかり

 望月君、うちの高校の最寄り駅じゃないところで
 降りてて…変だなって思ってたんですけど…
 よく見てたら、その理由がわかりました
 座席に座っていた望月君のそばには、女の子が
 3人いて…
 そのうち1人だけが、座席に座っていなかったから
 その子に席を譲るために
 一度降りて別の車両に移ったんですよね

望月蒼太

 あ、あれ…見てたんですか!?

早坂あかり

 はい
 望月君が席を譲るために降りたこと
 その女の子は気づいてて…
 「ありがとうございました」って
 お礼を言ってたところも見てました

望月蒼太

 うわ、恥ずかしい…
 「席譲りますよ」って声をかけるのも
 恥ずかしかったから、降りたんですけど…
 いまいちカッコつかなくて…

早坂あかり

 ふふ
 でも…私はそれを見て、「優しい人なんだな」って
 そう思いましたよ
 他にも…
 入学式のとき、遅刻して明智先生に怒られてましたよね

望月蒼太

 それも見てたんですか!?

早坂あかり

 はい。そのあと、なっちゃんや瀬戸口君にも
 叱られてたの見ました

望月蒼太

 それも…!?
 あ、あの日は確か…
 遅くまで映画を見てたら、つい寝坊しちゃって…
 普段はそんなに遅刻しないのに、大事な日に限って
 遅刻しちゃったりするんですよね、僕…

早坂あかり

 ふふ。なんだかそんな感じがします
 (でも、そういうところも
 嫌いじゃないな…)
 (望月君になら…
 もしかしたら、あのこと、話せるかもしれない…)

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第12話

「描けない」

早坂あかり

 (望月君になら…
  もしかしたら、あのこと、話せるかもしれない…)

望月蒼太

 どうかしましたか?

早坂あかり

 え?

望月蒼太

 いや、あの…
 早坂さんが、なんだか悩んでるような顔をしてたから…

早坂あかり

 えっと、その…
 悩んでるわけじゃ、ないんですけど…
 …
 いえ…
 私、やっぱり悩んでるんだと思います

望月蒼太

 よかったら
 話、聞きますよ?

早坂あかり

 いいんですか?

望月蒼太

 はい

早坂あかり

 (この笑顔…
  なんだか、ほっとすなぁ…)


私は望月くんに打ち明けてみることにした
今まで、誰にも話せずにいたことを


望月蒼太

 絵が…
 描けない…?

早坂あかり

 はい…

望月蒼太

 でも、早坂さんは美術部だし…
 コンクールでもよく受賞していますよね?

早坂あかり

 そうなんですけど…
 ええと…
 (なんて言ったらいいんだろう…?)

望月蒼太

 もしかして…
 描けないっていうのは、スキルの問題じゃなくて…
 『生み出せない』っていう意味ですか?

早坂あかり

 そうです!
 そう言いたかったんです!
 (よかった
  私の言いたかったこと、わかってくれた…)

望月蒼太

 そうか…。早坂さんは
 思うように絵が描けなくて悩んでるんですね

早坂あかり

 はい…
 変ですよね、こんな悩み…

望月蒼太

 そんなことないですよ。ものづくりをしいている人なら
 誰でもそういう壁にはぶつかるんじゃないかな
 僕も、映画研究部に入っていて…
 友達の春輝が監督をしている映画の
 脚本を書いているんです
 すらすら書けることなんて、めったになくて…
 いつも頭を悩ませながら書いています
 だから、早坂さんの気持ち…
 すごくよくわかります

早坂あかり

 望月君…

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第13話

「あの映画の続きを」

早坂あかり

 望月君は、脚本を書くのに行き詰まったとき
 どうしてるんですか?

望月蒼太

 そうですね…
 書けないときは、もう潔く諦めて…
 違うことをして気分転換するようにしています
 本を読んだり、映画を観たり…

早坂あかり

 そうなんですね
 映画は、どんなものが好きですか?

望月蒼太

 ちょっと恥ずかしいんですけど…
 恋愛ものを観るのが好きです

早坂あかり

 ふふっ。ちょっと意外です

望月蒼太

 映画の登場人物に気持ちを重ね合わせていたら
 なんだか気持ちが盛り上がってきて…
 結局は、脚本を書きたいっていう
 気持ちになっちゃうんですよね

早坂あかり

 映画…か。私も何か観てみようかな
 あ!よかったら
 望月君のおすすめの映画を教えてもらえませんか?

