【黒ウィズ】メインストーリー 第06章 Story
2014年6月6日
story
そこは”0”であり“100”。
異界と異界を繋ぐ、無と有の交錯する空間、全てを呑み込み、全てを生み出す場所。
零世界――。
ー人の魔道士の野心によって聞かれた扉は、ー人の魔法使いとー匹の猫によって閉じられた。
世界の危機を救った英雄――。
黒猫を連れた彼の魔法使いの事は、いつしか”黒猫の魔法使い”と呼ばれるようになった。
人々は、まるで英雄の話をするかのように、“黒猫の魔法使い”の噂を語る。
しかし”黒猫の魔法使い”は人々の前から忽然と姿を消してしまった。
どうしていなくなったのか?どこへ行ってしまったのか?
理由も行き先も、知る人はいない。
そうして――。
“黒猫の魔法使い”が人々の前から姿を消して半年が経った。
……ちゃんと聞いてるのかにゃ?
聞いているようでいて、まるで話が頭に入っていない事がバレてしまったようだ。
ウィズは少し呆れたように、ため息をつく。
キミって人は、魔道士なら誰もが羨む名誉をあっさり捨ててしまうんだからにゃ。
それは、師匠譲りなのだからしょうがない。
君が隣を歩くウィズにそう言うと、「にゃはは」と満面の笑みが返ってくる。
活躍が認められ、君は魔道士ギルドの総本山中央本部からの召還礼状を受けた。
その誘いを断ったのは、もう半年も前の事になる。
にもかかわらず、中央は未だに君の事を探しているというのだ。
優秀な魔道士を招き入れるためなら、躍起にもなるってものにゃ。
ウィズだって他人事じゃないだろうに。
だからこそ、
だから、こうして旅をしてるわけにゃ。
ウィズが、優しげな目で君に微笑みかける。
ウィズが指し示した先に君が目を向けると、視界にそびえたつ大きな壁が見えてくる。
周囲をぐるりと壁に囲まれた城壁の街ロレンツィオ。
ウィズと話しているうちに、どうやら目的の街に着いてしまったらしい。
城壁の街ロレンツィオ
story
門をくぐると、街の喧騒が飛び込んでくる。
道行く人々の笑い声。露店の店主の呼び込みの声。
活気に満ちた街の様子に、君もウキウキとした気持ちを止められない。
少しだけ寄り道したい気持ちを抑えて、君は慣れた足取りで街の中心を目指す。
ほどなくして、大きな教会が見えてきた。
少しだけ含みを持たせたウィズの声に君は黙って頷き、教会に足を踏み入れた。
街の喧騒が嘘みたいに、教会の中は穏やかな空気に包まれている。
独特の空気に少し中てられながらも、キョロキョロと視線をめぐらせる。
視線の先にー人のシスターの姿を捉えると、君はほっと表情を崩しながら近づいた。
ふふ。今さらですけど、お決まりのご挨拶ですね。
魔法使いさんは、今日もお仕事をお探しですか?
君が頷くと、シスター・ベルナデッタは少しだけ困った顔をした。
“ギルドに登録していない”魔道士に、ギルドからは仕事を与える事はできない?
少し思案すると、ベルナデッタは依頼書の束をごそごそと漁る。
とても魔道士への依頼とはいえないものですが……。
それでもいい、と君が答えるとベルナデッタは、にこやかに頷いた。
街のごみ拾いに、水路の清掃……。ホントにただの雑用ばかりにゃ。
仕事があるなら、それでもいい。
君はウィズと顔を見合わせると、ギルドを後にする。
story
「うーん」と四肢を伸ぱすウィズを真似て、君も思いきり体を伸ばす。
仕事を終えて君が戻ってきたのは、街外れにある古びた教会。
ふとした成り行きから君は今、この教会でお世話になっている。
今日は思いのほか稼ぎもあり、ウィズも機嫌がいい。
そんなウィズの顔が、ふと曇る。
笑顔からー変して疲れた顔を見せるウィズに君も苦笑いで応えた。
story
君は恐る恐る「ただいま」と声をかけて教会の大扉を開く。
とたん……。
あっという間に周りを子供たちに取り囲まれ君は身動きすることもできない。
ちらりとウィズに目を向けると、彼女は無理やり抱きあげられグリグリ頭を撫でられていた。
子供たちにされるがまま困り果てていると、君の背後から凛とした声が響く。
振り返ると、そこにはロレンツィオのギルドマスターが、腰に手を当てて立っている。
男の子のー人が叫び声を上げる。
男の子が叫び声を上げて逃げるよりも速く、ベルナデッタの手が男の子の頬をつまむ。
いいですか?目上の人にはちゃんと敬意を払わなければー。
ベルナデッタの手をするりと抜けると男の子は教会の外へと駆けていく。
その後を追って、他の子供たちも駆けていった。
ごめんなさい、魔法使いさん。お仕事で疲れてるのに大変だったでしょう?
