アナザーエデン Story3
「おわッ!な、なんだ!?」
「大気成分、標準重力、並びに恒星の照射角度等ヨリ判断スルニココは地球上と推定サレマス。
「ああそいつは良かった。それを聞いてホッとした……
ってリィカ!?いったいどうしてここに……?
「ワタシがココに存在スル確率は実在的量子宇宙論にヨルト33.3333333333………………%デアリアルドさんとソコに存在スル現時空に所属スル少年の観察ニヨッテハジメテ確定……
「……。」
「てか……兄ちゃん達!?いったいどっから!?」
「ガァアアアアッ!!」
「なッなんだ!?」
「うわやっべぇ!おいらちょっと後ろに下がってるよ!」
***
***
「いや~いきなり宙から飛び出して来るもんだからビックリしちゃったよ!兄ちゃん魔法使い?」
「え?ま、まあそんなとこだ。」
「それにそっちのお姉ちゃんもなんだかものすごくガツンでキラ~ンでその……イケてます。
「はじめマシテワタシはリィカ。KMS社汎用アンドロイドデス。
「ものすごくガツンでキラ~ンでイケてるトハどういった……
「ああ、いやリィカ。その話はまた後にしよう。長くなりそうだ。
「???パン用あんドロンコ?なんだかわからないけどやっぱりイカしてるよリィカ姉ちゃん!
でもさー兄ちゃん。あんなヤツの一匹や二匹おいらひとりでも楽勝だったんだぜ?
ともかくありがとうとは言っとくよ。婆ちゃんがお礼だけはきちんとっていつもうるさいからさー。
ほいじゃ兄ちゃんさよなら。リィカ姉ちゃんまた会おうねッ!」
「あ、おい!オレはアルドだ。どこ行くんだおまえ?
「おいらはベロン。
どこって……このゾル平原の先のおいらのラトル村だよ。よかったらよってきなよアル兄ちゃん達も。」
「ラトル村か……。しかし恐竜がいるとなるとこりゃとんでもない大昔に来ちまったみたいだな。
「大気成分、植生、大型脊椎動物の存在等から判断シマスニ数万年前の古代世界と推定サレマス。
コノ時代に関スル詳しい記録は後世には残ってオリマセンノデ詳細は不明デスガ。」
「数万年前だって!?本当か。いったいなんだって……
っていうかそう言えばどうしてリィカがここにいるんだ!?
消された未来と一緒にリィカも消えてしまうんじゃ……?」
「そういう事態ナノカワタシにも識別不可能デス。完全にデータが不足してオリマスノデ。
メモリにも奇妙なゴーストが発生してイルようデス。ガ問題アリマセンノデ!」
「ゴースト……?まあいいか。ともかくリィカがいてくれた方がオレも心強いし。
ああエイミの親父さんが直してくれたオーガベインの柄……こいつも元の状態に戻ってる。
ほんとに未来は……エイミや親父さんも消えてなくなっちまったんだな……。くそっどうにかしないと!
ともかくそのラトル村っていうのに行ってみるとするか。
***
***
「ああ、あなたがベロンの言ってたヘンテコなカッコした魔法使いの兄ちゃんね?
そうここが火の村ラトル。
ナダラ火山から近いから火のエレメンタルの力もすごいでしょ?
火傷しないように気をつけてね。」
***
「やあ兄ちゃん達!また会ったな。どうだいおいらの村はいい所だろ?
ところでさーアル兄ちゃん。おいらなんだかナダラ火山のことが気になってしょうがないんだよな。
虫の知らせっていうか胸騒ぎっていうかこの胸のときめきっていうか……とにかくもう大変なんだよ!
けどさサラマンダーに会いに行くなんてただでさえおそれ多い上にいのち知らずもはなはだしくて……
でもねーそれでもアルにいちゃんが行きたい!行く!っていうのならおいら止めはしないよ?よ?」
「虫の知らせ……胸騒ぎ……デスカ?
「……わかったよ。ナダラ火山に行ってサラマンダーの様子を見てくればいいんだな?