望月蒼太

 え…

早坂あかり

 恋愛映画、私も観てみたいです!

望月蒼太

 は…はい!!
 明日、DVDを持ってきます!

早坂あかり

 約束ですよ?

望月蒼太

 はい!


望月君の笑顔に、私の気持ちも
 不思議と軽くなっていった――



数日後――
私と望月君は自然と学校内でも
会話するようになっていた


早坂あかり

 先日望月君にお借りしたDVD、観ました!
 すっごく素敵でした…!

望月蒼太

 ほ、本当…!?よかった…!

早坂あかり

 はい!
 ストーリーもよかったですけど、色とか光の表現が
 とっても綺麗で、夢中になって観ちゃいました

望月蒼太

 そうなんだよ!いつ観ても新しい発見がある映画で
 ラストシーンなんて何回泣いたことか…

早坂あかり

 2人がようやく再開するところですね!
 私も感動しました…!
 でも、なんだか続きがありそうな
 終わり方でしたよね

望月蒼太

 うんっ!実はこの映画には続編があって…
 確か、先週から公開しているはず!

早坂あかり

 そうなんですね!望月君はもう
 観に行ったんですか?

望月蒼太

 いや、まだ行けてなくて…
 近いうちには行きたいって思ってるんだけど…

早坂あかり

 (そうなんだ…)
 あ、あの…

望月蒼太

 ん?

早坂あかり

 よかったら…
 放課後、一緒に映画館に行きませんか?

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第14話

「放課後、男の子と2人で…」

放課後――
私は少し落ち着かない気持ちで、望月君を待っていた


望月蒼太

 は、早坂さん!
 待たせちゃってごめん!
 掃除が長引いちゃって…

早坂あかり

 いえ、大丈夫ですよ

望月蒼太

 …

早坂あかり

 …

望月蒼太

 い、行こうか…

早坂あかり

 そ、そうですね…
 (思い切って誘ってみたはいいけど…
  男の子と2人て出かけるなんて
  初めてだから、なんだかそわそわするなあ…)

芹沢春輝

 おっ
 もちたじゃん!

望月蒼太

 はっ、春輝…!
 優も…

芹沢春輝

 なんだよ、お前ようやく早坂と
 付き合えるようになったのか?
 よかったじゃねーか!

望月蒼太

 ちょっ…そういうんじゃないから…!
 用事があって一緒に出かけるだけだから…!

芹沢春輝

 なんだ、そうなのか?

望月蒼太

 そうだよ…!

瀬戸口優

 そこらへんにしとけよ、春輝

芹沢春輝

 そうだな。邪魔するのも悪いしなー!

瀬戸口優

 悪かったな、もちた
 早坂も

早坂あかり

 い、いえ…

瀬戸口優

 ほら
 行くぞ、春輝

芹沢春輝

 へーい

望月蒼太

 ごめんね、春輝が変なこと言って…

早坂あかり

 い、いえ…


芹沢春輝

 なんだよ、お前ようやく早坂と
 付き合えるようになったのか?


早坂あかり

 (私たち…
  付き合ってるように見えるのかな…)



映画館を出たあと、私たちは星屋に移動して
今日観た映画の感想を話し合った


早坂あかり

 1作目もよかったけど、2作目もすっごくよかった
 ですね…!
 2人の間には実はあんな過去があったなんて…
 でも、それを乗り越えて結ばれるなんて最高です…!

望月蒼太

 …

早坂あかり

 望月君、どうかしましたか?

望月蒼太

 ああ、ううん…
 早坂さんの楽しそうな顔、いいなと思って

早坂あかり

 えっ…
 あ…
 (どうしよう…そんなこと言われたら
  どう返したらいいかわからなくなるよ…)

望月蒼太

 あっ…
 な、なんでもない…!
 変なこと言ってごめん…!

