【白猫】Holy Night Story ~あるある王子とまんぞく姫~ 後編
目次
登場人物
![]() | アルカ |
![]() | ナンシー |
story10 みすぼらしいいえ
<主人公たちは、みすぼらしい家に案内された……>
え~っと……これなら少しはお金になるかしら……
<ナンシーは、台所にあった鍋を手にした。>
それは、貧しい少女と、裕福な王子の物語……
おそらく、彼女をハッピーエンドに導くことが必要なのだろう!
story12 まじょのかけい
<主人公たちはナンシーを追い、村の宿屋へとやってきた。>
<少女が楽しげに指を振ると、見る間に部屋中が――>
わたしの家は…………代々、魔女ですから……
魔法は、必ず、良い面と悪い面を備えます。
善なる想いがあったとしても……それが成就されるまで見届けなければならないのです。
さあ!思わず魔法を使ってしまいました!その分、また働かないと!
みなさん、ごゆっくりなさっていてくださいね♪
story13 はたらいてうなずいて
<大きなもみの木のふもとの小さな村――ナンシーはまた声をかけられた。>
<雑貨屋の軒先で、テキパキとくナンシー。>
ですから、いつかきっと、おかあさまにもまんぞくしていただける日が来るのだと、信じています――
あの呪いが転じたとき、きっとだれもが、幸せに――
<考え事をしていたナンシーに、突如、大きな影がかぶさった。>
おまえにこれをくれてやる!
<そう言うと、アルカは、背負っていた棺をナンシーの目の前に放り投げた。>
質問だ!
『城に着いたとたん、降っていた雨が止む!』
こういうことって、あるよなぁ!?
この辺りで城に住んでいるのは、おれ一人だ!
いい加減なことを言うな!約束だ!おまえにはこの棺に入ってもらうぞ!
このおれの牙で、爪で、無残に引き裂いてからな!
あなたも、みなさまの中の一人ですから。
命拾いしたな!
<一行が話し合うと、一つの結論が見えてきた。
<祝福されし最後のページ>それを作り上げる鍵は――
――あの二人が、お互いに分かり合うことなのではないかと――>
story14 みんながしあわせになれば
料理はいかがだったでしょう?とっても幸せな味じゃなかったですか?
――不思議な空気の旅の方々。
わたしは、これでいいんです。
わたしはまんぞくしていますから――
……少し、哀しい……
そんなときに、一人は辛いでござるから……?
かげから見守るわよ!
story15 のろいとえがお
<――その娘は、『まんぞく少女』呼ばれていました。
どんなことでも嫌な顔一つせずに引き受け、笑顔で仕事をしていたからです。>
<村の大人たちは、もう一つ少女のことを知っていました。>
<ナンシーの母は、『魔女』だったのです。
その魔女は昔、村人たちを苦しめていた、領主に罰を与えました。
それは呪いとも呼ばれるあやしいまじないでしたが、魔女は一つの祈りを込めていました。
『この呪いが解けたとき、きっとみんなが幸せになることだろう――』
しかし、呪いはいつまで経っても解けません。
怪物の姿になった王子は、反省を忘れ、再び乱暴になっていきます。>
<ナンシーは、毎日笑顔で働きます。
村人たちの苦しみが、自分のせいだから?>
<それも、あるでしょう。
――きっと、それ『も』――>
story16 くちごたえ
<まんぞく少女は、ある日、再びアルカ王子と出会いました――>
<王子さまは、自分が魔女の娘だと知らない様子。
ですが、少女は知っています。
<ナンシーだって、自分で『おかしいな』と思うことがないわけではないのです。
自分は、こうも他人のために尽くすのだろう?
ただの罪悪感からなのでしょうか?>
<それ『も』ありました。必ず『も』がつきました。>
<王子はげっそりとこけた頬で、まんぞく少女を見つめました。>
こういうことって…………あるよなぁ!?
<まんぞく少女は迷いました。
いつものように、首をたてに振るべきでしょうか?
でも、その瞬間――>
<すると、王子の野獣の瞳が、ギラリと輝きました。>
<なんと、王子に気に入られ、姫として城へ招かれることになったまんぞく少女。
お城のそばでは、途中まで飾り付けをされたもみの木が、さびしそうにたたずんでいました――>
story17 がんこなこころ
<城へと招かれ、まんぞく少女の生活は一転しました。
綺麗なドレスに豪華な食事……まるで夢の世界のようです。
――そんな暮らしの中、もちろん、まんぞく少女は――>
こういうことって、あるよなぁ!?
『パーティーが終わると、むなしい気分になる!』
こういうことって、あるよなぁ!?
『偉くなると、暇だ!』
こういうことって、あるよなぁ!?
そのへらず口!いますぐだまらせてやろうか!
