【黒ウィズ】エナローゼ編(サマコレ2020)Story
開催日:2020年6月30日 |
目次
story
君たちは、ヨピコやキャリンと共に人助けの旅を続けていた。
yふう~。
yこの世界ってどうやってできたのかなって、時々考えるの。
kお前、そんなかしこいこと考えるキャラじゃなかったはずミャオ!
yある人が言ってたの。世界は、何度も爆発しては生まれ変わり、また爆発して生まれ変わるって。
私たちがこうして生きていた証も、いつか消えてなくなるのかー。なんて考えたら、ちょっと寂しいなって。
yそれもそうかー。
k騙されてるミャオ。お子様だミャオ。
yいきなり暗くなったよ!?
はじまり……。それはいつも偶然から生まれる。
はじまり……。それはとても偉大なもの。
はじまり……。それはすごくミステリアス。
だから人々よ。はじまりの魔道士であるこの私を崇めるのです。
kこの声。聞いた覚えがあるミャオ。あのエナローゼというやつの声ミャオ!
Eあなた方は、世界誕生の真実を知らないようです。それを今から教えてあげるのです
そして、はじまりの魔道士である私が、どうして偉大なのか、その理由をとくと知るのです!
y知りたい。教えて!
Eはじまりの魔道士のはじまり……今より遥か遠い昔のお話。
世はまだ、混沌として、ひとつの形をなしていなかった時代。
私……エナローゼの自我が、混沌の片隅で生まれたのです。
私はひとりぼっちで寂しかったのです。だから、まず形の定まっていないものを整理して、宇宙に小さな塊を作ったのです。
Eそれは……『ハム』。
kハムー!?
Eその時、この世で初めて『ハム』が生まれたのです。
肉厚でとってもジューシーなのです。
yハムって、お肉からできるんだよね?言ってることおかしいよね?
Eそして、次に私は作ったのです、青緑に輝くすべての希望――
Eそれは……『メロン』。
y……おい、こら。
Eはじまりの魔道士が生み出す、ありとあらゆる美味に導かれ……さまざまな星たちが集まってきました。
その中にある、特別な存在。
Eそれは……『ドロっと溶けた香ばしいチーズ』。
y聞いて損した。
E絶対ふざけてるにゃ。
kもったいぶった顔して人をおちょくってるだけミャオ!降りてきて勝負するミャオ!
E降りてこいというのならば、いつでも降りてきてあげるのです。
kキャシャー!みんなでこいつを袋にするミャオ!
E私から、この世界の真実を聞きたくないのです?知りたい難しいこと考えたい年頃なのでは、今度は真剣に教えてあげましょう。
y知りたい!難しいこと考えたい年頃なの!
Eでは、今度は真剣に教えてあげましょう。
この世界に潜む、真の闇を……。
y真の闇とは!?
***
天と大地に分かれる前の時代。この星には、まだ水しかなかったのです。
yなんか聞いたことある!
k今度は、まともな話っぽいミャオ!
大地が誕生する遥か昔。いずれ『海』と呼ばれる場所にある存在が、天より降り立ちました。
出来たばかりのこの世界を支配し、『神』となるべく、彼はやってきたのです。
その名も『ニョロ』。
y名前かわいい!
ニョロは数々の世界を破壊した悪い生命体だったのです。
そしてついに、目をつけられてしまったのです。
k悪そうな奴、それを止められるのは――
そう。はじまりの魔道士しかいないのです!
ニョロとの激しい戦いが、7日7晩続いたのです。
その間に天は裂け、海はひび割れて、空と大地ができたと言われているのです。
あと、水着て戦っていたので、空から降ってくる強烈な太陽光を防ぐために雲を生み出したのです。
空に雲が浮かぶようになったのは、その時から……と言われてるとか、言われてないとか。
yどっち!?
さあこれで、みなさんわかったはずなのです。
大地も空も、霊も海も、すべてこの私――エナローゼから生まれたのだと。
だから、みんなもっと私を尊敬するのです。そして、はじまりの魔道士の名を永還に語り継ぐのです。
yできたよー。
Eほえ?
k旅の途中だ。文句言うなミャオ。でも、お肉が恋しいミャオ。
Eはじまりの魔道士のありがたいお話を袖にして、ご飯を食べようとしているのですか!?
yホラ話はもういいよ。
Eまさか、今の話を嘘だと思っているのです?
kありえないミャオ。戦っている最中に天が裂けて、お尻がひび割れたなんて――
Eそういう態度で来るのであれば、私にも考えがあるのです。
kお?なんだ。今度こそ本気でやるミャオ?
E私の話が嘘じゃないと証明してあげるのです。ニョロに会わせてやるから、ついてくるのです。
yその変な名町の人、本当にいるの?
E嘘つき扱いは心外なのです。目にもの見せてやるのです。
でも……。
会わせる前に……少しだけ、ご飯を食べさせて欲しいのです。
y海に着いたー!
kひゃっほー!遊ぶミャオ!
なにがあったんだろうね?と君も首をかしげる。
Eどうやら、奴が海から出てきたようなのです。
うねうねしている。小さな生き物のように見えるが。
y一体何があったの?
k話してみるミャオ。
Eふむ……なのです。
エナローゼは、うねうねしたものを手にして海を睨んでいた。
Eしかと見るのです……。これこそ、私の宿敵『ニョロ』がいるという証拠なのです。
どういうこと?と君は訊ねた。
E天から飛来してこの世界を支配しようとした未知の生命体の切れ端がこれなのです。
y言われてみれば、にょろっとしてるね。
Eニョロは深海に濡み、世界を再び支配する機会をうかがっていたのです。
今や機は熟したと見て、まずは、海辺の村から支配することにしたようなのです。
E無礼な黒猫なのです。私は嘘はつかないのです。
kお前がハムとか、わけのわからんこと言うからミャオ!