早坂あかり

 い、いえ…

望月蒼太

 く、暗くなってくたし…
 今日はもう帰ろうか…

早坂あかり

 そ、そうですね…

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第15話

「私が彼女だったら」

星屋を出たあと、望月君が
家の近くまで送ってくれることになった


望月蒼太

 少し、寒くなってきたね…

早坂あかり

 そ、そうですね
 もうすぐ冬ですもんね…

望月蒼太

 …

早坂あかり

 …
 (今日は本当に寒いな…
  手、少し冷たくなってきた…)


気がついたら
私は少し前を歩く望月君の手を見つめていた


早坂あかり

 (今…
  望月君の手も冷たいのかな…
  もし…私が望月君の彼女だったら…
  あの手に触れたりとか、するのかな…)


ろくに会話ができないまま
私の家の近くまで来てしまった


望月蒼太

 今日はありがとう
 じゃあ、また明日

早坂あかり

 あ…
 あの、望月君…!

望月蒼太

 …?
 どうかした?

早坂あかり

 あ…
 いいえ…また明日

望月蒼太

 うん
 おやすみ

早坂あかり

 (どうしてだろう)
 もう少し…
 一緒にいたかったな…


少しずつ遠くなっていく望月君の背中を
私はいつまでも眺めていた――



翌日――


早坂あかり

 …

合田美桜

 あかりちゃん

早坂あかり

 …

榎本夏樹

 ねえ、あかりってば!

早坂あかり

 えっ…
 な、何?

榎本夏樹

 何じゃないよ
 どうしたの、さっきからぼうっとして…

早坂あかり

 え…
 私、ぼうっとしてた?

合田美桜

 うん…。最近、ずっとぼうっとしてるよ
 あかりちゃん、何かあった?

早坂あかり

 え…
 えーと…
 その…なんでもないの!
 来週の英語の小テストがちょっと心配で…

榎本夏樹

 ああ、わかるー!
 私も不安なんだよねー


話題が来週の小テストのことに移って
ほっとする



望月蒼太

 早坂さんの楽しそうな顔、いいなと思って



早坂あかり

 (私…気がついたら望月君のこと考えてる
  あれから、ずっと…)


どうしてそうなるのか、自分でも理由がわからなくて
なっちゃんたちには、うまく話せそうになかった――

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第16話

「僕が名前を呼ぶ日」

放課後――


早坂あかり

 はあ…
 (せっかく部活に行ったのに…
  気持ちがふわふわして、絵に全然集中できなかったなあ…
  気分を変えて、教室でスケッチしてみようか)


早坂あかり

 …え
 (望月君…?
  何してるんだろう、1人で…
  うなだれてる…
  何か、悩んでるのかな…)


望月君のそばまで行って
声をかけようか悩んでいると――


望月蒼太

 …
 …早坂あかり

早坂あかり

 (え…?)
 …
 何ですか?


ふいに望月君の手が、私の頬にそっと触れた


早坂あかり

 (望月君…?)


触れた手のひらの温かさに、どうしてか
私の胸が騒ぎはじめる


早坂あかり

 (何だろう、この感覚…
  こんなの、はじめて…)

望月蒼太

 …

早坂あかり

 あ、あの
 望月君…?

望月蒼太

 って…
 うわああぁ!!
 は、早坂さん…!?
 いつの間に!?

早坂あかり

 す、少し前から…

望月蒼太

 ご、ごめん…!!

早坂あかり

 いえ、あの…
 …
 私…
 その…ごめんなさい!

望月蒼太

 えっ…


望月君とどう向き合ったらいいかわからなくて…
私は気がつくと、教室を飛び出していた――


早坂あかり

 どうしよう…
 (胸がドキドキして…
  全然おさまってくれないよ…)
 こういうとき…
 どうしたらいいの…?

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第17話

「ため息」

望月蒼太

 はあ…

芹沢春輝

 なんだよ、もちた
 ため息ばっかつきやがって

望月蒼太

 だって~…


早坂あかり

 あ、あの
 望月君…?


望月蒼太

 (あんなことして、あかりん
  きっと驚いたよね…
  っていうか、引いたよね…)
 あああ…

芹沢春輝

 優、もちたをどうにかしてくれよ…
 編集作業に集中できねぇ

瀬戸口優

 もちた…
 早坂と何があったんだ?言ってみろ

望月蒼太

 えっ…
 なんであかりんと何かあった前提で聞くの?
 優ってエスパー?

