【白猫】イリア(正月)・思い出
和装黒騎士 イリア・ノクターン cv.沢城みゆき 艶やかな衣装に身を包んだ孤高の騎士。 妖美な雰囲気と殺気で他を圧倒する。 | ||
2015/01/01 |
メインストーリー
思い出1
……明けまして、おめでとう。
もっと、めでたそうに言いなさいよ……
言えと言われたから、言ったまでだ。めでたいと思っているわけではない。
でも、言ってくれたんですね。ありがとうございます、イリアさん。
……慣れない役目だ。次は他の者に頼め。
それにしても……あんたの格好、ちょっと怖くない? それも<正月>なわけ?
タツノシンが言うには、そうらしい。
奴が生まれた東の島にも、正月というものはあるそうでな――そういうわけだ。
正月らしい格好とやらをしなければならない。
***
「なるほどねェ。しろと言われてするようになるたァ、あんたさんも、ちょいと丸くなりやしたねェ。」
「放っておけ。それで、どうだ。心当たりはあるのか?」
「任せてくだせェ。知り合いに、いい呉服屋がいやしてね――
こちらの旦那でさァ。」
「こりゃべっぴんさんだな。
おうおう、タツノシンのおっさん、あんたも隅におけないねぇ。」
「東の島には、とにかく無駄口を叩かねばならない、という風習でもあるのか?」
「怖ぇ怖ぇ。こういうタイプにゃ、やっぱこの格好が似合うんじゃねぇかな?」
「お、いいねェ。さすがは旦那の見立てだ。ささ、姐さん。さっそく着てみなせェ!」
***
……と、いう具合だ。
タツノシンに頼んだのが、そもそもズレてたんじゃない?
思い出2
あ、イリア! やっほー!
お? なんか、動きやすそうなカッコしてんな! 勝負しようぜ!
新年早々!?
いいだろう。
アンタもためらいとかないのね!?
ダリアたちとは、よく手合わせをしている。日課のようなものだ。
へぇ~。ちょっと意外ね。アンタたちの気が合うなんて。
確かにイリアはクールだけど、けっこう付き合いいいんだよ!
武技の修練に関してだけだ。手合わせの相手は多いに越したことはないからな。
わかるぜ、イリア! ライバルは多ければ多いほど、この拳も熱く燃え上がるってもんだ!
拳が燃えるかどうかはともかく、その意見は、まちがってはいない。
ふふっ、本当に気が合うんですね。
ていうか単に、3人とも戦闘バカなだけよね、これ。
さて……私もちょうど、身体を動かしたいと思っていたところだ。
ヒュウガよ。おまえの申し出、受けて立とう。ただし――
わかってるって。やるからにゃあ、お互い全力だ! 行くぜ!
ああ――来いッ!!
次、勝った方は私と修行ねー!
うーん、アタシたちにはついていけない世界だわ~。
そうね。でも、ちょっとうらやましいな。
思い出3
イリアってさ。ひょっとして、強いヤツが好き?
好き、というわけではないが……
優れた技量を持つ相手のほうが、矛を交えていて充実感を覚えるのは確かだ。
そうなんですね。たとえば?
……アンナだな。貴族の令嬢と侮っていたが、ヤツの培ってきた戦闘センスは、並みの槍使いの比肩しうるところではない。
センスっていうか……ビームとか出すしねぇ……
聞けば、セイクリッド公爵の一人娘だという。
であれば、その強さもうなずけるというものだ。
アンナさんのお父さん、そんなに強いんですか?
<戦神>セイクリッド公といえば、世界に武名を轟かせる槍術の達人だ。
槍の一閃で、並みいる敵を鎧袖一触に薙ぎ払う、まさに一騎当千の古強者。
――あまりの強さゆえ、<竜と契約して力を授かった>とまことしやかにウワサされている。
イリアさんは、戦ったことはないんですか?
残念ながらな。
残念なんだ……
音に聞く<戦神>の力がいかほどのものか、やはり試してみたくはある。ただ……
ただ?