E安心するのです!はじまりの魔道士が駆けつけたからにはもう安心なのです!
はじまりの魔道士と聞いて、ー瞬村人たちがざわめいた。
y意外と知られてるんだね。
Eどや、なのです。
ニョロとは、ー回戦っているから任せるのです。
yニョロって……まさか『ニョロロロフロテップ』のことだったの!?
k何だそれミャオ?
y深海に暮らし、時々人を脅かす、おぞましき悪神の噂を聞いたことある。
kそんなすごい奴だったなんて!
y今まで存在だけは知られていたけど、実際にその姿を見たものは誰もいない。
太古の昔、とある魔道士に負けたことで、深海に引きこもるようになった……そう言い伝えられてるよ。
Eとある魔道士とは私のことなのです。
E見直したか、なのです!
kわわわっ?こっちに来るミャオ!
E下がっているのです!
***
yなんか怒ってる!?
Eニョロもう、人々を苦しめるのは、やめるのです。
k喋らないミャオ。
y悪い神様だから、地上の人間たちとは口利かないのかもね。
ぷはー。水中と間違えて息止めてしまってたー。失敗失敗。
エナローゼ姐さんじゃないっすかー?どうしたんっすかー?宮業っすかー?
y……なんだかイメージしてたのと違うね。
kこっちを油断させる作戦かもしれないミャオ。
Eニョロ!聞いたのです!海辺の村に現れて人々を怖がらせていると!
私が来たからには、もうそんなことさせないのです!
勘弁してくださいよー。脅かすつもりなんてないっすよー!
E相変わらず、ごちゃごちゃうるさいのです!もうー度懲らしめてやるのです!
yいよいよ戦いがはじまる……!
E久しぶりにあれで決壊つけるのです、あっち向いてホイゲーム!
Eせーの!最初は、火の魔法。じゃんけん、雷!
Eなかなかやるのです!もうー回なのです!最初は――
y……なにこれ?
Eあいこで~しょ!あう、負けたのです!あっち向いて~。……ホイ!危なかったのです!
Eふん!やっぱり、私の方が強かったのです!
Eそんなこと言ってないのです。
僕、いま海から上がってきたばっかりなんっすよー!?ハンデくださいっすよー。
kなんかこいつうざいミャオ。
今ので罰ゲームっすかー?うっわ~。聞いてないっすよー!マジ聞いてないっすよー!
E言動に騙されてはいけないのです。こいつは、普段はこんなのだけど、怒らせるとやばいのです!
l全然そんな風には見えないミャオ。
そんなこと言わないで……これでもダメっすか?
ニョロは、手をさり気なく海に向けた。そして手首を少し捻った。
地鳴りがして、海が真っ二つに割れていく。割れた地面の隙間に海の水が滝のように流れ込んでいく。
E自然を破壊するのはやめるのです!
エナローゼは、杖を掲けた。
割れた海が戻っていく。そして、天に浮かぶおひさまが、急激に空を回り始め……。
夜と昼が、なんども交互に繰り返された。
kなんだかすごい勝負ミャオ!
y悪神と魔遭士らしいことしてる!
Eはあ……はあ……。魔法対決は、お互い互角のようなのです。
勝ったほうが、今度このこの地上を支配するということで……いいっすね?
Eやってやるのです!
yでも一体、なにで勝敗をつけようというの!?
Eウキウキドキドキ!浜辺のビーチバレー対決~!
y私も参加するの!?
E私、魔法使い、ヨピコ、キャリンの4人チームなのです。
yでも、向こうはひとりじゃない?
kいとも簡単に分裂したミャオ!こいつ、すごい使い手ミャオ!
kお前ら、いつ戟ったんだミャオ?
E遠い昔の話なのです。
サーブは、ヨピコに任せるのです!
yまあ、魔道排球を極めた私だから、バレーは得意だけどさ。
(……でも、あんなすごい力を持ってる悪神様に私のサーブが通用するとは思えない)
躊躇いなんて無意味。開き直って、練習の成果を見せる!そーれっ!
Eもうー発決めるのです!
yう……うん。
E打たせないのです!
Eこれは魔道排球なのです。魔法を使っちゃダメとは、ルールブックに書いてないのです。
E文句があるなら、この勝負やめてもいいのです。
「「「せ~の。やるっす!」」」
こうして、君とエナローゼ。そして、地上を狙う悪神ニョロとの魔道緋球対決は、佳境を迎え。
y私に任せて!とりゃー。電撃スパイク!
3-1でエナローゼ……いや、ヨピコチームが勝利した。
y今回も私の勝ちのようなのです。
E何度海から這い上がってこようと、この地上は、決してお前たちの好きにはさせない――
このはじまりの魔道士がいるかぎり!
Eその前に、罰ゲームを受けるのです。
ニヤッと笑うエナローゼの表情は、とても無邪気で、そしてサディスティックな喜びに満ちていた。
Eふふふ。それはどうかななのです……。
エナローゼが杖を掲げると、空が曇り、雷鳴がとどろき、海が割れ、風が吹いて嵐が巻き起こった。
Eさっさと海におかえり遊ばすのです!
杖を下ろす。たちどころに嵐がやんで、普段の青い空が戻ってきた。
kお前、そんなすごい力を持っているのなら、最初からそれで敵を倒すミャオ!
Eそれでもいいですが、私が本気を出したら、この世界の半分は吹き飛んでしまうのです。
だから、力を抑えているのです。
yやっぱり、すごい人だったんだねー。
エナローゼの凄さを目の当たりにして、君は思った。
もしかして、現在これほど平穏なのは、エナローゼのお陰なのかも知れない。
そう思わずには――
ですよねー。
Eどや、なのです。