芹沢春輝

 お前がうじうじうじうじしてるときは
 99.9%早坂のことだろ
 そんなの、俺にだってわかるよ

瀬戸口優

 で?
 何があったんだ?

望月蒼太

 そ、それは…
 (いくら幼馴染の優と春輝でも言えないよ…
  っていうか、うまく説明できる自信がない…)

瀬戸口優

 まあ、話しにくいことなら、これ以上聞かないけど…
 悪いことをしたなら謝れ
 お互いに誤解があるなら話し合え
 それで、たいがいのことは解決できる

芹沢春輝

 さすが、優
 夏樹と上手くやってるだけあるな

瀬戸口優

 うるさいぞ、春輝

望月蒼太

 でも、声をかける勇気がないんだよ~…

瀬戸口優

 それなら…クリスマスも近いし、何かプレゼントでも
 渡してみたらどうだ?

望月蒼太

 プレゼント…?

瀬戸口優

 ああ。プレゼントを渡すっていう口実で
 話しかけられるだろ?

芹沢春輝

 なるほどな。いいじゃねえか、もちた

望月蒼太

 (あかりんにプレゼント、か…
  確かに、悪くないかも…)

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第18話

「見つけました」

望月蒼太

 (あかりんにクリスマスプレゼント…かあ…)
 …あ
 (あのマフラー…
  可愛いなあ…
  あかりんに似合いそう…)
 …よしっ!


クリスマスイブ当日――
自分の部活が終わったあと、僕は美術室の部室前に来た


望月蒼太

 (思い切ってマフラー買っちゃったけど…
  どうしよう、ちゃんとあかりんにわたせるかなあ…)

榎本夏樹

 あれ、もちたじゃん
 どうしたの、こんなとこで

望月蒼太

 あかりん…じゃない
 早坂さん、まだ部室にいる?

榎本夏樹

 あかりなら、ついさっき出て行ったとこだよ
 なんか妙に急いでて…
 部活が終わるなり飛び出して行っちゃったの
 でも、追いかければまだ間に合うかもよ?

望月蒼太

 わ、わかった!
 ありがと、夏樹!



望月蒼太

 あかりん…
 いない…
 (昇降口にもいなかったし
  もう帰っちゃったのかな…)
 なんで連絡先くらい聞いておかなかったんだよ
 僕のバカ…!
 (何かの映画で、観たような気がする…
  こういうシーン…
  大好きな人がいるのに、いつもタイミングが悪くて
  ほんのわずかの差ですれ違って、会えないんだ
  まるで神様が「お前たちは結ばれないんだ」って
  そう言っているみたいに…
  ほんの少しの時間でいい
  君に会いたいよ、あかりん…)

早坂あかり

 …望月君

望月蒼太

 え…
 あか…早坂さん!?

早坂あかり

 ああ…
 よかった
 やっと…
 見つけました

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第19話

「プレゼント」

クリスマスイブの数日前――


榎本夏樹

 ねえ、あかりは誰かにプレゼントあげるの?

早坂あかり

 え…
 プレゼントって?

合田美桜

 クリスマスプレゼントのことだよ
 なっちゃんは瀬戸口君に渡すんだって

早坂あかり

 ああ、そうなんだ

榎本夏樹

 あかりってば、またぼうっとしてたでしょ

早坂あかり

 ごめんごめん。なっちゃんは
 瀬戸口君に何を渡すか、もう決めたの?

榎本夏樹

 ううん。優と付き合いだしてから
 初めてのクリスマスだし…何がいいか悩んでてさ
 それで、部活が終わったら一緒に選びに行こうかって
 美桜と話してたんだよ

合田美桜

 よかったら、あかりちゃんも一緒に行こうよ

早坂あかり

 (そういえば、家族に渡すプレゼント
  まだ買ってなかったな)
 うん!私も行こうかな


アパレルショップ


部活が終わった後――
私はなっちゃんや美桜ちゃんと一緒に買い物に来ていた


榎本夏樹

 なんでもあるねー
 何にしようか、悩んじゃうよ!

合田美桜

 付き合って初めてのクリスマスプレゼントだもんね

榎本夏樹

 そういう美桜は
 春輝にプレゼント渡すの?

合田美桜

 私は…まあ…
 あ、ほら、あのお店なんかいいんじゃない?

榎本夏樹

ごまかした!

