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【白猫】ティファレス・オーダー Story

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最終更新者:にゃん

2020/02/28





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<オレの名前はエディ・ジャクソン。馬車とダンスと母ちゃんをこよなく愛するしがない御者だ。

いきなりだがオレは今、超トラブってる>

アァッ!来た来たまた来た!プリーズドントキルミー!

<どうやらオレという男は平穏無事な生活には縁がない星の下に生まれてきちまったらしい。ヒュウ、それもまたクールだぜ、エディ・ジャクソン。>

どいてろ、バカ!

さて、状況はやや不利だな。地上への出入り口はーつ。彼女を守りつつ突破するのは容易ではないぞ。

なに、隙が無ければ作ればいいだけだ。

<オレは、いやオレ達は、ー人の少女を守る事になった。>

ハハハハハァ!オラ、来いやクソ野郎ども!

<いや、こいつはシンプルに戦いたいだけだな。うん、きっとそうだ。でもまあいいや、味方だし。>

全員まとめてブチのめしてやるよ!

<味方だよな?>

<この子が頼れるのはオレ達だけなんだ。……守ってやりてぇじゃねえか。>

エディさん、大丈夫ですか?震えてます……

<ビビるなオレ、チビるなオレ。男が廃ればダンスは踊れねえ!行くぜ、エディ!>

心配すんなエスカちゃん。オレはチャンピオン……やる時はやる男だアーッ!

<一体どういう事なのかって?それが、色々と込み入っててな……>



親愛なるアンジェラ様。突然のお手紙を、どうかお許しください。

これから申し上げる事は、すべて私のわがままです。本当は。私ひとりで何とかしなければならない問題だという事は、重々承知しております。

ですが、私の力では、どうする事もできません。……もう。あなたしか頼れないのです。

父が、息を引き取りました。ついこの間の事です。……父らしい。立派な最期でした。

父は、遺言を残していました。島の次期領主は。叔父様が。そしで……

<遺産>は、私が受け継ぎました。そこで。問題が起きたのです。遺言を読んた時からこの身に覚えた悪い予感が、当たってしまいました。

叔父は<遺産>を奪うつもりです。

最近、屋敷がにわかに物騒になりました。叔父が私兵を雇ったせいです。

中にはお尋ね者のような悪い人もいるようで、正直、気が気ではありません。

また、私の身辺警護のために、腕の立つ冒険家を雇ったとも聞きました。

叔父は、まもなく私を軟禁するでしょう。すべては。誰にも邪魔さ九ず。<遺産>の在り処を私から聞き出し我が物とするため。

アンジェラ様、お願いです。オルルハム家の<遺産>を、破壊してください。

……どうか、あなたのご慈悲を。エスカ・オルハイム――



……さて、これは危険な賭けになるぞ。

z自分の首が飛ぶかどうか、ですかな?

お初にお目にかかります、アンジェラ第三公女殿下。

何者だ。

私の名はライフォード。エバンス家の人間です。

……無礼をお許しください、ライフォード卿。お会いできて光栄です。

そう怖い顔をなさらずに。

<嵐の国>の大佐殿がウルドヘ入島とは、穏やかではありませんな。

企てで来たのではありません。……堅苦しいのはこの辺で終わりにしましょう。

あなたに協力したい、レディ<遺産>とエスカ嬢をランヴァルド卿の毒牙から救いに行くのだろう?

……どうして知っている?

ここは人が多い。少し歩こうじゃないか。



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ライフォード・エバンス。<嵐の国>の騎士にして軍人。階級、大佐。