「ほんと!?見てきてくれるの!?やった!さすがおいらが見込んだアル兄ちゃんとリィカ姉ちゃんだ。
「どういたしマシテ!それとベロンさんの胸腔内に寄生虫が巣食っている気配はアリマセン。
呼吸音、心拍音にも特に異常は見られマセンガ念ノタメ神経、筋肉、肋骨を調べられては如何デショウ?」
「えぇッ!?おいらの胸に寄生虫!?ってああ胸騒ぎで虫の知らせ……!…………。
そ、そう?と、ともかくありがとうリィカ姉ちゃん。」
「よし!じゃあ行こうかリィカ。」
「ハイ!了解デス!」
***
***
「前方に爆縮的巨大エネルギー反応!」
「うッ……!なんだ!?」
「こ、こいつがサラマンダーか!!なんだか様子が……!?」
「アルドさん!コノ超高エネルギー生命体頭部に解析不能の暗黒物質の存在ヲ確認!」
「なんだって!?むッ気をつけろ!来るぞ!?」
>アルドさん!目標頭部の暗黒物質ヲ狙いマショウ!!
暗黒物質?あの頭の黒いもやか!!あれが凶暴化の原因なんだな!
だが……あの高さじゃ届かないな。とにかくまずは弱らせよう!!
「アルドさん!目標頭部の落下ヲ確認しまシタ!今ナラ攻撃出来マス!
「よし!!今がチャンスだ!一気に叩くぞ!!
「よしやった!サラマンダーの頭にとり憑いてた黒いヤツが消えてなくなったぞ!
***
「まずは礼を言おう人間よ。あの奇妙な黒き渦のようなものにとり憑かれて難渋しておったのだ。
詳しいことはわからぬがあれは我ら精霊でも太刀打ちできぬような邪悪で危険な力のほんの一端。
次元の隙間かどこぞの異界からかもぐり込みおったものか……。
おまえ達もこの時代の者ではないようだがそうした事とも何か関連があるのかどうか……。
全てを押し流す暗く大きなうねりがこの世界を飲み込まんとしているのやも知れぬ。」
「全てを押し流してしまう暗く大きなうねり……?」
「そうだ……。その大いなる力の前では我ら四大精霊ですらなす術もないやもしれぬ。
用心するがいい人間達よ。すでに世界はほころび始めているのやも知れぬぞ。
パルジファル王宮の周辺でも以前より何やら異様な力の脈動が感じられてならぬ。」
「パルジファル王宮か……。そこにオレ達のこの旅の手がかりがあるのか?」
***
「アル兄ちゃん達!お帰り。サラマンダーの様子はどうだった?
「ベロン!なんだか得体の知れない闇みたいなモノがサラマンダーにとり憑いてて大変だったんだぞ。
「うわっほんとに!?そりゃヤバかったね兄ちゃん達。
でもそいつをちゃちゃっとやっつけてくれたんだよねアル兄ちゃん達が?
「まあな。ほっとくわけにもいかないし。
「さっすが兄ちゃん達!おいらが見込んだだけのことはあるよ!ヘヘン!
ほんとにありがとうな。応援してるから困ったことがあったらなんでも言ってくれよな!
それからアクトゥールの街やパルジファル宮殿でも兄ちゃん達の助けを必要としてる人がいると思うんだ。
それもアル兄ちゃん達にしかできないようなことでね。そんな人のためにもこの先も頑張ってくれよな!
「わかってるって。サラマンダーも気になるようなことを言ってたし……。
宮殿の方の様子を見てくるよ。
「うんそれがいいよ。そいじゃあ気をつけてねアル兄ちゃんリィカ姉ちゃん!
「ベロンさんもドウカお大事に。胸腔部以外の各部位の寄生虫にもクレグレモご用心クダサイ!
第7章
アクトゥール水面の孤影を追いて一瞬にして消滅した未来都市エルジオン。
そこに現れた不思議な影の導きで古代世界に落とされたアルトは炎の精霊サラマンダーにとり憑いていた闇を退ける。ラトル村を後にしてアルトは水の都アクトゥールを目指すが……。
「水の都アクトゥールにようこそ。
旅人のかわきをうるおし、ひび割れた大地をいやす……あまたのいのちをつなぐもの。
冷たく澄みわたり……熱く沸き立ち……白く凍てつき……蒸発して天に昇る。
あなたのこころもまた水のごとくどこまでも自由ですくやかならんことを。
「おっとあんたらこの先に行きたいのかい?王宮に用事なら今はちょっと間が悪いな。
「ん?何かあったのか?
「いや……なんでもティレン湖道で亡霊が出るって騒ぎになってるんだよ。
それが昔に亡くなられた王妃様の霊なんじゃないかってな。王宮はその噂で持ちきりなのさ。
入口の門も閉ざされてしまって誰も入れてくれやしないぞ。
王様は王妃様が亡くなってから人が変わってしまったからなあ……。そんな噂でも気になるのだろうよ。
「アリし日の追憶デスネ。ワタシには難しい概念デス。
「亡霊騒ぎか……。サラマンダーの警告もあるし……なんだかちょっと気になるな。
「ん?ひょっとしてキミらはサラマンダーを黒い霧から助けたとかいう冒険者なのか?
