【アナデン】英雄の噂 Story
英雄の噂(14章 ユニガン) |
「よーし! 今日はボクが英雄の役やるぞ~。」
「あーあたしもやりたい!」
「ごっこ遊びか~。子供の頃ダルニスたちとやったなあ……。」
「やーやー我こそはまじゅう退治の英雄アルドだー!!」
「アルドだー!!」
「くらえー! まじゅうおうファイアー!!」
「カキーン! 英雄アルドの身体はこーてつだから炎は効かないのだ!
くらえー! アルドビーーーム!!
ブーーーーーーン!! ドドドドドド!!」
「ぬわー! 魔獣城まで逃げろー!!」
「「「追いかけろー!」」」
「おいおい英雄アルドってなんだ?
もしかしてオレのこと そんな風に噂になってんの!?
……ちょっと調べてみよう。」
***
「なあ……ちょっといいか?」
「なあにお兄さん?」
「キミは最近流行っている英雄の噂って知ってる?」
「知ってるよっ! 今まちじゅうのウワサだよ!」
「それだ。ちょっと教えてくれないか?」
「いいよ! わたし詳しいからっ!
えっとねえ……おしろを攻めにきた魔獣の王をたおしたのが……英雄アルドなんだって!」
「間違ってはいないけど……英雄? その英雄ってどんな奴なんだ?」
「ん~とね。ものすごく大っきくてものすごく強くて身体はこーてつですごいんだって!
それでね。パンチで岩を砕いてキックで城壁も壊しちゃうんだって!
それで必殺技は目から光線が出るアルドビーム!
すごいよね! お城の半分は魔獣王が壊したけど残りは英雄アルドが壊したんだって!」
「オレはそんなことしてないっ!!」
「? どうしてお兄さんが怒るの?」
「どうしてって……。オレの名前はアルドっていうんだよ。」
「ヘー英雄アルドと同じだねっ!」
「同じっていうか……オレが魔獣王を倒したアルド本人だから。」
「ええええ~全然強そうに見えない!
ひょろひょろだよ! もやしだよ! 魔獣王にバリバリ食べられちゃうよ!」
「強そうじゃなくて悪かったな。でもオレがアルドなんだよ。」
「全然見えない……ほんとうにほんとう? お兄さん詐欺師じゃないの?」
「違うって正真正銘のアルドだ。ったく……どうしたら信じるんだか。」
「うーん……アルドだったら強いよね?
さっき商人さんがカレク湿原につよい魔物がいて困ってるって言ってたから退治してよ。
そうしたら信じてあげる!」
「わかったよ! 倒せばいいんだな! 倒せば!」
「さあしゅっぱーつ!」
「ってキミも行くの?」
「だって倒したところ見ないとズルするかもしれないでしょ?」
「そんなことするわけないだろ!」
「とにかくいくよー!」
「とほほ……。なんでこんなことに……。」
***
「……確かにいるな。こいつでいいのか?」
「うわーキモチわるーい! はやく倒しちゃってー!!」
「はいはい……しっかり見とけよ!」
***
「どうだ? これでわかったか?」
「な~に言ってるの? 今の敵はこてしらべよ?」
「小手調べ!?」
「だってわたし今の敵がうわさの強い魔物だなんて言ってないも~ん!」
「なんだそりゃ!? じゃあ噂のやつはどこにいるんだよ。」
「こっちこっち~!」
「おい! だから待てったら!」
***
「噂の強い魔物はこいつだな!?
今度こそこいつでいいんだな!?」
「うん! こいつだよ! はやく倒しちゃってー!!」
「よし! 今度こそしっかり見とけよ!」
***
「ふぅ~どうだ! 結構強いだろ?」
「む~本当はこいつが弱かったんじゃない?」
「あっ! こら近づくな!」
「グォォォォ!!」
「きゃあっ!?」
「なんとか間に合った……。
往生際の悪い奴め。これで終わりだっ!!」
「大丈夫だったか?」
「あいたた……。もー英雄にしてはツメがあまいよー。」
「確かにそのとおりだ。悪かったな。」
「……でもわたしをかばったときは……うん……少し英雄っぽかった!」
「ありがと……とにかくこれでオレがアルドだってわかったろ?
さっさとユニガンに戻るぞ。」
「はーい!」
***
「よし……着いたな。
これでオレが本当のことを言ってるって証明できただろ?」
「うん! でも助けてくれたのはかっこよかったけど……。
あの時お気に入りのリボンが壊れちゃった……。」
「わ、悪い……。えっと弁償しようか?」
「いーよ。これもちょっと頼りない英雄さんとの思い出になるもの。」
「ということはちゃんとオレが噂のアルドだって認めてくれるんだな?」
「ちょーっと物足りないけど大マケにマケて認めてあげる!
でもわたしが英雄アルドだって認めたからってどうなの?」
「そう言われると……たしかに? そうだ!
できればあのとんでもない噂をかきけす噂でも流しておいてよ!」
「そういうことなら任せて! 今の噂も1日で広めたからね!」
「そりゃ頼もしい……。
ってキミが広めたのかよっ!! あ、待て!!」