大丈夫です、と君は笑顔を向ける。
この教会にいる子供たちは、何かしらの理由で親をなくした孤児だという話だ。
ベルナデッタはギルドマスターであると共にー人で教会の管理もしている。
他に子供たちの世話をする人はいないのだろうかと、君は怪厨に思う。
あの子たちが、あんなに他人に懐くなんて、今までなかったことですから。
“懐く”といわれると、どうだろう?
首を傾げる君にベルナデッタは笑顔でお礼の言葉を述べた。
教会に用意された客間。この部屋が、今の君たちの仮の宿だ。
この教会にお世話になりはじめて数日、君はようやく「本来の目的」に従事する事ができる。
目的はもちろん「猫の姿になってしまった」ウィズを元の姿に戻す事。
山積みにした分厚い魔道書をめくりながら、今日も静かに夜が更けていく。
同じように魔道書をめくっていたウィズが、欠伸を噛み堪えながら言う。
ー般の魔道書で得られる知識なんて、たかが知れてるにゃ。
ー応、ルシェにも頼んではいるけど期待薄にゃ、……。
とはいえ今、たったーつだけある手がかりといえば、真名転成だけ。
真名を捨て、別の真名を得るという禁術。
その禁術は、存在を書き換え、何者にも変異する事ができるという。
ウィズの姿を猫へと変えたのも、ひょっとすると真名転成が関わっているのかもしれない。
だとすれば、それにすがりつくしかない。
気合いを入れて魔道書を捲る君に、ウィズが不思議そうに言う。
中央に呼ばれるという事は、数多の魔道士たちの夢にゃ。
そんな夢を蹴っとばす魔道士なんて、聞いた事ないにゃ。
きみがそんな事言う?
呆れたように君が言うと、ウィズは「にゃはは」と声をあげて笑う。
何にせよ、中央には存在がバレないように気を遣わないといけないにゃ。
そのために、身分を隠している。
もっとも、そのおかげで満足に仕事にもありつけないわけだけれど……。
何とも楽しそうに語るウィズに、ついつい君の顔にも笑顔が浮かぶ。
外はすっかり夜の帳が降りている。
君は頷くと、部屋のベッドに横になり、静かに目を閉じる。
……。
…………。
どこか遠く……。
獣の唸りのような音が聞こえた気がした。
あれは何だろう?
この街に来て以来、たびたび聞こえてくる音は、森を抜ける風鳴りらしい。
……。
その風鳴りに耳をすませている内に、いつしか君は眠りについていた。
story
君は、今日もベルナデッタに回してもらった雑用のような仕事をこなしている。
黙々と仕事をこなす君の隣で……。
君の隣で寝そべったまま、ウィズが大きな欠伸を漏らす。
そんなに暇なら、少しくらい猫の手も貸してくれたっていいのに……。
不満げに漏らす君に、ウィズはため息交じりに応える。
ウィズの言うとおり、今日は回してもらえた仕事もほんの少しだけ。
まあ、本来ならまるっきり仕事がないのだから、文句を言う筋合いもない。
軽く息を吐き、君が僅かばかりの作業に戻ると、また、のんびりとした静寂が訪れた。
story
早々に依頼を終えた君は、まだ陽も高い内から教会へと引き返す。
教会の前まで辿り着くと、ウィズが怪誘な顔を浮かべた。
ウィズの声に、君は顔を上げる。
すると、床下や積んだ薪の間に頭を突っ込むベルナデッタの姿が見える。
君はウィズと顔を見合わせ、ベルナデッタに話しかけた。
今日は、君は仕事が得られず戻ってきた旨を伝える。
これ以上街にいても、新しい仕事にありつけそうにはなかった。
やっぱり、ギルド登録した方がよろしいんじゃないですか?
魔法使いさんの実力でしたら、私も保証できますし、私が推薦すれば、すぐに仕事だってー。
ベルナデッタの申し出に、君は慌てて首を振る。
申し出はありがたいが、中央に気付かれてしまっては、いろいろと面倒だ。
君は話題を変えるために、先ほどのベルナデッタの奇行について訊ねてみる事にした。
おかしかったです。
君がはっきり告げると、ベルナデッタは少し落ち込んだ様子で口を開いた。
街の外に出る用事があったので、ついでに様子をと思って立ち寄ったんですけれど……。
言われて、君も教会に目を向ける。
いつもなら、喧しいくらいに騒々しい教会からは人の気配ーつ感じない。
シンと静まりかえった教会は、そこに誰もいない事を物語っている。
奥に行かなければ迷うような森でもないけど、姿が見えないと……ちょっと心配ですね。
だったら探しに行きましょうか?
