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【黒ウィズ】ガトリン編(黒ウィズGP2016)Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
2016/6/13

目次


Story1

Story2

Story3





story0 プロローグ



「ぞば!」

みんなから〈ナース〉と呼ばれている仲間が、……え? なんですって?


「ぞば! ぞばぞば! ぞばぷう!」

「ぷ、ぷう?」

「ぞば! ぞばぞば! ぞばぷう!」

意味がわかりません。


「ぞばばばばばばばぶうー!」

意味が。


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story1



前回のあらすじ!


偶然出会って意気投合した〈魔轟三鉄傑〉は世を騒がす外法の使い手を見事けちょんけちょんにしておいた!

しかしその裏には、7人の異能者からなる組織と、彼らを援助する大国の支配者たる少女、そしてその傍らに立つ謎の老人の影があった!

彼らを倒し、世界に平和を取り戻すため、〈魔轟三鉄傑〉は自ら戦いの道を選んだのだった!


「で、倒した! 完!!!!」


 ***


「追っ手は来ておらぬようだな。」

「はあ……。すっかりお尋ね者になっちゃった……。

なんてこんなことになっちゃったのかしら。あたしは名声を守りたかっただけなのに……。」

「それはまあ、7人の異能者組織とそれを援助する王女とそれを支える謎の老人を、まとめてドカンとやっつけたせいでしょうねー。」

「ああ、うん……そうよねー。まさかねー。月1で集まって飲んでるとかねー。マジ思わなかったよねー。」

「しかも、どんちゃん騒ぎで泥酔しておったからな。あれほど楽な戦いはなかった……。」

「でも、そのせいで賞金首よ、賞金首。ああ……あたしの輝かしい名声はどこへ……。」

「失ったものは、また取り戻せばいいんですよ。人は、そうやって成長していくんですから……。」

「あんたが言っても説得力ないんだけど。」

「失敬な。わたくしだって、今回の戦いでいろんなものを失いましたよ。」

「たとえば何よ。」

「おなか減りました!」

「あーあーそーねあたしもとっくにハラペコよ!」


「む。おぬしら、前を見よ。何やら集落があるぞ。」

「えっ? ……あ、ほんとだ!やったー! 村だわ! 村村!! イエーイ!」

「解せぬな……この近くに村などなかったはずだが……。」

「ええ。あれは地図に載らない村ですから。」

「え?ガトリン、あの村、知つてるの?」

「はい!あそこは……。

わたくしの故郷!ガトリンパークです!!」


 ***


「わーいわーい!」

「ここまでおいでー!」

「ぞばぞばぞばぞばー!」


「……………………。」

「ガドリンパークです。」

「待って。」

「ぞば?」

「待って。いろいろ待って。つーかもう何がなんだかなんだけど!何!? ここ何!? 何系の魔境!?」

「ガトリンパークですよ?」

「あそこにいるのは!?」

「村の子供たちに決まってるじゃないですか。」

「あっそ!!!」

「いろいろ理解を超えすぎておるが……。ひとまず、どこかで食事ができぬものかな、ガトリン。」

「でしたら、ウチにご招待しましょう!ほら、こっちですよ、ほらほら一!」


「ガトリンの家……。」

「心の準備だけはしておくか……。」


 ***



「ガトリンのダディです。」

「マミーでヤンス。」

「いやあのマジで意味が……ヤンス!!?」

「お久しゅうございますわ、ダディ&マミー。」

「ますわ!!?」