早坂あかり

 ふふ
 みんな、恋してますねー
 (恋かあ…)


どうしてか――
望月君の手のひらの感触が、ふいに頬に蘇った


早坂あかり

 (望月君は
  クリスマス、どう過ごすんだろう…?
  誰かから、プレゼントもらったりするのかな…?)

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第20話

「手袋」

榎本夏樹

 あ、ねえねえ
 あのお店のスカート、すっごく可愛い!

合田美桜

 もう、なっちゃん
 プレゼント買いに来たんじゃないの?

榎本夏樹

 いいじゃん、ちょっとだけ見て行こうよ
 ほら、美桜もコート探してるって言ってたでしょ?

合田美桜

 そうだね…
 じゃあ、ちょっとだけ見ちゃおうかな
 あかりちゃんは?

早坂あかり

 私は…そうだなあ
 このあたりの雑貨屋さんを見てみようかな

合田美桜

 わかった。じゃあ、ちょっと行ってくるね

早坂あかり

 うん


1人でお店を見て回ってると
なぜか男性ものの商品ばかりが目に入ってくる


早坂あかり

 (私、さっきからずっと望月君のこと考えてる…
  望月君に何か買おうかな…
  ううん、やっぱり変だよね…。付き合ってる
  わけでもないのに、クリスマスプレゼントなんて…)
 はあ…
 …あ
 (あの手袋…
  落ち着いた、綺麗な色だな…)

店員

 こちらの手袋、今季の人気商品なんですよ
 とても綺麗なお色ですよね

早坂あかり

 はい。すごく素敵です
 (もし…もし、望月君がこれをはめたら…
  きっと、すごく似合うだろうな…
  プレゼント…
  してみようかな…)
 あの…
 これ…ください

店員

 かしこまりました
 贈りものですか?

早坂あかり

 は、はい…
 (こういうのはじめてだから…
  なんだか恥ずかしいな)

店員

 では、包装いたしますね
 この手袋、指先が冷えないつくりになっているんです
 だから、きっと喜んでいただけますよ


そう言われて…
私はふと、望月君の手を思い浮かべた


早坂あかり

 (望月君、手袋はめてなかったな…)
 …
 あの、ちょっと待ってもらえますか

店員

 はい?

早坂あかり

 私、やっぱり…!

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第21話

「一緒にいたい」

クリスマスイブ当日――


早坂あかり

 ああ…
 よかった
 やっと…
 見つけました

望月蒼太

 は、早坂さん!?
 見つけたって…

早坂あかり

 私、ずっと望月君を探してたんですよ
 部活が終わったら、すぐに
 映画研究部の部室に行ったんですけど…
 芹沢君が、望月君は部活が終わるなり
 慌てた様子で出て行っちゃったって言ってたから…
 もしかしたら、もう帰っちゃったかと思ったんです
 だから、会えてよかった

望月蒼太

 (なんだ…)
 僕が早坂さんを探してたみたいに
 早坂さんも、僕を探してたんだね

早坂あかり

 え…
 私を探してたって、どうして?

望月蒼太

 それは…
 学校だと話しにくいから、一緒に出かけない?

早坂あかり

 え…

望月蒼太

 あ…!
 もちろん、早坂さんがよければで…
 …
 いや…

早坂あかり

 望月君…?

望月蒼太

 「早坂さんがよければでいい」とか、そんなの嘘だ
 今日は、早坂さんと一緒にいたい

早坂あかり

 っ…

望月蒼太

 嫌…かな?

早坂あかり

 …
 嫌…
 じゃない…です
 嫌じゃないです…

望月蒼太

 …
 よかった…

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第22話

「マフラー」

早坂あかり

 なんだか、静かですね

望月蒼太

 クリスマスイブだから…
 今日はみんな、家で過ごすのかもね

早坂あかり

 そうですね

望月蒼太

 …

早坂あかり

 …

あかり&蒼太

 あの…

望月蒼太

 あっ、ごめん

早坂あかり

 いえ、こちらこそ…

望月蒼太

 早坂さんの方からどうぞ

早坂あかり

 い、いえ…
 望月君からどうぞ…

望月蒼太

 じゃあ…
 同時に言おうか

早坂あかり

 そうですね…

あかり&蒼太

 あの…
 これ、よかったら受け取ってください!!