君がそう進言すると、ベルナデッタはパァと顔を輝かせる。
よかった。魔法使いさんが探してくれたら安心……かな。
本当は私も探しに行きたいんですけれど……ううギルドの仕事がまだ残ってるんです。
任せてください。
そんな君の言葉に、ベルナデッタは少しだけ安堵の顔を浮かべる。
「よろしくね」と頭を下げると、何度も振り返りながらベルナデッタは街へと戻っていった。
story
近辺の森とはいえ、森は広い。
迷わぬよう準備を整え、足を踏み入れた君とウィズだったが――。
数歩も歩かないうちに、その歩みがピタリと止まる。
目の前の茂みがガサリと音を立てる。
音と共に、男の子が飛び出してくる。教会の少年だ。
君は少年に声を掛けようとするが、ウィズの制止の声が、それを止める。
言われて、君は草むらに身を隠す。
……。
男の子はキョロキョロと落ち着きなく辺りを見回している。
やがて周囲に異常がないとわかると、男の子は、もうー度、来た道を引き返していった。
さあ?と君は首を振る。
追いかけるにゃ!
story
行けども獣道。
東を向いているのか、西を向いているのか。南を向いているのか、北を向いているのか。
追いかけていたはずの少年の姿は、不意にどこかへと消えてしまった。
君は地図と太陽の位置を頼りに、現在位置のアタリをつける。
だいぶ奥深くまでやってきたようだ。
――と。
必死に考える君の隣で、ウィズの楽しそうな声が上がった。
視線の先には洞窟の入り口がぽっかりと口を開けている。
湿った地面には、いくつもの小さな足跡。
君とウィズは顔を見合わせると、警戒しつつ洞窟の奥へと進んでいく。
***
楽しそうなウィズの声が、そこかしこに反響している。
洞窟は仄暗いが、天井にはところどころに裂け目があるようだ。
そこから差し込む陽の光が岩壁に生える苔に反射して、淡い光を放っている。
うっとりと呟くウィズに、君も思わず頷く。
なぜこんなところにいるのか……その事も頭から抜け落ちてしまいそうだ。
ぐるる……ぐるるるる……。
遠くから洞窟を抜ける風鳴りが聞こえてくる。
まるで獣の唸り声のように。
幻想的な景色に、君はしばし酔いしれる。
その隣で、ウィズがぽそりと呟く。その声には、緊張の色が含まれていた。
声が聞き取れず、君は聞き返す。
ぐるる……ぐるるるる……。
風鳴りがはげしい。
まるで、耳元で鳴っているようだ。
突然、ウィズの声が洞窟内に響き渡る!
***
それなりの場数を踏んできたはずの君だが、魔獣を前に足が煉んでしまっている。
言われるまでもなく君はその事を痛感している。
君は意識を集中して、全魔力をー点に集中する。
まさに魔力を解き放とうとしたその時……。
君は思いもよらないものを目の当たりにする。
両手を広げ、まるで君から魔獣を護るように子供たちが立ちはだかる。
君もウィズも、ただただ呆気にとられるより他なかった。
story
木々の間からは温かな日射しが差し込み、穏やかな風が頬を撫でる。
耳に届く小鳥のさえずりに、君は思わずうっとりと耳を傾けてしまう。
少年の声に、君はウィズと顔を見合わせながら、思わず苦笑いを浮かべた。
少年に先導されて、君は今、森の中を歩いている。
古びた教会の裏手に拡がる森。
先日、足を踏み入れて迷い込んでしまった森だが今日はその心配もなさそうだ。
少年は迷う様子も見せずにズンズンと先を進んでいく。
勝手知ったる森の中、という事なのだろう。
少年の後をしばらく着いていくと、君の隣を歩くウィズの耳がピクリと動いた。
結界?
君が問い返すと、ウィズは静かに頷いた。
君は首を振る。
まあ、外敵から妖精たちが身を守る為に張った結界のようなものにゃ。
森を越えられなければ、同じ所をぐるぐるぐるぐる……ぜったい目的地には辿り着けないにゃ。
目的地に辿り着くには、妖精に認めてもらうしかないって言われてるにゃ。
君は首を捻って訊ねる。
この森が“迷いの森”という事だろうか?
そうでなければ……。
ウィズが視線で目の前を指す。
こんな大きな洞窟が、誰にも見つからないなんて事、絶対ないにゃ。!
君の目の前には先日迷い込んだ洞窟が口を広げている。
いつの間に辿り着いていたのだろう?
洞窟の入り口を見つめながら、君は先日の出来事を思いかえす。
洞窟の奥深く。
君の目の前で巨大な魔獣が唸り声を上げている。
けれど、その事よりも君が驚いたのは、
君と魔獣の間に子供たちが飛び出してくる。
子供たちを護るために、君は咄嵯に魔獣の前に飛び出そうとするが、
くうぅ~、ううぅ~っ!
子供たちが君の前に立ちはだかる。どうやら子供たちは、君に敵意を向けている。
君は慌てて構えを解く事にする。
…………。
……。
…。
魔獣は静かに寝息を立てている。
その周りで子供たちがはしゃぎ回っているが魔獣は意にも介していない様子だ。
ずいぶんと大人しいようだが、あの魔獣はロレンツィオで聞いた伝説の魔獣なのだろうか?
