【アナデン】シオン(AS) Story
キャラクタークエスト 「アナザースタイル・シオン」 |
一念をもって天に通ず |
「……煮干しはいるか?」
「しゃーーっ!」
「いらんか。そうか………」
「それにしてもなんでシオンはそんなに猫に懐かれないんだろうな?」
「私には猫の気持ちは計りかねる。だが……
子供の頃うちでも猫を飼っていた。そのときは普通に懐かれていたと思うのだが……。」
「ふうん?不思議だな。」
「……はっはっはっ!相変わらず猫に嫌われているようだなシオン!」
「……む!もしやこの声は?
「やはりシグレか……!
いったいどうして貴殿がこの大陸にいるのだ?」
「貴殿……だと?やめろやめろ!そんな堅苦しい言い回しは!シグレと呼べ!」
「ふむ。呼べというのならばそう呼ぶのもやぶさかではないか………」
「なあシオン。このサムライは誰なんだ?」
「私の昔なじみだ。私と同じく普賢一刀流の遣い手でもある。」
「剣の流派の同門ってことか。兄弟弟子ってヤツかな?」
「おおむね相違はないが正確には少し違う。
シグレは普賢一刀流宗家の嫡流で当代当主であるシグレの御父君がシグレの師なのだ。
それに対して私の師はシグレの祖父君で普賢一刀流の先代当主であった方だ。」
「そうなんだ………けっこう複雑な関係だな。」
「なんだ?二人でこそこそと。おいシオン!その剣士はどこの馬の骨だ?」
「やめろシグレ。その言い方は礼を欠く。彼はアルド。共に戦場を駆け抜けた私の「戦友」だ。」
「なっ!?戦友だと……?お前の?むう……!
まあいい。このような世間話をしにきたわけではない。」
「ではどのような話を?」
「ここでは話すことかできん。人目が多すぎる。
そうだな。カレク湿原がいいだろう。ふたりともついてこい。」
- Quest Accepted -
***
「……よし。この辺りならいいだろう。」
「それで話というのは?」
「ああそれはな……天下国家の話よ!」
「…………。」
「いいかシオン。お前に下された密命のことは俺も聞き及んでいる。
それか果たされるまで決して東国には戻れぬ……という話もな。」
「それについては否定も肯定もせん。私が言えることは何もない。」
「七代目ミグランス王……俺もこちらでいろいろと話を仕入れた。
あの王は傑物だな。まさに王道を進む者よ。あの王を暗殺するなど馬鹿馬鹿しいと思わんのか?」
「ちょっと待ってくれよシグレ。そのことでシオンは本当に心を痛めてるんだ。」
「もちろんそれは俺もわかっている。だからこその天下国家の話よ。
シオンをくだらない密命から解放するために……
うちの主……あの下衆の極みを俺たちの手で討とうではないか!」
「……断るっ!天下国家と称して単なる謀反の話とは。私を失望させてくれるな。」
「ふふん。まあお前ならそう答えるとは思っていたさ。サムライの義が何より大事な男だからな。
だがそれほど悠長な話ではない。お前が断ったとしても主に天誄を下すための刺客はすでに当たりをつけてある。」
「なんだと……?」
「俺がこちらの大陸に渡ったのもそれが目的よ。腕の立つサムライがいるのだ。」
「わからん。主を弑するような刺客を引き受けるサムライなどそうそういるとは思えんが……」
「くっくっく……!それがな。うってつけの遣い手だ。……おい!こっちだ!」
「……ア、アカネ!?どうしてお前が……!」
あれ?兄上だけでなくアルドさんまでおそろいだとは!自分嬉しいです!
「アカネ……お前は……いったい何をしているのだ?」
「……兄上!自分シグレ殿のお手伝いをいたします!
そうすれば兄上が東国に帰ってこられると教えていただきましたゆえ!」
「どうだシオン?お前が俺の誘いを断るならアカネの手が汚れることになる。それでも……断れるのか?」
「おいシグレ!なんて酷いことを企むんだよ!」
「はっはっは!なかなか愉快な趣向だろう?」
「いいかげんに……!」
「いいのだアルド。ここは私に任せてくれ。」
「シオン……?」
「兄上!自分がんばります!」
「気づかんのかアカネ。これはシグレのいつものアレだ。」
「いつもの……?はっ!まさか!
