【白猫】悠遠の凍て星 Story
目次
登場人物
story1 寒さの原因を追って
さ、さむっ! 冬眠したくなるレベルの寒さ!
えっと……最近急激に街が寒くなっている、という話でしたね。
はい。これは明らかに自然のものではありません。調査しましょう。
ソフィさんはこれくらい温度を下げることはできますか?
私は力をうまく扱えないから、ここまではできないです。もっと力の強い人なら……
これ、氷の国の人が何かやってるんじゃないの~?
そんなはずは! だって、国外に出ているのは私だけだし……
それに、こんな事をする人が氷の国にいるなんて、考えられません……
あ、ごめん。責めるつもりじゃなかったの。
いえ、いいんです。でも……原因を突き止めないと。(でも……確かに氷の国に近い力を感じる。これは何だろう……)bエマージェンシー! エマージェンシー! 急激な気温の低下を確認!
このまま気温の低下が続くと生命活動の維持に支障が出ます! 早く、何とかしなければ!
原因については私がこれから調査に行きます。それまで、何とかできますか?b任せてください! 街のみんなの健康は、僕が守ってみせます!
ビートがいるなら心強いわね。じゃあ、早く行きましょ。アタシも寒いし。
そうですね、では街の皆様をよろしくお願いします。ビート様。
story2 氷の国の力?
うう~どんどん寒くなっていく……
そうね……ソフィさん、氷の国ってこれよりも寒いんですか?
はい。常に雪や氷が溶けない寒さなので。私としてはまだまだ暖かいくらいですよ。
うえぇ……いつもそんなに寒いんだ……
氷の国には<永久凍土のルーン>が埋まっているのです。その力で島全体が雪と氷に覆われた状態となっています。
国全体が……強力なルーンですね。
そうなのです。その力は王家の人間にしか扱う事を許されず……!
ソフィ、どうしたの?
この寒さの原因、氷の国と同じような力を感じると思っていたんですが……
間違いありません。これは<永久凍土のルーン>の力です! そこまで強力ではありませんが……
ということは氷の国の人が?
いえ、そんなはずは……両親は国を離れることはできませんし……
きょうだいとかいないの?
兄はいました。が、すでに亡くなっています……
あっ、ごめん……
いいんですよ、昔のことですから。でも……いったい誰が……?
でもこの件、何としてでも私が解決しなければいけないようです。急ぎましょう、皆様。
story3 まだ終わりじゃない……?
ソフィさん、今の魔物が寒さの原因だったんですか?
そのようです。冷気の力が弱まっていくのを感じます。
じゃあこれで解決ね! 早く帰ってお布団でゴロゴロしたい!
これで街は元に戻るんですね。よかった……
…………
……どうかしました?
……まだです、まだ終わりではありません。
えっ?だって、原因の魔物は倒したじゃない。
あの魔物は<永久凍土のルーン>の力を与えられていました。でも、魔物がルーンの力を扱えるはずがありません。
だから、その力を与えた人がいるはずです。それを突き止めなければ……!
じゃあそっちも片づけちゃおう! 早くあったかいところに帰ろう!
見当はついてるんですね?
はい。力の発する方向はわかりますので、私が案内します。ついてきてください。
(この力はお兄様……? でも、そんなはずは……でも、もしお兄様なら私が……止めなきゃ!)
story4 悲しき兄妹の記憶
「お兄様! <永久凍土のルーン>は危ないから近づいちゃダメ、ってお母様が!」
「大丈夫だって。それにお前だって見てみたいだろ?」
「えっ? う、うん……で、でもダメだよ! 危ないよ!」
「ここだな、開けるぞ!
なんだこれ……氷の力が渦巻いて……う、うわぁぁぁ!
「お兄様! お兄様ー!!」
(永久凍土のルーンの力はお兄様の命を奪ってしまった。私とお父様はルーンの力を使うことができない。
お母様は国を離れられない、となるとあの時、お兄様はルーンの力を受け、それを扱えるようになった……?
お兄様はもういない。でも……この力、お兄様以外には……
また寒くなってきた~!
やっぱり、まだ終わってなかったんですね。
……この先です、行きましょう。
ずいぶん自信ありげね、ソフィ。
でも、なんだか思いつめているように見えるけど……どうしたんだろう……
(あの時、私はお兄様を止めることができなかった。
もし、この力がお兄様のものだとしたら、今度こそ私が……お兄様を止めてみせる……!)
最終話 王女の運命
<雪に閉ざされた廃墟を抜けたどり着いた先には、亡霊と対峙する一人の少女が――>
――! あなたは……?
私は氷の国の王女ソフィです。やはりそうでしたか……
『やはり』って……?
これは……あなたの肉親なのね。
はい。兄がご迷惑をおかけして、申し訳ありません。
お兄さん……?
兄はもうこの世にはおりません。それなのに、兄の力を感じたのでまさかとは思いましたが……
そう……あなたのお兄さんの魂が、<混沌>に取り込まれてしまったのね……
残念だけど、こうなってしまった以上、お兄さんを助けることはできないわ。
……気にしないでください。お兄様はすでに亡くなっている。それは、理解していますから。
でも……こんな形でも、お兄様の力を感じることができた。それで充分です。
あなた、強いのね。
そんなことはありません。助けられるなら助けたい……
……この亡霊は、私が断たせてもらうわ。肉親のあなたが手を下すのは、悲しすぎるから……
……いえ、私がやります。お兄様は、私が止めなければいけないのです。
それが氷の国の次期女王として……妹としての務めです。
……わかった、あなたに任せるわ。
ありがとうございます。……お兄様、どんな姿でもあなたは私のたった一人のお兄様です。
だから、今度は私がお兄様を止めてみせます。
……さようなら、お兄様。