子供たちはずいぶん懐いてるみたいだけどにゃ。
ウィズの言う通り、子供たちは魔獣に抱きついたり、体の上で飛び跳ねたり……。
魔獣相手に危険ではないのだろうか?呟くと、
子供たちが口々に声を上げる。
ふと、隣から聞こえた何気ないウィズの言葉に君は振り返る。
ウィズは魔獣にじゃれつく子供たちをじっと見つめていた。
ウィズの様子が少しだけ気になって、君は問いかける。
もっとも頼れるものを失った時、いったい何を信用したらいいのか……。
子供たちを見つめながら、少しだけ寂しげな表情を浮かべるウィズに、君は思う。
ひょっとしてウィズも……。
ぜったい大人たちなんかに言うなよ。ベルナデッ夕にも言っちゃダメだからな。
子供たちを見て、もうー度ウィズに目を向ける。
先ほどまでの憂いはどこにも感じない。
ウィズに……子供たちにとって、何か大切なものに触れるような気がして……。
もちろん言わない、と君は頷く。
少年の声で、君はハッと我にかえる。
洞窟の入り口を見ながら、ぼおっとしていたらしい。
オマエが秘密を守るっていうから、仕方なく連れて来てやってるんだからな。
言いながら、少年はズンズンと洞窟の奥へと入っていく。
強力そうな結界だし、街の人たちにここが見つかる事は、まずないと思うにゃ。
ウィズの言葉に、君は僅かに疑問を抱く。
だったら子供たちはどうやってここを見つけたのか。
だったら、きみの場合は?
君の疑問に、ウィズは笑って、
自分で言うなら世話はない、と君は思う。
story
仕事を求めて君がギルドを訪れると、数人の人々がベルナデッタを取り囲んでいる。
どの顔も、どことなく険しい。
私から手を離す事はありえません。――あっ。
君が見ている事に気づき、ベルナデッタが声を上げる。
それを合図に、住人たちはため息を吐きながら離れていった。
君が先ほどの事を訊ねると、ベルナデッタの顔が目に見えて曇り、
ベルナデッタは大きく息を吐くと、重々しく口を開く。
ベルナデッタの言葉に、君は黙って頷く。
あの教会に“大人”はいない。
その事は、あの教会に世話になりはじめた時から密かに気になっていた事だ。
の国の孤児たちは、ギルドのあるこの教会で面倒を見ています。
ベルナデッタの言葉に、君は顔をしかめる。
この国の孤児たちは、この教会で面倒を見られている。
それはつまり……。
あの教会の子供たちは、この国の子供たちではありません。
みんな、異国の孤児たちなんです。
だったら、この国の孤児たちと同じく、この教会で面倒を見る事ができないのだろうか?
そんな君の疑問を感じたのだろう。ベルナデッタは静かに首を振る。
自国の問題ならばともかく、他国の問題は関わりたくない、というのがあるのでしょう。
もちろん、善意で寄付してくださる方もいますがそれでも……。
大半の人々にとって、あの教会の子供たちは厄介者、という事だ。
ベルナデッタは沈んだ表情を笑顔に変えると努めて明るい声で言う。
仕事を引き受け、君はギルドを後にする。
けれど君の胸の中に、釈然としないもやもやが残っている。
ウィズもやけに神妙な面持ちをしているが、
あっけらかんとしてウィズは言う。
story
君は紹介してもらった依頼を終え、報告のために魔道士ギルドを訪れる。
何事もなく仕事を終えられたのは平和な証拠だからいいけど――。
せっかくだから、新しい仕事を見てみたらどうかにゃ?
