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【黒ウィズ】イザーク・セラフィム

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

イザーク・セラフィム cv.興津和幸
2014/03/03



バックストーリー


「――聖王様はもう長くないでしょう」


宮仕えの医師からイアデルの容体を聞かされたイザークは一人、王宮の外れにある森を歩きながら父親の事を考えていた。

そしてとめどなく浮かぶ父の記憶に身をゆだねた。


イザーク・セラフィムとその父イアデルは、これまで幾度となく衝突してきた。

父はその度に、圧倒的な力で息子をねじ伏せてきた。

多くの男児がそうである様に、イザークもまた、父親という存在を超えるべき壁として捉えてきた。

少年の頃はそれこそ、父の全てを否定し、許すことが出来なかった。

どれだけ叱られようが、手を上げられようが、全身全霊で父親に挑み続けた。

しかし、それは結局、どれだけ力を出したところで父親は倒れない、という確信に裏打ちされた親子喧嘩だった。


歳を重ね、青年へと成長したイザークは、ある日を境に父に挑む事をやめた。

もし本気を出して父を倒してしまったら、その後自分はどんな顔をして、何と声をかければいいのか

――イザークは挑み続けた壁を越えてしまう事を恐れたのだ。

実際彼はそれだけ強くなっていたし、本気でぶつかり合えば、イアデルに勝ち目はなかっただろう。

そしてその日から、彼は父親と距離を置くようになった。


――最後に親父の目を見て言葉を交わしたのはいつだっただろう。

イザークは森を歩きながら、その時の事を思い出そうとした。

しかし頭に浮かぶのは、最後に打ちのめされた時に見上げた、大きな父の背中だった。

――俺は弱く小さい父の姿なんて見たくなかったのだ。

――あれだけ憎んでおきながら、結局俺は、親父の事を愛していたのだ。

イザークがそう悟った時の事だった。


「イザーク様! こちらにおられたのですか? ずいぶん探しましたよ」

侍従長のアクサナが、彼の背中に呼びかけた。


「……何事だ?」

目元に感じた熱い潤みを瞬きで紛らし、イザークは振り返った。

「聖王がお呼びです。お二人だけでお話をされたいとの事。さあ、私と王宮へお戻りください」

「……わかった」



イザークが王の間の扉を開けると、ベッドに横たわっていたイアデルは半身を起こした。


「俺に何の用だ?J

父はイザークの目に想像していた以上に小さく映った。


 「これを覚えておるか?」

そう言って、イアデルはイザークに黒く光る石を見せた。

「……」

それはイザークがかつて、幼い頃に見た闇の要石だった。


 「神界の結界をつなぐ二つの要石は、それぞれ聖魔の力の象徴じゃ。

魔の力が弱まれば、開の要石も脆くなる。そしてその逆も然り――」

イザークは父の言葉にじっと耳を傾ける。


「我が死するとき、聖魔の均衡は崩れる。

そして魔王ブラフモは光の要石を砕くだろう。そして神界は崩壊へむかう」

「その時はその時だ。俺が聖王になって、魔界を滅ぼしてやるよ」

イアデルはイザークの言葉に静かに微笑むと、首を横に振った。

 「お前の力なら、あるいはそれも可能かも知れぬ。

しかし我の跡を継ぐのはミカエラじゃ」

聖王を継ぐのは自分であると当然の様に考えていたイザークは父の言葉に耳を疑った。

「姉さんには無理だ。優しすぎる。魔族と戦うなんて出来るはずない」

「忘れたか? 万事においてもっとも重要な事は――」

かつて毎日の様に父の講義で聞かされていた言葉を、イザークは反射的に口にした。

 「均衡……」

イアデルは満足げに微笑み、口を開いた。

 「神界が崩壊後に必要となるのは、新たな聖魔の均衡じゃ……」

 「つまり俺が、魔界を……」

イアデルはじっとイザークを見つめ、静かにうなずいた。

イザークはその瞳に、大義の為に我が子同士を戦いの渦中に置かんとする、厳しく強き父の、

偉大なる聖王イアデル・セラフィムの、揺るがぬ決意を感じた。


「姉さんには黙っておいてくれよ」


こうして天界の王子イザーク・セラフィムは魔界の王となる決意をしたのだった。



画像フルネーム声優登場日
テスタメントテスタメント・ヘイル高岡瓶々2013/03/05
イザークイザーク・セラフィム興津和幸2014/02/28
ミカエラミカエラ・セラフィム川澄綾子2014/02/28
クリネアクリネア・マキア小岩井ことり2014/09/16
イアデルイアデル・セラフィム興津和幸2014/12/29
イストワーレイストワーレ・ケイト近藤唯2014/12/29
マクシエル
コメント (イザーク・セラフィム)
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