シグレ殿!まさかまた自分をからかったのですか……!」
「…………ようやく気づいたか!
おおっと!今のはヤバかったぞ!腕を上げやがったなアカネ!」
「自分……次こそはずしません!」
「ふん!追いついて来られるか?」
「あっ!?待て卑怯者!!!」
「えっと……もしかするといつもこんな感じなのか……?」
「うむ。その通りだ。シグレは子供の頃からあの調子でな。まったく変わっておらん。」
「……いいかアルド?東方の人間はあのような変わり者たちばかりではない。
本来慎み深く穏やかな気質でとても真面目な民なのだ。それだけは誤解してくれるなアルド。」
「あ、ああ………」
***
「……はぁはぁ。ようやくまいてきたぞ。
それにしてもアカネのヤツ少しは女らしくなっているかと期待してたんだが……
ガキの頃のまんまだな。はっはっはっ!」
「さあもう行くとするかアルド。シグレの戯言に付き合っているとキリかないのだ。」
「待てシオン!俺の用はまだ済んでおらん!」
「まだなにかあるのか?」
「ここからが本題だ!月影の森に向かうぞ!」
「今度こそまともな話であればいいが………」
***
「シオンよ……貴様腑抜けたな!」
「……ぬ!?」
「いきなりなに言い出すんだよシグレ?」
「アルドとか言ったか……すべては貴様のせいであろう!」
「ええっ!?」
「先刻俺が弑逆の話を持ち出したとき以前のシオンであればただちに抜刀して斬りかかったであろう。ところが……
ただ「断る」という言葉だけで刃も飛んでこぬとは……
これを腑抜けたと言わずしてなんと言うべきか!俺を差し置きこのような男を「戦友」などと呼ぶから腑抜けるのだ!
「オレのせい……なのか?」
「気にするなアルド。私は腑抜けてなどおらん。」
「ならばそれを証明するがいい。」
「どうしろと言うのだ?」
「シオンとアルドの二人だけで強敵と戦ってもらう。
シオンが「戦友」と呼ぶからにはその程度の力はあるのだろう?」
「常在戦場……私はいつでも戦う準備を怠ってはおらん。
だがこのような戯言にアルドを付き合わせるわけには……」
「いいんだシオン。オレも戦うよ。シオンが腑抜けただなんてそんな言いがかりをつけられて見過ごせるわけない!」
「その言葉ありかたい。やはりアルドは我が戦友だ。」
「そんなやりとりをいつまで続けられるかな?
お前たちが戦うのは……あいつだ!」
「ほう。確かにこれは強敵のようだ。だが……
アルドと私の二人ならば恐るるに足りん!」
「ああその通りだ!いくぞシオン!」
「……応!いざ参らん!」
***
「どうだシグレ。これで満足したか?」
「ああ認めてやる。剣の冴えに陰りは見られん。それどころか以前よりもますます力強い剣さばきだったぞ。
ならば今度は……俺の剣さばきを見せてやろう!さらに輝きを増した我が剣をな!」
「いや興味はない。」
「…………。」
「………!?ちょ……ちょっと待ったシオン!