そうだねと頷き、君はギルドマスターの元へ足を運ぶ。
苦笑いを浮かべるベルナデッタに、君はなんとなく想像がつく。
どうやら、君が請け負えるような仕事は人っていないようだ。
今日の仕事は諦め、君はベルナデッタに礼を言うと踵を返す。
すると、ギルドの入り口がにわかに騒がしくなっている事に気づく。
君はウィズと顔を見合わせ、ギルドの入り口へと向かう。
入り口では数人の屈強な男たちが、息を切らせてしゃがみこんでいる。
ただ事ではない様子に、ギルドにいた魔道士たちも、何事かと集まっていた。
ベルナデッタの声に男たちは顔を上げる。
かなりの焦りがあるのか、男たちは舌をもつれさせながら声を上げた。
story
深い森の中……
男の靴底が、ミシリと小枝を踏んだ。
その瞬間、
ザザッっと大きな音を立てて、男は木の上へと逆さ吊りにされる。
枝に吊るされた男は必死に体を揺さぶるが、足に絡まったロープはなかなか外れない。
その様子を見て、少年は満足そうに声を上げる。
アイツには絶対近づかせないぜ。
おい魔法使い、オマエもちゃんと働けよな。
少年に急かされて、君は”落とし穴”を掘る手を速める。
にゃはは。魔法使いを廃業して、子供たちに雇ってもらうのもいいかもにゃ。
ウィズの冗談に、君は苦笑いを浮かべながら手を動かす。
すると、頭上から鋭い声が響いてくる。
この森は今、魔獣が現れたとかでー。
少年の背中に向かって、男は逆さ吊りのまま魔法の詠唱をはじめる。
軽いショックを与える程度の雷撃の魔法だ。
君は男の魔法に気づくと、魔法の詠唱をはじめる。
僅かな差ではあったが、君の魔法の詠唱のほうが早い。
逆さ吊りの男の体を霧のような爾が包む。
その瞬間、男の体から力が抜け、大きな寝息が聞こえてきた。
久しは少ぶりにウィズに褒められたような気がして君は少しだけ心が弾む。
考えてみれば、ウィズに魔法の師事を受けた事はほとんどない。
ウィズが元の姿に戻ったら、さっそく魔法を教えてもらいたい、と君は思う。
少年はウィズを抱き上げると、
“黒猫の魔法使い”?
思わずどきりとして、君は聞き返す。
“黒猫の魔法使い”は世界を救ったすげえ魔法使いなんだぞ。
興奮気味に話す少年に、君は頬を染める。
まあ、オマエも魔法が使えるみたいだからな。ちょっとは認めてやるよ。
それより、悪い大人はまだまだたくさんいるんだからな。“えんぐん”にいくぞ!
少年は意気揚々と駆けていく。
こんな事を続けてたって、いずれ手が回らなくなるにゃ。
木の上で逆さ吊りのまま眠っている男を下ろすと君は表情を引き締める。
彼は街のギルドで依頼を受けてやってきた魔道士だ。
彼のような魔道士や屈強な男たちが、ひっきりなしに森に入ってきている。
魔獣発見の報告を受けて、ギルドには魔獣捜索の依頼が出された。
街の平和を護ろうという者、魔獣を倒し名を上げようとする者。
今のところ、魔獣が人々に危害を加えるような気配はないが――。
とはいえ、ギルドの依頼が取り下げられるようなこともなさそうだ。
どうしたものか、と君は途方に暮れる。
story
周囲を見回しながら、ウィズが呟く。
魔獣が見つかったのも、結界が壊されてしまったせいにゃ。
けど、なんだか信じられないにゃ……。
難しい顔で考え込むウィズに、君は訊ねる。
おそらく、あの魔獣を閉じ込めておくための結界にゃ。
並の魔道士には、ぜったいに壊す事なんてできっこないにゃ。
それは、ウィズの力でも?
君の問いに、ウィズは「にゃはは」と笑う。
きっぱりと言う。
けど、壊そうとすれば相応の反動があるにゃ。魔力をぶつけたとたん消し飛んでしまうにゃ。
9人失敗して、10人目で何とかなるかもしれない。そんなレベルの結界にゃ。
もちろん解除だって不可能だと思うにゃ。きり池丿ずいぶん古い結界だったからにゃあ……おそらくエンシェントクラスにゃ。
“エンシェンドと呼ばれる途方もない表現に、君は眩軍を覚える。
並の魔道士では、足を踏み入れる事すらもできない未知の領域……。
それは、ある種の“奇跡”といってもいい。
それと共に、10人いれば何とかなるかもしれないというウィズの凄さに、君は驚嘆する。
“聖賢”と呼ばれる存在は、そんな途方もない存在なのだと、君は実感した。
何かいい方法があればいいんだけどにゃ。
君は頷くと魔法を唱える。
辺りを深い霧に包む魔法、幻覚の魔法、その他、思いつく限りの目くらましの魔法……。
時間稼ぎにしかならない事はわかっているが、今はこれしか方法がない。
ー通りの魔法を唱え終わると、君は先に行く男の子の後を追う。
story
ギルドでは、そこここで“魔獣探索”の噂話が囁かれている。
君は依頼の貼られた掲示板を眺めながら、こっそり噂話に聞き耳を立てる。
話はバラバラで、まるで統ー性がない。
とても同じ依頼を受けて森に入ったとは思えない内容だ。
あの洞窟の事は、まだ誤魔化せてるみたいにゃ。
君は安堵のため息を漏らす。
“森に魔獣が出だという噂は、今では”様々な事が起こる森”の噂に変わっている。
信憑性のない話ばかりのせいか、ギルドに集まった魔道士たちの興味も薄らいできたようだ。
結界が解けてるわけだから、根本が解決するわけじゃないけどにゃ。
まあ、どうするか考えるための時間稼ぎにはなるにゃ。
そうだね、と君は頷く。
結界が失われた以上、あの洞窟が見つかるのも時間の問題……。
だったら、新しい結界を張りなおす?そんな考えも、すぐに無理だと気づく。
今の君に“エンシェンドクラスの結界を張る事なんて、とてもできない。
それは聖賢と呼ばれるウィズでも同じ事だろう。
君の頭に浮かぷのは、魔獣に懐く子供たちの様子。
街での子供たちの待遇を聞けば、あの魔獣が子供たちの心の拠り所なのだとわかる。
このままでは、良くない……。
心の中ではそうも感じつつ、今の君は魔獣を守るという方法しか思いつかない。
story
受けられそうな依頼を選び、君はギルドを後にする。
すると、突然背後から声がかけられた。
何か言いにくい事なのか、ベルナデッタの表情は硬い。
しばらく逡巡した後、意を決すると、ベルナデッタは重い口を開く。
君は驚きの顔を向ける。
それに、これほどの魔法が使える魔道士なんてそうそういないでしょう?