「ああ……そうだけど。
「おお、そうか!それならちょうどいい。キミらにこの騒動の解決を頼めないかな?
このままでは王宮にも行けないし商売上がったりなんだよ。
なるほど……。まあオレ達も王宮に行ってなにかしら情報を得なきゃならないし……。
わかった。引き受けるよ。
「助かった!よろしく頼むよ!
「亡霊が現れるという噂の場所はティレン湖道のラトル側のあたりさ。ちょうど突き当りになってるところだ。
なにか分かったら知らせてくれ。
「よし。じゃあ早速調べに行くか!
だけどほんとに亡霊なんて出たりするのか?」
***
旅人たちよ!私はプライ。ここの警備をしている。神官団の慈善活動のー環でな! この街道には手強い魔物が多い。用心して進まれよ!何か困りごとがあればすぐに頼ってほしい!なに私は神に仕える身だ。見返りは求めんとも! |
***
旅の……方々ですか……?賑やかで……楽しそう……ですね。
少し……懐かし……なりました。よければ……私も……
いえ……やっぱりなんでも……ありません……。
きっと……悲しい気持ちにさせて……しまうから……
「あ、あれは……!?女性の……?まさか……!?
「消えた!?な、なんだ今のは?まさか本当に亡霊が……!?
はッ!?こいつら!?」
「よし、やっつけたぞ!」
「………!!おまえ達は……!?
「……!?オレはアルド……それと仲間のリィカだ。
まあ旅の冒険者ってとこだが……。あんたこそ何者なんだ?
「私か……?人は私のことを仮面の予言者と呼ぶらしい。
「仮面の予言者……
「うむ。アルド……それがおまえの名なのか……。しかしまさか本当に……!?
それとリィカ……。だが……どうして二人がここに……?
「どうしてって……亡霊が出るようだから調べてくれって頼まれたんだよ。
さっきそこに王妃の亡霊がいたような気がしたが……?
「あれは亡霊ではない。ありし日の人の姿をよみがえらせる仕掛けだ。それも王妃ではなく別人のな。
その仕掛けをたまたま拾った魔物がわけもわからずに作動させていたのだ。もう二度と現れることはない。
「仕掛け……?ふうん……まあ事件が解決したというならそれで構わないが。
「それよりおまえはどこから来た?一人なのか?家族……親兄妹は?
「え、オレ……?信じないだろうけどAD300年のバルオキーって村からやって来たのさ。
「300年……ミグランス王朝か……。ふむ……。
「まあ信じろって方がムリだよな。オレだって誰かからいきなりそんな話を聞かされたらまず信じっこないし。
妹がいるがそれがどうかしたのか?時空を飛び超えてこの時代にやって来たのはオレとリィカだけだ。
そんなことよりいったいこの世界で何か起こってるんだ?知ってるんだろうあんたは?
「そいつは自分で王に聞くのだな。だが我々の計画のジャマをしようなどとは夢にも考えるんじゃない。
あの計画はこの星を守るために必要なのだ。余計なことはするな!
「なんだって!?
「聞けアルド。おまえがこの時代にやって来たことで新たな星の夢が紡がれようとしているのかもしれん。
だがそれでも………
「あっ!おいちょっと待てッ!
何者なんだあの男……。
まあいいや。ともかくアクトゥールに戻って事件はもう解決したって教えてやるか。さあ行こうリィカ。
「えッ!?あッ……ハイ!了解デス。
「やあ戻ったな!どうだった?やはり王妃様の亡霊がこの世に迷い出て……?
「いや亡霊なんかじゃないってさ!安心していいよ。もう二度と騒ぎが起こることもないって言ってたし。
「言ってたって……誰が?
「予言者さ。
「予言者?仮面の予言者か?あの人がそう請け負ったのか?
うーんそうか……。だったら間違いなさそうだな。
いやとにかく本物の亡霊じゃないとわかってよかった。ホッとしたよ。
ありがとう!それじゃこの件は俺が王宮に伝えておこう!
「アルドさんコレで王宮に入ルことができマスネ。
「ああ……王様に会えそうだな。ただ予言者が言ってたことが気になる。少し慎重に行こうか。」
アナエデ mark