私がプレゼントの箱を差し出すのと同時に
望月君も何か包を差し出してきた


早坂あかり

 …え?

望月蒼太

 …あれ?

早坂あかり

 これ…私に?

望月蒼太

 うん
 これは…僕に?

早坂あかり

 はい

望月蒼太

 えええ!!!
 これ、僕に!?

早坂あかり

 ふふっ…
 はい
 望月君に、です
 受け取って…もらえますか?

望月蒼太

 (あかりん…
  笑顔だけど…
  指が、震えてる…)
 …うん
 ありがとう…!

早坂あかり

 …
 よかった…!

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第23話

「このまま帰りたくない」

望月蒼太

 せっかくだから、開けてみようか

早坂あかり

 そうですね


私たちは交換したプレゼントを同時に開封する
そこには――


早坂あかり

 あ…

望月蒼太

 これ…

早坂あかり

 …
 ふふっ
 私たち、同じものを用意してたんですね
 なんだか、おかしいな

望月蒼太

 本当だね
 マフラー、巻いてもいい?

早坂あかり

 は、はい…!
 もちろん!

望月蒼太

 あったかい…
 ありがとう…

早坂あかり

 (ずるいよ…
  あんな笑顔…)
 わ、私も…
 望月君にもらったの…巻いてみます

望月蒼太

 あ、手伝うよ


望月君が私に新しいマフラーを巻いてくれる
指先が少しだけ私の髪に触れて、なんだかドキッとした


望月蒼太

 よかった…
 すごく似合ってる

早坂あかり

 ありがとう…ございます


クリスマスプレゼントを渡し終えても
私と望月君は、そのまま一緒に街を歩いた


早坂あかり

 (なんだか、このまま帰りたくない…
  望月君も、そう思ってくれてると…いいな)

望月蒼太

 あの…
 早坂さん
 クリスマスイブだし…
 よかったら、ケーキでも食べない?

早坂あかり

 わあ、いいですね!
 そうだ!私、気になっているお店があるんです!
 よかったら、一緒に行ってみませんか?

望月蒼太

 うん!行こう!

早坂あかり

 (なんだか、私の考えてることが
  通じたみたい…
  嬉しいな…)

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第24話

「どうして…」

望月君を連れて、ずっと気になっていた
新しいケーキ屋さんに来たけれど――


店員

 申し訳ございません
 本日はもう完売してしまって…

望月蒼太

 そうですか…

早坂あかり

 望月君、せっかく来てもらったのに…
 ごめんなさい…

望月蒼太

 ううん
 気にしないで…!
 そうだ!さっき通ったケーキ屋さんの
 テイクアウト、見に行こう?

早坂あかり

 そうですね


気を取り直して、別の店に行ってみたけれど…
そこには、小さなケーキがひとつ残っているだけだった
私たちはベンチに座って
その1つだけのケーキを、半分にして食べた


早坂あかり

 ほ、本当にごめんなさい…
 せっかくのクリスマスイブなのに…

望月蒼太

 早坂さんは何も悪くないよ
 それに…
 こうしていると、なんだか
 あの日と同じみたいな感じがするし…

早坂あかり

 (そうだ…
  確か、あの日も…)


望月君が、私に告白してくれたあの日も――
私たちはこうして、1つのケーキを分け合って食べた


早坂あかり

 (あの日…
  望月君は、どうして…)
 あの…
 望月君

望月蒼太

 ん?

早坂あかり

 あの日…望月君は、どうして私に
 告白してくれたんですか?

望月蒼太

 え…

早坂あかり

 私は…すごく鈍感だし、察しも悪いです
 絵を描くこと以外のことに、情熱を感じたこともないし…
 人を好きになるっていうことが
 どういうことなのかさえ、ちゃんと知らない…
 絵が描けない原因、本当は分かってるんです
 きっと、私の心には人として大事な何かが
 欠けてるんです

望月蒼太

 …
 ずっと、そんなことを考えていたの?

早坂あかり

 …
 はい
 わからないんです
 望月君はどうして、私に告白してくれたんですか?

望月蒼太

 …
 僕が1年生のとき…
 廊下に、ある絵が飾ってあったんだ
 『いつかの桜』っていうタイトルの絵だった

早坂あかり

 それって…

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