――“黒猫の魔法使い”さん。
にっこりと微笑みながら言うベルナデッタに君は慌てて目を逸らす。
ある程度の事は、知られてしまっているらしい。
それに――。
ベルナデッタには知ってもらってたほうがいいにゃ。
これは、あの子たちにとっても必要な事にゃ。
君は頷くと、ベルナデッタにこれまでの経緯を語って聞かせる。
心配の色を濃くするベルナデッタに、君は心配要らないと告げようとするが、
ウィズがそっと君に耳打ちする。
それはつまり“そうする必要があったから”という事にゃ。
結界に閉じ込められていたのか、それとも護られていたのか……。
何れにせよ、何かが起こった時では遅いにゃ。
story
ベルナデッタと共に君は教会に戻ってくる。
教会の扉を開けると、子供たちが君たちの周りを取り囲む。
子供たちの出迎えにベルナデッタの表情は硬い。
いつもとの僅かな変化に、子供たちの表情が曇る。
ベルナデッタは子供たちを見回すと、
静かに、淡々と言う。
その言葉に、子供たちの視線がー斉に君に向いた。
悪く言ってはいけないわ。
ぜったい言わないって約束したんだ!
まっすぐな瞳が君に向けられる。
必要な事とはいえ、子供たちとの約束を破ってしまった君は、目を合わせる事ができない。
悪いようにしないから、魔獣の事はギルドに任せて――。
任せろとか言って、アイツの事どうするつもりだよ!
答えられない。
ひとたび魔獣が暴れだせぱ、街の人たちに危険が及ぶ。
たとえ今、魔獣が大人しくしていたとしても暴れださない保証はどこにもない。
危険の芽は早い内に摘む……それはギルドとしては正しいあり方。
なにより、魔獣を封じていた結界の強さから考えると、危険を生む可能性のほうが高い。
けれど、そんな理由は子供の理屈の前には通用しない。
……信用なんてできるか!
感情を爆発させて、子供たちが教会を飛び出していく。
…………。
……。
…。
その夜、子供たちは教会に戻ってこなかった。
story
夜が明けると、君は魔獣の洞窟に向かう事にする。
子供たちが行くところといえば、あの洞窟以外にない。
教会を出る。すると、遠方に黒煙が見えた。ど
なんだか、嫌な予感がするにゃ。
ウィズと顔を見合わせて頷きあい、君は不安に駆られながら先を急ぐ。
街に辿り着いた君とウィズは、目の前の光景に呆然とたたずむ。
崩れた城壁、街の中から聞こえてくる悲鳴。ただ事でない事は、ー目でわかる。
story
君は、慌しく駆け回る街の衛兵のー人に声をかける。
お前、魔道士か?手が足りんッ!!だったら手を貸せ!
君は頷き、衛兵と共に魔獣の元へと向かう!
巨大な体躯と地鳴りのような咆呼。
君の目の前で暴れているのは、間違いなく洞窟で見た魔獣だ。
集められたギルドの魔道士や、街の衛兵たちが戦っている。
けれど、あまりに強大な魔獣の力に成す術がない。
***
君の姿を見つけて、ベルナデッタが駆けつける。
よほど戦いが激しかったのか、身なりはボロボロに傷ついている。
すでに、街の住民の避難はできています。さあ、魔法使いさんもコチラに――。
言いかけた声がピタリと止まる。
絶望したかのような声に、君は黙って頷く。
燃え盛る炎の音、轟く魔獣の唸り……その音に混ざって、かすかに子供の声が聞こえてくる。
その声の元を注意深く探っていく。
ベルナデッタの指す先に、君は数人の子供たちの姿を捉える。
教会の子供たちだ。
無事な姿に僅かな安堵の後、君とベルナデッタは子供たちに駆け寄る。
子供たちが魔獣を指す。
その先に、君とベルナデッタは目を見開く。
魔獣の背の上に、少年の姿が見える。
どうやら気を失っているのか、その体にはぐったりと力がない。
唸りをあげ、魔獣が身を揺する。
このまま、いつ少年が振り落とされても不思議ではない。
ベルナデッタが問いかけてくる。
その声は、冷静に……。
その問いは”魔法使い”ではなく”黒猫の魔法使い”に対するものだ。
君は考えたあと……静かに頷く。
討つとまではいかなくとも、時間を稼ぐ事はできるかもしれない。
今から、私があの子を取り戻します。
私があの子を助け出したら、魔法使いさんはありったけの魔力をぶつけてください。
作戦というには、あまりにも無謀な作戦。けれど考えている時間はない。
君は静かに眼を閉じると、体のー点に意識を集中する。
それを合図に、
魔獣に向かってベルナデッタが駆ける!