オ……オレは興味あるよ!シグレの剣さばき見せてくれ!」
「お、おまえ……」
「アルドがそこまで見たいのなら私も協力しよう。戦友の頼みとあらは是非もない。」
「シオンが頼りにする理由が少しだけ……わかった気がする。」
「それでシグレはどんな剣を見せてくれるんだ?」
「そうやって期待されるのなら普賢一刀流の真髄を見せねばなるまい。」
「へえ……楽しみだな。」
「だがここでは少しばかり場所が悪い。あの海辺のあたりならちょうど良さそうだったんだが……」
「海辺って言うとセレナ海岸のことか?」
「ああそこだな。セレナ海岸に行くとしよう!」
***
「……待たせたな!」
「えっ!?馬に乗ってるのか!」
「そうだ。我が普賢一刀流の真髄は馬上での剣さばきにあり!」
「でも……シオンは馬なんか……」
「……案ずるなアルド!」
「この馬はいったい……」
「私の愛馬『白雪』だ。東方より共にこの大陸に参った。
普段は野山に放っておるがこうして必要なときに呼べばいつでも駆けつけてくれる。」
「そ……そうなんだ。」
「それよりもアルドには立会人を願いたい。」
「立会人……?」
「なに簡単なことだ。開始の合図を頼む。」
「ああ、わかった。」
***
「………………。」
「……始め!!!」
「……くっ!」
「やるなシオン。ますます腕を上げたか……!」
「これはシオンの勝ち……か?」
「いやアルド……この技は剣撃を加えたあと相手の馬か自分の馬に着地するのが完成形となる。
馬に着地できねば戦場で馬という利を失うからだ。」
「なるほど………
だったらこの勝負引き分けで!」
「うむ。よくやってくれたな白雪。相変わらず良い動きだったぞ。」
「……心配するな松風。大事ない。」
「…………。
……シオンのうつけ者が。これほどの剣を本気で暗殺に使おうなどと……
じじ様が間いたらどれほどお嘆きになることか……
……ではさらばだ。しばらくの間俺はこちらの大陸で見聞を広げるつもりでな。
またどこかで会うことがあるかもしれん。」
「うむ。達者でな。」
「また会いたいなシグレ!」
「そ、そうか……そんな言葉をかけられるとは思いもしなかったぞ。
ならばきっと再び会う機会もやってくるであろう。
ああそうだ。最後にもう一度だけ言っておこうシオン。うちの下衆を弑逆する話だが………」
「む……?」
「ちゃくちゃくと準備は進んでいる。それだけは覚えておけ!
……はっ!」
「今の話……本当かな?」
「わからん。あやつは昔からあの通りでな。今回も結局のところ何をしにきたのか……
子供の頃から用も無しにふらりとやってきては疾風のように去ってゆくのだ。」
「それってもしかすると……単にシオンに会いたくてやってきただけなんじゃないか?」
「む?そう……なのか?別に私は会おうと会うまいとどちらでも構わんのだが。」
「だけど会ったら嬉しいだろ?それか友達なんじゃないか?」
「…………。」
「オレにも何人か幼馴染がいるけどいいもんだよな気が置けなくて。
でもなんとなく不思議な気がするよ。こんなに大人っぽいシオンにも子供の頃があったなんて。」
「そうだな。私は早く大人にならねばならなかった。
私が大人になったとすればそれはきっとあの日……」
***
「……煮干しはいるかいタマ?」
「にゃ~~~♪」
「おいしいかい?たらふく食べなよ。」
「にゃんv」
「……あれ?
いつの間にかまた姿が見えないや。困ったなあ。探しにいかないと…」
***
「……アカネちゃん!」
「ん?あにうえか……」
「ダメじゃないか。勝手にいなくなったら。」
「ごめんあにうえ。」
「いいたい何をやってたんだ?」
「んとね……さがしてた。ちちうえとははうえはいつになったらおうちにかえってくる?」
「……!アカネ……ちゃん……!
あのねアカネちゃん……もう……父上と母上はお家には帰ってこないんだよ。」
「えええええっ!?どうしてかえってこない?」
「父上と母上は……
そう。お空の高いところからボクたちを見てるからなんだ。」
「ん~~~?おそらのたかいところ……か。
だったらあにうえ!あのおしろであげてるタコにのったらあえるか?」
「いや……それは……」
「どうしたあにうえ?なんでなくんだ?
がんばれあにうえ!アカネがついてる!」
「アカネちゃ……
いやアカネ。
これからは兄上が父上の代わりだ。必ず父上のようになってみせるから安心するんだよ。」
「ん~~~~?あにうえがちちうえみたいになったらアカネいやだな。」
「どうして?」
「あにうえのほうがちちうえよりずっとかっこいい。あにうえはかっこいいほうがぜったいいい!」
「はははは!ありがとう!
誓うよアカネ。お前が大人になるまで兄上がずっと護ってやる。
そのためにこの世の誰よりも強くなることを……!」
「がんばれあにうえ!あにうえならできる!!」
- Quest Complete -