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劇団ほわいときゃっつ Story3

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最終更新者:にゃん


目次


Story1 キャトラの立ち位置

Story2 カレンの苦悩

Story3 音楽家同士

Story4 感動とは

Story5 縁の下の

Story6 着々と進む計画

Story7 勝負服



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story キャトラの立ち位置



<――時は少しさかのぼり――

演目が決まり、『ほわいときゃつつ』が本格小屋入りまで、残り期間はわずか。>

さて……動こうかしらね。

動く……?

演劇って、とってもタイヘンなの。とってもストレスが溜まるの。

役者たちはみんな初めてだし、いろんな悩みを抱えていると思うのよね。

そうだね。

レザールとウォルターも忙しい身よ。みんなのフォローまで手が回らないわ。

だからそこを、アタシがどうにかしてあげようと思って。

うん、いいと思うわ♪

……いいと思うんだけど……私たちも、演劇のことはよく知らないけど……

アタシはもう掴んだわ。その核心を。

……って言うのはオーゲサだけど、直接的には関係のないアタシだから出来ることもたくさんあるはずよ。

ただただ、話を聞いてあげたりとかね。

そっか……そうだね!

では!いきましょう~!



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story カレンの苦悩



K…………

カレンだわ。おーい!

Kあ、みなさま。

稽古はどーお?順調?

K苦戦している、正直。

どんなところが?

K何かを演じる、ということは初めてではないとしても……

別人になりきる、というような経験はないのだ。どうしたものか……

別人になんかならなくていいのよ。

Kえ?

カレンと役に、共通点はないかしら?

K私と役の、共通点……?

まったくないってことはないと思うの。架空の存在でもにんげんだものね。

自分と似てるとこを探して、少しずつ役に近寄っていってはどうかしら?

そうしたら今度は、役の方からも近寄ってさてくれるんじゃないかしら。

K……ふ~む……!

(キャトラ……!あなたは、もはや……!)

Kそうだな。視点を変え、そのように考えてみるのも手か。

いいと思うわ。あとね、レザールがさ、結構厳しいと思うんだけど……

K厳しいなどとは思っていないさ。最上の結果を出したいのであれば、個人の感情など、甘え。

私もレザール殿と同じく、出来る限り良い舞台にしたいと願っている。

それに、レザール殿の指示は、たとえそのときはわからなくとも、あとになってからその真意に気づくものばかりだ。

であれば、苦はない。信じて稽古を重ねるのみだ。

ふむ……いい心がけだわ。

でも、本当に辛いときはアタシたちになんでも言っていいんだからね。

K優しい言葉、感謝する。だが、心配はいらないさ。

失礼する。

カレンさん、しっかりしてるね。

ウム、思ったよりも、ずっと前向さなカンジだったし、これなら大丈夫そうね。

じゃあ、次行ってみましょー!



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story 音楽家同士



o……それにしても、あなたが役者とはね。

l自分でも驚いているわ。

お、オレリアとレーラだ。なにやら仲良く話してるわね?

音楽家同士、顔見知りなんじゃないかしら。

やっほー。なに話してんのー?

oああ、あなたたち。なにというほどでもないんだけど。

l世間話よ。オレリアとは、前から知り合いだったからね。

アイリス、正解♪

やったわ♪

oクイズしてたの?

ううん、そんなことないの。オレリア、調子はどう?

o調子って?

生バンドの。演奏の腕は知ってるけど、何か不安とかはない?

oそうね……不安、と言えば不安かもしれないけど、楽しみな不安、ね。

ふふふ……♪実はね、演奏だけじゃなくて、サプライズ企画も進めててね……♪

おおー!サプライズ企画!いいわねいいわね!

oメンバーも乗り気だし、面白くなると思うんだけど……

だけど?

oやってみるまで、どうなるかはわからないから。ちょっと不安もある、ってだけ。

ふむ。でもその不安なら、とくに問題なさそーね!

oそう思うわ♪

じゃあレーラは?

lへ!?なにが?

ちょっと巻き戻してね、アレよ。調子はどう?

lああ……稽古なら、順調よ。

あらっ!?そうなんだ?

アタシはてっきり、レーラって『アレ以外』のお芝居は苦手なんだと思ってたわ。

lもちろん得意だったわけではないけれど……

私は音楽家として、観客を相手にしたことは。何度かあるし。

それに……カレンとか、ね。もっと苦戦してる他の人もいたりして。

芝居の相談に乗ったりすると、なんだかかえって、自分の演技の糧になったりして。

ムムム。よく言われることだわ。

lなんて?

『観るのも稽古』

『やる稽古だけでは伸ぴ悩む』ってね。

そういうことかもしれないわね。

o……キャトラって、どうしてこんなに演劇に詳しいのかしら……?

lさあ……?不思議な猫だとは思っていたけれど……

ともかく、レーラはそんなに心配なさそうね。良かったわ。

lそう?