魔獣の牙を避け、爪の間を縫うように……。
魔獣の背に横たわる少年を担ぎ、ベルナデッタが跳躍する。
瞬間、
耳に届く風鳴り……。
舞い上がるベルナデッタの体……。
着地……。
血ダマリ……。
少年が、薄っすらと目を開く。
目の前の光景を呆然と見つめ、
体を揺する。
ベルナデッタは動かない。
少年には、何が起こっているのかわからない。
唸り声を上げ、魔獣が二人に近づく。
君は魔力を開放しようとするが、
魔獣のすぐ足元に、ベルナデッタと少年が倒れている。
それはわかっているが、君にはどうする事もできない。そのとき、
コツッ……鈍い音。
その音が、誰かの投げた石の音なのだと、君は気づく。
その音はいくつも重なり、ついには魔獣の注意を逸らす。
人々の手から次々と石のつぶてが放たれる。
唸り声を上げ、魔獣はゆっくりと石を投げる街の人々へと向かう。
その隙を突いて、別の男がベルナデッタと少年の体を抱えあげていた。
ベルナデッタと少年が、離れた場所へと運び出される。
目の前には何の障害もない。
君は心置きなく、魔獣に挑む事ができる!
***
君の開放した魔力の塊が魔獣に放たれる。
魔獣はー声咆呼をあげると地に倒れ伏した。
story
魔獣の封じられていた洞窟。
君は今、主が消えてひっそりと静まり返った洞窟に立っている。
君の目の前には、大きな“珠”が安置されていた。
あの魔獣が姿を変えたものだ。
まるで、どこかのお噺にある“世界の不幸を詰め込んだ箱”にゃ。
ぜったいに開けちゃいけないと言われたその箱が目の前にあるみたいにゃ。
安置された珠を見ながら、ウィズが顔をしかめながらに言う。
君も珠に目を向けるが、呪いや禁忌といった禍々しい気配はいっさい感じない。
君は、あの魔獣との戦いを思い返す。
辺りから上がる喚声。
喜びの声の中、子供たちは放心したかのように倒れた魔獣を見つめている。
なんでアイツをイジメるんだよ、魔法使い!
子供たちから浴びせられるのは罵声。
しかし、一方で――。
子供たちをかばい、傷ついたベルナデッタは意識を失ったままだ。
周囲の大人たちに甘えることができず――。
わずかな心の支えとなっていたのは、ベルナデッタと、この魔獣。
子供たちの葛藤を思うと、君とウィズは何の言葉を発することもできない。
子供たちの声に魔獣が薄っすらと目を開く。
慌てて子供たちを引き戻そうとする人々を、黙って君は引き止める。
魔獣の目には、街を襲っていた時のような禍々しさはない。
洞窟で見た、どこか穏やかな瞳だ。
やがて魔獣は再び……。
ゆっくりと目を閉じる。
その体は光に包まれ“珠”だけが残った。
あの子たちも……キミも……。
泣きそうな顔をしていたのだろうか。
魔獣との戦いを振り返っていた君に、ウィズがそう囁く。
その声に、ただの同情とは思えない“何か”を君は感じる。
やけに、肩入れしていたような……。
少し、昔を思い出してしまっただけにゃ。
ウィズはそれ以上語ろうとはせずに、
解かれた封印……突然、暴れだした魔獣……。
まるで、誰かの意思で動かされているみたいにゃ。
それは、君も感じている事だ。
子供たちが教会を飛び出した時、いったい何が起こったのか……。
君は少しだけ落ち着きを取り戻した子供たちから話を聞く事ができた。
洞窟で魔獣を助ける作戦を練っていた子供たち……。
そこにフードで顔を隠した魔道士が現れたという。
警戒する子供たちに、魔道士はただ「心配ない」と……。
気がつけぱ魔獣が暴れている。
子供たちには、何が起きたのかサッパリわからない様子だった。
story
それに、何が目的で――。
言いかけたウィズの言葉がピタリと止まる。
背後から近づいてくる気配に、君も当然気がつく。
お話を聞かせてもらえると、ありがたいんだけど……。
ウィズの言葉を合図に、君は身構える。しかし、
戦闘態勢をとる君を前に、フードの魔道士は踵を返した。
ウィズの声に弾かれるように、君は魔道士の後を追う。
story
洞窟奥に魔道士を追いつめ、君は再び身構える。
そのすぐ隣を、火球が通り過ぎていく!
