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【アナデン】ベルトラン Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
アナザーエデン・キャラクエスト「ベルトラン編」
かつて騎士として数々の戦乱で活躍し、ミグランスの盾と讃えられた凄腕の兵。
防刃の繊維を加工し、金属をあしらった剛性のマントをその身に纏っている。激しい戦闘の中で片目を失い、退役を考えたが王に引き止められ、とある特殊任務に就くこととなった。現在はその特殊任務からも退き、どこか枯れたように傭兵として日銭を稼ぐ。


外套の傭兵


リンデの町でヌアル平原に行きたいという女の子に出会ったベルトラン。

なぜか傭兵の仕事を請け負うことになるが……。



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story1 外套の傭兵



「……む?」


「うー!ばかばかーっ!もう知らないんだから!」

「……あの子すごい剣幕だな。どうしたんだろう?」


「なによ!じろじろ見て!」

「……気に障ったのならすまない。なぜそこまで怒っているのか気になっただけだ。」

「ふんっ……!おじさんたちには関係……あれ?

……ねえおじさんたちこの辺じゃ見ない格好だけど………もしかして旅人さん?」

「ああそうだよ。オレはアルド。隣にいるのか仲間のベルトランだ。」

「……一応本業は傭兵なんだがな。」

「傭兵さん!?傭兵さんってお金を払えば色んなことをしてくれるお仕事なんだよね?」

「まぁ間違ってはいないが……それがどうした?」

「なら依頼する!私をヌアル平原に連れてって!」

「なんだと……?」

「私どうしてもあそこに行きたいの!」

「いや……でもこういうことはオレたちよりも親とかに頼んだ方がいいんじゃないか?」

「……お父さんもお母さんもいまは忙しいからって。相手にしてくれないの。

でも私ひとりで行くのも危ないからって許してくれないし………」

「なるほど………仕方ないとはいえなかなか納得できないよな。」

「だからこうしておじさんたちにお願いしてるの!」


「……どうするベルトラン?」

「……………。

……思えばあの方のときもこんな流れだったか。」

「お金はおこづかいでちゃんと払うから……お願い。」

「……よせ。子供から金はとらん。その小遣いは自分の好きに使うんだな。」

「……それじゃあ!」

「はしゃぐな。まだ引き受けると決めたわけではない。」

「ええーっ!?」

「まずは親に話を通してからだ。嫌ならこの話はなかったことにするか……どうする?」

「……わかった。お父さんはこっちだよ。ついてきて!」


 ***


「お父さん!」

「ああ帰ったのか。悪いけど準備を……

……ええとこの方々は?」

「あのねこのひとたちにヌアル平原に連れていってもらうことになったの!」

「……ちょっと待ってくれ。いったいどういうことだ?」

「えっとそれはだな……。」

「……混乱させてしまってすまない。俺から話そう。

俺はベルトラン。傭兵をやっている。」

「……傭兵がなぜうちの娘と?」

「彼女に依頼されたんだ。ヌアル平原に連れていってぽしいと。」

「……そうなのか?」

「だってお父さんもお母さんも忙しいからってちっとも相手にしてくれないんだもん!」

「だからって初対面のひとに頼むなんて………

……うーんやっぱりダメだ。危なすぎる!」

「ええーっ!?」

「どこの誰かもわからないひとに娘を預けるわけにはいかない。悪いけどわかってくれ……。」

「……確かに父親の言う通りだな。身元のわからない傭兵に娘を託すのは危険な行為だろう。」

「お、おじさんまで………」

「……だが今回は別だ。俺の身元に関しては保証しよう。」

「その勲章は……ミグランス王家の!?」

「……これでもかつては王族の護衛を務めていたこともある。この勲章はそのときに王より授与されたものだ。」

「わあっ!おじさんってすごいひとだったんだ!」

「……遠い昔の話だがな。それよりもこれで信用してもらえないか?」

「……少なくともあなたが真っ当な傭兵であるということは信じましょう。

ですが……なぜそこまでしてうちの娘に手を貸してくださるのですか?」

「……その子がかつて共に時間を過ごしたある方に似ていたんだ。」

「ある方……?」

「一線を退いた後お護りしていた方だ。俺のマントはその方を護るものとして生まれ変わった。だがその方は既に小さなこのマントからは巣立っていかれた。」

「……………。」

「今このマントは空席だ。束の間だがあなたの娘さんのために使わせてはもらえないだろうか。」

「……わかりました。……本音を言うと私も妻もいつ都合がつくかわからない状態です。娘をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「……任されよう。」