「ガト子や。うぬは世に慈悲の心を広めんがため、強制治療の旅に出ていたはずであったが。」

「どうして戻ってきたでヤンス?答えによっては釜苑ででヤンス。」

「ちょっとおなかが減りまして。」

「「オッケー。」」


「…………。」

「耐えよ、リエン。いつか「いい修業になった」と思える日も来よう。

「無ー理ー。マージー無ー理ー。」



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story1



ガトリンダディとガトリンマミーが出してくれた料理を食べて、リエンたちはようやっと、一息つくことができたのだった。


「とにかく、名声を取り戻さないと、流派の名に傷がついちゃう……。

あーあ。手っ取り早く倒して名を上げられるような手頃な悪者、どっかにいないかなー。」

「今の我々がまさにそれだと思うのだが。」

「そういうことなら、渡りにカヌー。」

「実は、最近リンゴを買い占めして値段を高騰させている、とんでもない悪党がいるでヤンス。」

「はあ……何者なの? それ。」

「その名も……。

外道伯爵デスタイガー!!!」



 ***



夜。雲の衣をまとった朧な月が、質実剛健の気風を残す古城を照らしている。


外道伯爵デスタイガーの牙城、アウターロード城である。

リエンたちは、その周囲の草むらに隠れ、こそこそと移動していた。


「こそ……こそこそ……こそこそこそ……。

「見張りの兵が巡回しておるようだな。なんとか、やり過ごして城のなかに潜入したいところだが……。」

「そして、外道伯爵デスタイガーを倒せば、万事解決ですね!」

「うーん……そんないかにもアレな名前の奴やっつけて、ホントに名声上がるかなぁ……。」


「!? 誰かそこいるのか!?」

3人は、あわててしゃがみこんだ。


巡回兵が、近くまで歩み寄ってくる。


「今、話し声が聞こえた気がしたが……。」

「ぞばにゃ~ご。」

「なんだ、猫か。」

「なわけあるかー!」

「曲者ぉ一!!」


「リエンさあーん!!

「だってぇー!!

「強ぉー行ぉー突破じゃあー!!


 ***


見張りの兵たちを薙ぎ倒し、リェンたちは城の内部を突き進む。

「あれ? 最初からこうすればよかったんじゃない?なんでこそこそしてたんだっけ?

「世の中、どんな手練れがいるやらわからぬからな。戦わずに済むに越したことはあるまい。」


豪奢な城内を駆け抜け、2階に到達する。


「ほう。我が城がいつになく騒がしいかと思えば、今宵は来客の予定かあったかな。」

「あんたが……外道伯爵デスタイガー!?」


「いかにも!」

「ネコ科ですらない!!!」

「吾輩こそ外道伯爵デスタイガー。質問があればなんでも聞こう。」

「はーい!どうしてイヌなのにタイガーなんですか?」

「心に虎を飼つてるからサ……。」

「どおーーでもーーいいーーわァーー。」


「おぬしがリンゴを買い占め、値段を高騰させている張本人と聞いたが、まことであるか?」

「い☆か☆に☆も!」

(ウゼえ)

「どうしてそんなことするんです!人の迷惑も考えてくださいよ!ぷんすか!」

「「…………。」」

「ぞば?」


「まあ、それはそれとして、実際なぜだ!」

「今年、人体に害なす疫病がリンゴに広まってな。亜人ゆえ問題なく食える吾輩が買い占めたのだ。リンゴが売れぬと泣く農家を救うためにな。」

「…………。あれっ。」

「え。あの、これ……ぜんぜん悪い奴じゃないんじゃ……。」

「他に質問は?」

「なんか悪いことしてます?」


「人とか売ってる。」

「アウトおーーーーっ!!」




 ***


「イマジネイティブ☆ロックオン!ガトリンチャンバー、ヘルファイアーぞばばばばぱぱ一!

