【黒ウィズ】ヒルデ・レイルル
ヒルデ・レイルル CV: |
2014/11/14 |
バックストーリー
ヒルデ・レイルルの白く美しい翼は、運命の流れに逆らった報い――
誰かの悲劇と引き換えに、ヴァルハラの主、オーディンに仕えるヴァルキューレとなった者への悲しい烙印。
しかし、彼女にはもう、悔いるべき過去も、希望の光射す明日もない。
背中に翼を背負った瞬間から、過去の記憶は失われ、自我すらも意識の深淵に沈んだ。
ヒルデはただ、主神オーディンの意思を唯一の行動原理とし、
ヴァルキューレとしての使命――いつ訪れるとも知れぬ終焉の日『ラグナロク』に備え、
勇者の魂をヴァルハラと呼ばれるオーディンの宮殿へ誘う――を遂行し続ける存在となった。
魂を貫く聖槍グングニルを携えて、ヒルデは戦乱の地へと舞い降りる。
「ヴァルハラで会おう」――そう固く友と契りを交わし、死戦に臨む兵士達。
彼らの中にはヴァルキューレを勝利の使者と考え、その姿を目にすれば自軍の勝利は約束されると考える者も少なくない。
しかし、目の前に舞い降りた優美なヒルデの姿を実際に見る事の出来る兵士は限られている。
彼女の姿はヴァルハラへ迎え入れられるべき勇者の瞳にしか映らないのだ。
――そして今、この戦場で一人の勇者がヒルデを見た。
深手を負い戦場に横たわる彼の息は細い。
しかし勇者は、鈍った劔を杖に体を起こし、ヒルデに跪いた。
「自分はヴァルハラに行けるのだ……」そう感涙にむせぶ勇者の体を、ヒルデのグングニルが貫く。
こうして彼は、エインヘリャル――勇者の魂――としてヴァルハラに呼ばれたのである。
それは戦士にとって至上の名誉と言えるだろう。
しかし、ヒルデの目にそれを讃える光はない。ただ一筋の涙が流れるのみである。
それは、死して尚、いつ訪れるとも知れぬ戦いに備え、永遠の鍛錬を命ぜられる勇者の魂を憐れむ涙。
かつて自分も一人の女騎士として彼らの様に戦った、遠い記憶が流させる涙なのだろう。
君もクエス=アリアスに住んでいるのなら、一度は「境界騎士団」の名を耳にした事があるだろう。
いつ、どこに現れるとも知れぬ「異界の歪み」は空間を切り裂き、異形の魔物をこちら側へと招き入れる。
その境目へ赴き、魔物と対峙するのが境界騎士団だ。
彼らの中には戦いの最中、異界の歪みに呑み込まれたまま帰らない者も多いという。
これは、そんな境界騎士団の戦いに身を投じ、伝説となった一人の姫騎士、
ヒルデ・レイルルのその後――彼女が翼を背負う事になった後の話。
もっとも、もし君がまだその名を知らないのなら、彼女が伝説となるのはもっと先の話、という事になる。
運が良ければ、君はその伝説の目撃者になれるかもしれない。
境界騎士団 mark