アンジェラ・ベイリアル。<嵐の国>蒼炎の島・ウルドを治めるベイリアル家の第三公女にして、ウルド軍を率いる指揮官。

内乱続く<嵐の国>でこの二人が出会ったのは、無論偶然ではなかった。>


私の知り合いに予言者がいてね。提示された可能性のーつが、どうも気になった。

『翠聖の島の<遺産>を使い、嵐の国に新たなる火種をまく者が現れる』と――

翠聖の島・ティファレス。オルハイム家が統治してきたこの島には、ある<遺産>が眠っているとされている。

失われた技術が詰まった古代兵器、災厄をもたらす呪われた魔物、莫大な魔力を宿したルーン……

色々と噂されているが、実体は誰も知らない。オルハイム家が秘匿し続けてきたからだ。

彼らは豊富な地下資源を利用し、内乱が続く<嵐の国>で。<遺産>と自分達の島を守り続けてきた。

特に、先代のエルランド卿はかなりの切れ者だったな。

だが、彼は亡くなった。代わりに領主となったのは、エルランド卿の弟ー悪名高き野心家のランヴァルド卿だ。

火種をまく者ー容易に想像できるな。

……ライフォード卿。その予言とやらに、私の存在も示唆されていたのだろう?

<遺産>の在り処を知っているのは、エスカ嬢だけ。そして彼女は、あなたに助けを求めた。どうだ、当たっているか?

……卿の目的は何だ。

<嵐の国>から争いを無くすのが俺の夢だ。夢の実現のために努力するのは悪い事ではないだろう?

夢と抜かすか。……卿の悪名は、ウルドでも有名でな。失礼を承知で言うが、信用などできん。

悪いが、この件は私ー人に任せてもらおう。

言っておくが、ともに向かうか、現地で再び相まみえるか、違いはそれだけしかない。

ならば、余計な真似をしないよう、側で監視しておいた方がいいのではないか?

安い挑発だな。むしろ卿こそ火種なのでは?

ふ……胸が躍るな、レディ。存分に楽しもうじゃないか。

断る。これは私の問題、手出しは無用だ。

そうか……では失敬する。おっと、その前にデクスター卿に挨拶でもしていくとしよう。

それはやめておいたほうがいい。卿とて賊として不名誉な死は望まんだろ?

冗談さ。彼に会うのはさすがに気が引けるからな。

冗談には聞こえなかったがな。……まったく、とんだ男に目をつけられてしまった。

それでは潜入の準備にかかろう。まずは、敵の情報だ。

(……金メッキの毒虫め……)


…………

……



ランヴァルド卿は数多くの私兵を雇い、屋敷の警備を固めている。

エスカからの手紙には、表には出られないような危険人物も参加していると書いてあったな。

これは推測だが、ランヴァルド卿は<嵐の国>の地下組織とも繋がっている可能性がある。

エスカの側には腕の立つ冒険家をつけたらしい。

ギルドを通したとするなら、騙すような形で引き入れたのだろう。

奴らの装備は判明したか?

問題ない。

潜入となれば、我々も調達しなくてはならんぞ。

それは任せてもらおう。レディは屋敷のどこにエスカ嬢が軟禁されているかを調べてくれ。

そんなものはとっくに調べている。


…………

……


出発だ。抜かるなよ、ライフォード卿。

その前に、聞いてもいいだろうか?

好きにしろ。答えるかどうかはわからんがな。

どうしてエスカ嬢を助けようと思った?

…………

結局、デクスター卿に話は通していないのだろう?

つまり今回の任務は、完全に君の独断という事になる。前にあなたが言っていた『危険な賭け』さ。

策は練ってある。まあそれでも、見抜かれるかもしれんな。

命を張ってでも助ける価値が、彼女にはあると?

……エルランド卿には昔、世話になった事がある。彼がいなければ、私は今ここには立っていない。恩義に報いる機会が巡ってきたというわけだ。

それと、もうーつ。エスカの願いは<遺産>の破壊だ。手紙にもそれだけが書いてあった。

あの子はー言たりとも、『自分の命を助けてくれ』とは言っていない。

彼女は死ぬ気だと?

自己犠牲を発揮するには彼女はまだ若すぎる。

……案外、俺達は馬が合うかもしれないぞ、レディ。

心の底から笑えない冗談だ、ライフォード卿。




ティファレス・オーダー
~翠聖の守護者~



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あらすじ


「翠聖の島の<遺産>を破壊してほしい」

アンジェラは、かつて命を救ってくれた恩人の娘である

エスカを助けるべく、ライフォードとともに島に潜入する。

しかしエスカの側には、護衛として雇われたレインとエディがいた。

<遺産>を巡る一夜の物語が、いま幕を開ける――



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