「タイガーダッシュ!」

ガトリンが巨大な注射器から放つ怒涛の液体を、外道伯爵デスタイガーは、残像が見えるほどの速度でかわしていく。

「ぞばっ!?」


「ふ、見たか、我がリンゴコントロール。パーペキであろう。」

「むう、足元のリンゴを巧みに転がすことで、予備動作不要の超高速移動を実現したか!」

「ホントかなぁソレ……。ていうかガドリン、あんたのその技、なんか追尾とかできるんじゃなかった?」

「それがですね~。ヒットするデスティニーが見えないっていうか、イマジネイションがアライズしないっていうか?」

「トラトラトラ……。我が魔力の具現化による効果が効いておるわ。」


「なんだと!?いったいなにをしたというのだ!」

「決まっておる。“当たりたくない一心”を具現化したのよ!」

「それつまり、実はめっちゃ怖がってるってこと……?」

「トラトラトラ!当然、内心ドッキドキよ!」


「しかし、厄介な能力よな。攻撃が当たらぬのでは、どうしようもない。」

「でもあいつ、避けてるだけで何もしてこないよね。ひよっとして、これ千日手なんじゃない?」

「うむ。実は今、ひとつ手を打っておる。……ガトリン、そろそろよいぞ。」

「ラジャぞば!」

ガトリンが連射を止めた。

放たれた液体は、やはりまるで当たっておらず、床をびしょびしょにしたのみだ。

「トラトラトラ……ようやく諦めてくれたか。城の床がすっかりズブ濡れゆえ、そろそろやめてもらいたいと思っていたところだ!」


「ところでなんか寒くない?」

「ん?そういや、そうね。」

いつの間にか、室温がひんやり下がっている。

リエンが首をかしげていると、その二の腕を、ガトリンがちょいちょいとつついた。

「リエンさん、リエンさん。ちょっとね、この濡れた床をね、こうね、べしっとね、叩いてやってくださいよ。」

「え?なんで?」

「いいから、いいから~。」

「しょーがないわねー。えいっ。」


リエンは、濡れた床に力強く足を踏み下ろし、見事な震脚を決めた。

すると――床の液体が、一瞬にして、ビキビキと凍り始めたではないか!


「は? 何コレ!?」

「我が魔術で、地味に冷やしておいたのだ。そういうやり方をすると水は凍らぬ。だが、衝撃を加えると、瞬時に凍る。」

「あ、なんかそれ聞いたことある~……って、こんな雑なやり方でできるヤツだっけ……?」

「ぬ、ぬおおおう! 滑る!リンゴがよく滑る!こんな滑ったら――はうっ!

デスタイガーは、つるつるの床ですっ転び、頭を打って気絶した。

「ふっ……“当たりたくないー心”を持とうとも、自分から当たりに行っては、二階から目薬、ナースの川流れというもの……。

「なんかいろいろ違わんか。」

「のれんにダメ出し?」

「それもどうかな……。」

「ていうか、ちょっと!あたしの脚まで凍ってるんだけど!ちょっと! ちょっとこらあー!!」


 ***


「マジサーセンした。リンゴ買い占めた理由もウソつす。単にリンゴいっばいほしくてやっただけっす。」

「こんにゃろう。」

「やはり、ただの悪党であったか。」

「自分で外道伯爵って名乗ってましたしねー。そもそもねー。」

「で、買い占めたリンゴはどこにあんの?」

「へえ、こっちでヤンス。」

(流行ってんの……?)


外道伯爵デスタイガーの案内で、一同は城の宝物庫に移助した。

デスタイガーが厳重に閉ざされた扉を開くと――

空っぽの空間が、目の前に広がっていた。


「って、ないじゃん!」

「ええっ!?そ、そんなはずは……。」

「おややや?なんか書き置きがありますよ?どれどれ~?」


「このおいしそうなリンゴは我々がいただく。これも仙ロードの導きと知るがいい!」

――By〈地獄三十六歌仙〉


「「誰だ!!」」



外道伯爵デスタイガーを倒し、〈魔轟三鉄傑〉は、世にリンゴを取り戻したかに思えた。

ところがどっこい、そうは問屋がライジング。買い占められたリンゴは、新たなる敵、〈地獄三十六歌仙〉に奪われていた!

誰だ、〈地獄三十六歌仙〉!多いぞ、〈地獄三十六歌仙〉勝てるか、〈魔轟三鉄傑〉!


次回「〈魔轟三鉄傑〉 対 〈地獄三十六歌仙〉登場! 仙ロードを極めし暗黒超仙人」に、イマジネイティブ☆ロックオン!



「絶 対 ない。」



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