「ありがとう!おじさんお兄ちゃん!」


「それじゃあさっそくヌアル平原に向かおうか。」

「ユニガンで宿を取る算段もつけておかねばな。」

「えー?休まなくても大丈夫だよ。私友達の中で一番かけっこが得意なんだよ?」

「……どの道ユニガンは通ることになる。そのときに疲れていたら休めばいい。」

「そうだな。それじゃあひとまずユニガンを目指そう!」


 ***


「ううー……」

「……あまり無理をするな。ここは旅先。意地を張る必要もないだろう。」

「……ちょっとだけ疲れたかも。」

「それじゃあ宿屋へ行こう。もう少しだけ歩けるか?」

「うん……。」


 ***


「じゃあオレは部屋を取ってくるよ。」


「……ごめんなさい。」

「予測できていたことだ。気にするな。

俺たちのことは気にせずゆっくり休むといい。」

「……おじさんは優しいね。」

「別に優しさで言っているわけでは……」

「……ねえおじさん。お父さんと会ったとき私に似てるひとの話してたでしょ?」

「……それが何か?」

「そのひとっておじさんが前に護衛してたひとなんだよね。」

「……ああそうだ。お前に似てとても活発な方たった。」

「そのジャラジャラマントでどうやって護ってたの?」

「ジャラジャラマント……

……どうもこうも危機が迫ればこのマントで割って入るだけだ。

この身をもってあの方の盾となることが俺の役目だったからな。」

「じゃあ私か危ない目に遭ったらそのマントで護ってくれる?」

「……縁起でもないことを言うな。そんな危険な事態に見舞われないことを祈っておくことだ。」

「むー!」

「別に護らないと言ったわけではなく……」


「お待たせ……ってまた怒らせたのか?」

「いや……これは……ところで部屋は取れたのか?」

「ああばっちりだ。今日の疲れをしっかり取って明日も頑張ろうな。」

「ふーんだ………」


 ***


「よし!休憩もできたし早速出発しようか。

「いこー!いこー!

「元気がいいな。そういえばどうしてそんなにヌアル平原に行きたいんだ?

「あっ……それは……その……

「……言いづらいなら話す必要はない。

「え……?

「依頼には関係ないことだ。あくまでも俺たちの目的はその子をヌアル平原に連れていくこと。

依頼者の事情に深入りしないのは傭兵稼業の鉄則だ。

「なるほど………ごめんな。無理に話さなくていいから。

「う、うん……わかった。

「では気を取り直してヌアル平原へ向かうとしよう。


 ***


「さて到着だが……これからどうするんだ?

「えっとねお城がすっごくきれいに見える場所があるんだけどそこに行きたいの!

「ミグランス城が見える場所……というとあの丘の辺りか。ならここからすぐ近くだな。


 ***


「わぁ……!

「どうやら目当ての場所はここで間違いないようだな。」

「……うんここだよ。どうしても来たかった場所……すごくきれい……。」

「……魔獣に襲撃される前はもっと美しい景色だった。」

「そうなの?うーん……私にはいまの景色もきれいに見えるけどなぁ。」

「いつか完全に復興が済んだらまた見にくるといい。

その時にはこの景色がより美しいものになっているだろう。」

「……それは難しいかも。」

「難しい……?」

「むっ……待て近くに魔物の気配が……!」


『ニンゲン……!オデノ ナワバリデ ナニシテル……!』

「ひっ……!」

「後ろへ下がっていろ!」

「うん……あっおじさん……!」

『キエ……ロッ!!』

――

『グガッ……!?』

「わあっ……!」

「大丈夫か二人とも!」

「……問題ないすぐに片をつけるぞ。」


 ***


「怪我はないか?」

「うん!おじさんが護ってくれたから大丈夫!

えヘヘ……おじさんマント使ってくれたねっ!ばーって広がって格好よかった!」

「……依頼を達成するためだ。連れて帰るまでが約束なのでな。

まあ何にせよ無事でよかった。

……この後はどうする?まだ景色とか見ていくのか?

「ううん大丈夫。もう充分この景色を見れたから。」

「じゃあリンデに帰ろうか。お父さんも心配してるだろうしな。」


 ***


「お父さんただいま!」

「おお帰ってきたか!お二人とも娘のわがままを聞いてくれてありがとうございます。

旅はどうだった?満足できたか?」

「うん楽しかったよ!思い出の場所ちゃんと見てこれた!」

「思い出の場所……?」

「……本当にありがとうございます。これで娘も心置きなくリンデを離れることかできるでしょう。」

「え……離れるって?」

「もしかして伝えてなかったのか?申し訳ありません娘が粗相を……」

「俺が言わなくていいと言ったんだ。むやみに依頼者の事情を聞くものではないからな。」

「そうでしたか……。

……実は仕事の都合で海を渡って別の国へ行かねばならないのです。

娘はここを離れる前に昔……家族で見に行った思い出の景色をどうしても見たかったようでして……。」

「そうだったのか……。連れていってあげられてよかったよ。いい思い出になったかな?」

「うん!私みんなでお城を見たの忘れないよ!

それとおじさん!」

「……なんだ?」

「えっと……私これから遠くに行っちゃうけど………

必ずまたリンデに来るから!それでヌアル平原にお城を見に行く!

そのときは……またおじさんに護衛をお願いしてもいいかな?」

「……そんな未来のことはわからんな。」

「えー!約束してよー!……今度はちゃんとほーしゅーも払うからね!立派なレディになっちゃうんだから!」


「……では私たちはこの後まだ準備があるので。」

「おじさんお兄さん!本当にありがとね!」

「引っ越し先でも元気でな!」


「……巣立ってくれたな。」

「ん……?何か言ったかベルトラン?」

「……いや何でもない。傭兵になって初めて誰かと共に依頼をこなしたが悪くなかった。」

「オレもベルトランの仕事を手伝えてよかったよ。」

「では旅に戻ろう。これからもよろしく頼む。」



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