手合せを申し入れたのだが、『娘の友達を傷つけたら、娘に嫌われてしまうから』と、断られ続けている……
……弱腰じゃん。そのパパ。
思い出4
イリアってさ。ひょっとして、強いヤツが好き?
その質問には、前に答えたと思うが?
今度は、ラブ的な意味で。
……………………
そんな不機嫌にならなくても。
不機嫌というわけではないが、正直、考えたこともない話だ。
そうなんですか? これまで、気になった人とかは?
ない。
となると、イリアのタイプの男性をアタシたちで探すしかないわね!!
なぜそうなる……?
第1問! 熱血タイプとクールタイプ、どっちがいい!?
うるさいよりは、静かなほうがマシだな。
第2問! 感性で動くタイプと知的なタイプ、どっちがいい!?
状況を把握し、冷静に判断する力に欠ける者は、戦場では足手まといになる。
第3問! スリムな痩せ型と、がっしりした筋肉質、どっちがいい!?
体力の差は、往々にして勝敗を分ける要因となる。
まとめると……
クールで、知的で、がっしりした人……
あ、どうも、恐れ入ります!
クールインテリシティボーイベアのカムイと申します。呼びました?
……ごめんイリア。やっぱなんでもないわ。
なんだったというのだ。
思い出5
ヒュウガじゃないけど、イリア、この島に来てから、確かに丸くなったわよね。
変化のない人間などいない。……それについては、よく知っているつもりだ。
イリアさん――
ただ――だからこそ、自分はもう<変わる>ことなどないだろうと、そう思っていた。
ではなく、槍となって――<変わりえぬ>ものに、成り果てたのだろうと……
じゃあ――それでも変われたイリアさんは、やっぱり、槍じゃなくて人間のままだった、ってことですよね。
どうやら、そうらしい。
昔は、怖いとさえ感じていた。<人は変わる>ということを。
<変わってしまう>ということなのだと。
いい人が、悪い人になってしまう。そういうことがあってしまうから、ですね。
でも、だったら逆もある、ってことだよね。
で、あるならば――それを怖がっていたところで何もできはしない。
誰が変わろうが、変わるまいが……騎士のすべきことは、それこそ変わりがない。
敵ならば倒す。味方ならば守る。その誓いを、抱き続ければいい――
吹っ切れたって感じねぇ、イリア。よかったじゃなーい?
この島には、珍妙な輩が多すぎるからな。
そんなことで悩んでいるのが、馬鹿馬鹿しくなるというのもある。
なんでこっちを見て言うのよ!
改めて考えると不思議に思えてな。
……おまえは、なぜ、猫なのに言葉を話せる?
今さらソレ聞くぅ!?
ふふっ――そうですよね。普通、そこ、気になりますよね。
納得いかなぁーい!
思い出6 (友情覚醒)
おーい! イリア~!
どうした? また手合せがしたいのか?
それは、さっきさんざんやったろ。熱いバトルのあとといったら――メシだぜ、メシ!!
ルーグとマイとキャシーが、あっちで鍋の準備をしてるんだ!
鍋! いいですね!
熱く拳を交わし合い、熱く鍋をつつき合う! 好敵手の基本だぜ!
そーかなぁ。
鍋、か……
イリアさ、いつも干し肉とか、味気ないもの食べてるじゃん?
たまには、パーッとやろうよ! パーッとさ!
――いいだろう。
お! わかるじゃねぇか!
経験がないわけではない――
かつては、部下たちとともに、よく勝利の宴を開いたものだ。
だが、パーッと、と言うには、いささか規模が小さいな。
どうせなら、武勇を誇る者たちをありったけかき集めるのがいい。
さてヒュウガ、おまえのライバルとやらは、何人いるかな?
言いやがったな! 見てろ、開いた口がふさがらねぇくらい、強者どもを集めてやるぜ!
楽しい鍋になりそうですね、イリアさん。
あいつが知り合いを集めるってなると、楽しいっていうか、騒がしい鍋って感じになりそうだけどね~。
だろうな。
しかし、たまには騒がしいのもいいだろう。
年に一度の<正月>とやらなのだからな――
黒き殺意と妖艶な騎士