【黒ウィズ】エルト・ファレンツ
エルト・ファレンツ
ウィズコレ
その異界の名は――〈リベラ=ドミニア〉。
この地では、大国〈ファナトール帝国〉が諸国を侵略し、人々を武力によって支配していた。
ベアトリーゼ・テルラ――彼女もまた帝国に祖国を侵略され、国を追われた身である。
祖国の奪還のために、そして帝国に虐げられる人々を救うために、各地を巡るベアトリーゼ。
その彼女を影から支えているのが……。
「姫様、帝国の放ったドラゴンは、この辺り一帯のどこかに出現するとのことです。」
「ありがとう、エルト。どうやら事前の情報に間違いはなさそうだな。
他国征服に魔物を使役するとは……帝国め! その悪逆、決して許せるものではない。
すぐに討伐に向かうぞ、エルト!」
エルトのファレンツ家は、テルラ王家に代々仕える騎士の家系である。
王の剣となり、盾となり、そして時として忠言によって主君を諌めることがエルトの使命なのだ。
特にエルトは、ベアトリーゼの幼馴染ということもあり、絶対の信頼を置かれている。
「はっ! 我が焔の剣で、姫様の敵を討ち取ってご覧にいれましょう!」
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「……ところでエルト、足の矢傷はもう大丈夫なのか?」
「はい、姫様に助けていただいたおかげで、この通り大事には至っておりません。」
そう言ってエルトは、地面につまさきをトントンと軽快に打ってみせた。
エルトは、帝国軍の追っ手から逃れるさなかに、足に矢を受け、重傷を負ったことがあった。
しかし、窮地に立たされたその時、ベアトリーゼが〈綺光〉の力で敵を一掃し、難を逃れたのだ。
「あの時は、姫様をお守りするはずが、逆に私が守られるという失態……本当に、申し訳……。」
「よしてくれ、エルト。友を守るのに理由も義務も関係ない。私かそうしたいと思っただけだ。」
「姫様……! このエルト、姫様のために、どこまでもお供いたします!」
ベアトリーゼの言葉に、エルトは感極まり、その場で彼女に恭しく脆いた。
「はは、エルトは相変わらず固いな。昔は、私をリーゼと呼ぶくらい気安かったのにな。」
「そ、そそそれは子供の時の話です! あの頃は、分をわきまえることもしらず、私は……。」
慌てふためくエルトを見て、苦笑するベアトリーゼ。
その時だった――。
「――っ! エルト! 伏せろ!」
「……え?」
『グォォォォォォ!!』
不意をつくように現れたドラゴンの凶爪が、エルトを襲う!
「くうっ!」
エルトを庇うようにして、ベアトリーゼがドラゴンの攻撃を受ける。
「ひ、姫様――!!」
ドラゴンは、倒れ伏すベアトリーゼに再び爪を振下ろそうと、地響きを立てて近づく。
だがそこに――。
「貴様ァァァ! よくも姫様をッ!! 許さない……! 絶対に許さんぞッ!!」
エルトの剣から、灼熱の炎が迸り、凄まじい熱風が吹き荒れる。
文字通り炎をまとったエルトが、烈火のごとく憤激し、目の前のドラゴンを威圧する。
「我が剣に宿りし紅蓮の焔で、貴様を灰も残さず焼き払ってくれるッ!」
焔をまとう剣を手に、エルトがドラゴンに突撃する!
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文字通り炎をまとったエルトが、烈火のごとく憤
激し、目の前のドラゴンを威圧する。
「魔物風情がッ! これでトドメだッ!!」
『グオ……オオオ……。』
エルトに斬り裂かれたドラゴンは、炎に焼かれ、ついには灰となって消滅した。
「ファレンツ家の騎士のみが扱える〈焔の魔剣技〉か……。見事だったぞ、エルト。」
「姫様! ご無事ですか!? お怪我は!? 姫様! 姫様ッ!!」
「落ち着け、私はこの通りなんともない。
しかし、あのドラゴンを一人で倒してしまうとはな。私が加勢する暇もなかったぞ。」
「も、申し訳ありません‥…つい頭に血が上ってしまい……。」
「はは、気にするな。おかげでドラゴンの討伐は無事完了した。
“今回は”お前に助けられたな。ありがとう、エルト。」
「そ、そそそんな! 姫様から感謝の言葉をいただくだなんて、畏れ多いことですっ!」
慌てふためいたエルトは、ベアトリーゼに脆き、深く頭を垂れた。
「本当におおげさだな、エルトは……。幼い頃の可愛げはどこにいったのだろうか……。」
「あの、姫様? 何か……?」
「さて、な。さあ、帰るぞ。次なる戦場が私たちを待っている。
帝国を打ち倒し、祖国を取り戻すその日まで、お前には私と共に来てもらうぞ、エルト。」
「はっ! この命、そして我が焔の剣は、姫様と共に!」
烈火の騎士は、敬愛する主君と共に、戦乱の道を歩み続ける。
いつの日か主君と共に、故郷へと帰還する、その時まで――。
「我が焔の剣は、姫様の御身を守るために!」
画像 | 説明 | 登場日 |
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ベアトリーゼ・テルラ | 2015/02/28 | |
エルト・ファレンツ |