……気をつけるにゃ。ただの魔道士じゃないにゃ。
口調とは裏腹に、珍しく警戒の色を強く出すウィズに、君も気を引き締める。
言われるまでもなくわかる。
対峙しているだけで、押しつぶされそうなくらいに強い魔力を魔道士から感じる。
この魔道士はケタが違う!
君は目の前の敵に意識を集中する。
***
物陰からウィズが魔道士に飛び掛った。それは僅かに魔道士の隙をつく。
魔道士の被っていたフードが飛ぶ。そして、
君とウィズは信じられないものを目の当たりにする。
君は思わず、隣の黒猫に目を向け……何度も魔道士と見比べる。
何度も何度も、目の前の答えに行き着く疑問を頭の中で繰り返し……。
それでも変わらない答えが目の前にあった。
目の前に立つのは、紛う事なく”ウィズ″'。
“四聖賢”のー人で君の師である大魔道士だ。
目の前に立つウィズ(?)に、君もウィズも言葉を忘れてしまう。
ただ呆然と見つめる。目の前の事象に理解が追いつかない。
動く事もできない君とウィズを残し、ウィズ(?)は忽然と消える。
君はようやく、ゆっくりと口を開く事ができる。
今のは、幻覚の魔法か何かだったのだろうか?
軽口を口にするウィズだが、いつものような余裕を感じられない。
無論、君にも理由はわかっている。
さっき目の前に現れたのは”本物”のウィズだ。
ウィズが明るい声で、そう切り出す。
もう、すっかりいつもの余裕を取り戻しているようだ。
君は問い返す。
すぐそこに、あったのかもしれないにゃ。
君に向けてウィズがパチリとウィンクする。
確かにその通りだ、と君も頷く。
言いようのない不安は、いつの間にか希望へと変わっていた。
story
少しだけ寂しそうな声で、ベルナデッタが訊ねる。
君は力強く頷くと、今までの感謝を彼女に伝える。
ベルナデッタの傷の治りは良好で、もう少しすればギルドの仕事にも復帰できるとの事だ。
そうだ、あの子たちにも伝えないと。
待っていてください。すぐ、あの子たちを呼んできます。
子供たちを呼んでこようと席を立つベルナデッタを君は引き止める。
今は農作業の時間で、子供たちは教会で決められた奉仕作業へと出かけている。
あの魔獣騒ぎで、街の人たちも思うところがあったのかもしれません。
あの子たちも、少しずつですけど街の人たちに心を開いてきてるんですよ。
きっと魔法使いさんのおかげですね。
君は首を振る。
大ケガを負ってまで、魔獣から子供たちを守り抜いたベルナデッタ。
子供たちの氷の心を溶かしたのは、彼女の勇気ある行動と――。
街の人々に疎まれても注ぎ続けられた、愛情にあったはずだ。
ベルナデッタは嬉しそうに微笑む。
きっかけを与えてくれたのは、魔法使いさんですよ。
ベルナデッタに見送られて教会を出る。
目指すは次の街“オウランディ”。
フードの魔道士が、その街に向かったと君は情報を得ている。
少しだけ後ろ髪を引かれるのを感じながら歩き出すと、後ろから声が聞こえた。
君はその声に振り返る。
君の元に、子供たちが駆けてくる。
息を整えながら、男の子が君を睨みつける。
アイツは大事なトモダチだったんだ!
君は黙って、その視線を受け止める。
ベルナデッタを助けてくれた……だから……。
男の子の声が、だんだんと小さくなる。
ひねくれた男の子の言い方に、君はなんとなく可笑しくなる。
気がつけぱ、君は声を上げて笑っていた。
ベルナデッタを助けたからっていい気になるなよ!次はオレが助けるんだからな!
そんな男の子に、君は手を差し出す。男の子はニヤッと笑うと、その手をとった。
心地の良い風が吹いた。
君は足を踏み出す。
君の後ろからは、君を送り出す教会のみんなの声が聞こえてくる。
“黒猫の魔法使い”ーっ!
ウィズに言われ、君も苦笑いを返す。
君はもうー度だけ振り返って、大きく手を振る。
そして、まっすぐに前を見つめ……。
ようやく見つけたウィズを元に戻す手がかり。
元気なウィズの声に頷き、君はー歩を踏み出す。
その先に、希望が続いていると信じて。
ロレンツィオで大きな試練を乗り越えた君とウィズ。
ひとつの手がかりを追ってたどり着いたのは、無数の風車に囲まれた風の郷『オウランディ』。
風の神の伝説に守られたこの場所で、巻き起こる波乱と新たなる真実。
運命の嵐に翻弄される君の物語は――
風の郷「オウランディ」、ついに9月開放決定!!