<呆れて王子は、少女の部屋をあとにします……>
<物音に気づき、少女が部屋の窓を開けると。>
あなたたちのお手伝いなら、あとで城を抜け出し、いくらでもしますから。
――お引き取りください。
<みんなが去った後も、少女は窓から外を眺めています。ほど近くに、飾り付け途中のもみの木が見えます。
少しずつ、気づき始めていたのです。>
……ごまかしていた、のかもしれない……
<選んでいたのは小さな満足。
ですが、それでは届かない。
――これで満足する。という、終わらせ方の先に――
もっと、別のものがあるのです――>
あのツリーが……完成する頃には……
story18 とまったとき
<アルカ王子は、次第に少女の部屋から足を遠ざけるようになりました。
少女は城の中でも黙々と働きます。
王子は毎日町へ出ますが、何も得られずに帰ってきます。
――毎日、毎日――
――毎日、毎日――>
このあたりってさ、ずっとクリスマスの準備をしてるじゃない?なのに――
<エシリアの指差す先には、たしかに見事なもみの木がある。>
だからまだクリスマスが来ないんだろ~な~って。
その<想い>を、形に出来れば……
<<祝福されし最後のページ>そこで何が描かれるのかはわからないが……
ぺージをめくらなければ、何も始まらない!>
【ルーンを集めて「魔法の絵本」を完成させる】
<ツリーの頂上でさんぜんと輝くお星さま――
その光が一ついに、止まっていた時を進ませてゆきます――>
story19 おもいのはれつ
<――疲れ果てたアルカ王子は、その夜、久しぶりにナンシーの部屋を訪れました。
<いつもと変わらず、笑顔でアルカ王子を迎え入れるナンシー。>
<しかし王子は、自分から語りかけるのがおっくうでした。
表情は笑顔でも、どんな話をしても、反対されてしまうのですから……>
<だけど、王子は、いつまでもこの自分でいることが、嫌で嫌でたまりません。
重い口を開くと、やっとの思いで言葉を吐き出しました。ですが――>
<まるで言うつもりのなかったことを口走っていたのです。>
<――辛そうな王子を見つめ、固く口を結ぶナンシー。>
<突然、アルカ王子は声の限りに叫びました。>
嫌われたくないと思ったとき、もう遅かった!
おれはわがままだ!おれは勝手だ!好きなように、生きている!
だから……呪われたんだ……これは……罰だ……
<叫び終わり、うなだれる王子を見て――
――ナンシーはついに、自分から口を開きました――>
だれにもわかってもらえなくても、そういうものだと、まんぞくしていたのです……
わたしは自分で選んでいる。人に言われたことを、自分の選択だと思い込み。
それで、まんぞくしていました。自分勝手に、傲慢に。
<気丈に顔を上げる少女の、肩がかすかに震えました。>
わたしはまんぞくしていました。運命に己を捧げることで。
『まんぞくすること』にまんぞくしていました。
『だれも自分のことを、わかってはくれない』
……わかっていました。その上で、そのことを……!あきらめ……!
<少女の両こぶしはいつの間にか握られ、ぶるぶると揺れていました。>
<少女は涙の浮かんだ目にキッと力を込め、王子を見据えました。>
だれかにわかってもらいたいと、少しでも願うと――!
胸が苦しくて!不安で!とっても怖くって!
どうしたらいいのかわからなくなって!
だから!気にしなくてすむ道を、選んでしまっていたんです!
<涙をちぎりながら大きな声を出すナンシーを。アルカは穏やかな瞳でみつめ、微笑みました。>
<――そのとき、一際眩い光が二人を包みこみました――>
【ナンシーのみで出撃可】
【アルカのみで出撃可】
【アルカ・ナンシーのみで出撃可】
最終話 あるあるおうじとまんぞくひめ
<光がおさまると、そこには――>
「――!?王子さま、その姿は――」
「――そういうきみも。」
「えっ――!?」
「……呪いでは、なかったんだ。
きっとそれは、未来の祝福のため――
与えられた、人としての、壁だったんだよ――」
「王子さま……」
「……おれは、アルカだ。」
「……アルカさま。」
「きみとわかり合えたことで、おれの人生はようやく意味を持った。
感謝するよ。ありがとう――」
「そんな――!わたしのほうこそ――!」
「満足かい?」
「……いいえ。」
「?」
「吐き出せたことはいくぶんスッとしましたが――
これから満足するかどうかは、わたしと――
――わたしをわかってくれる人次第です。」
「……ふふふ……
『心の中をさらしたあと、恥ずかしくなって、見栄を張る――』
そういうことって、あるよなぁ?」
「さあ……どうですかね?」
「ふふ……」
「うふふふ……」
<こうして、『あるあるおうじ』と『まんぞくひめ』は――
クリスマスの夜に、心から結ばれたのです。
わかってくれる相手を得た二人は、広く領民たちのことも考え――
二人の治める村は、末永く、幸せに包まれたということです。
『あるあるおうじとまんぞくひめ』
――めでたし、めでたし――>
こういうことって、あるよねぇ?
…………
……
<クリスマスパーティーが終わった後の、ディオニスの居室にて。>
「――封印が解けた奇跡、か――
まさか……こんなこともあるのだな……」
「『人生には、思わぬ事件が三度起こる』」
「ふふ♪この出来事にも満足していますよ♪」
「……ふむ。
――この世界に、歓迎しよう。アルカ王子に、ナンシー姫よ!」