うん。じゃあ、他のひとのところにいくわね。バイバーイ!



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story 感動とは



kひゃあ、つめた~い♪

tふふ、おいしい?コヨミ?

kうん!とっても冷たくておいしいよ!ありがと、ティナねーね!

Tキュウン!

アラ、ふたりは稽古帰りかしら?

アイスクリーム……を、食べながら歩いているの?

tあ、みなさん。買い食い……良くなかったですか?

そんなことは言わないわ。だけど、寒くないの?

kううん、ぜんぜん平気だよ!

コヨミは元々平気そうだけど、ティナは?

t稽古で体があったまってるから、アイスの冷たさが丁度いいよ♪

ふむふむ。冬にアイス。それも青春だわねえ……

(どういうこと……!?)

稽古はどう?

tちょっとね、行き詰まってるかなあ、って思って。

ほうほう。それで?

tでね。コヨミと二人で、帰りながらお話ししょう、ってなったの。

私とコヨミがさ、もっとお互いを知って、仲良くなった方が演技も自然になるんじゃないかって、

ふむ。そうね。掛け合いで重要なのは『呼吸』よ。

kこきゅう?

ええ。コヨミ、アンタ、台本のセリフは覚えた?

kうん!ちゃんと覚えたよ!

相手のセリフは?

kえ……?相手の……?

自分のセリフだけを丸暗記するのはね、良くないのよ、コヨミ。

kそうなの!?でも、覚えないと、なにも言えないよ?

いい?セリフってのはね、『ー度覚えて、そして忘れる』ものなのよ。

tええ!?セリフを忘れるぅ!?それっておかしくない?

いいえ。いい?ティナ?

アンタが演じる役は、そのセリフを『初めて』口にするわけなのよ。

t稽古で何度も言ってるけど?

それはアンタがね。でも、『役』は、そのとき初めて思って、初めて発言をするのよ。

tえーと……うん、その理屈はわかるよ。

いい?演劇人は、こんなことを言うわ。

『舞台には三つの感動がある』

t三つのかんどう?

(キャトラの詳しさが加速しているわ……!)

この場合の『感動』は、読んで字の如く、『感情が動くこと』よ。

kかんじょうがうごく……

役者が演じる『役』まず、『自分の心』は、に気づいて『感動』するわ。

k自分の心に、気づく……

そう。自分に『感動』した役者は、発話したり、なんらかの行動を取るわ。

そして、その行動に触れた、他の役者が『感動』する。

t……つまり私だったら、コヨミのセリフを受けて、感情が動くってことね?

そう。そしてお客様は、『感動』し合っている役者たちを観て『感動』する……

技術とかもあるけれど、結局、芯はこういうことなのよ。

(キャトラ……!まるで十年も演劇をやってたかのように……!)

kう~ん……?

Tキュウ~ン……?

tなるほど……自分が自分に感動し、相手と感動を共有し、そして観客に届ける……!

そのためには新鮮な感情が必要……だから、セリフを言い慣れてはダメ……

それが、『ー度覚えて、そして忘れる』ってことなんだね?

飲み込みは早いようね。でも、それが実践出来るかしら?

案外コヨミのように、頭で考えない方が出来ちゃったりすることもあるものよ?

kえ?

コヨミ。いまのアタシのチンプンカンプンな説明を受け、アンタはどう思ったの?

kえーっとね…………いっしょうけんめいやります!

それでいいのよ。

t私も、ー生懸命やるよ!

ウム。それでいいの。

tよお~し……!お芝居、がんぱろうね、コヨミ!

kえ?うん、がんばるよ!

Tキューン!

……火が点いたようね。

この時間、確かに無駄ではなかったわ……!



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story 縁の下の



<いっぽうその頃、音響班では――>

Vあ、このBGM!あのシーンで使えそう!CHECKIT OUT!

Cヴィヴィー、戻ったよ~。

<ルーンピンマイク>って高いよね~……

Vそうですね、貴重な物ですから。

C四波でいいんだよね?

Vえーと……そのはず。

レザールさんも出演するけど、シーン被ってなかったから、使い回せるはずです。

Cオッケ~♪


<また、叩き場では――>

おい、誰だ!?こんなクソ高えペンキを買ってきやがったのは!?

wああ!?なにが高えってんだ!?

テメーかこの野郎!桁がーつ多いだろうが!

wンだってエ!?マジか!?

すぐに返品してきやがれ!

wわ、悪イ!行ってくらア!

伝票忘れんな、馬鹿野郎!

まあまあ、間違いは誰にでもあるではありませんか。

だがなあ、姫さん。そもそも塗料代なんざ、予算取ってもいねえんだぜ?

あら、そうでしたでしょうか?では、装置の塗装は?

あいつを呼んでるじゃねーか。

やっほ~♪、虹を描きに来たよ♪

こちらの方は……?

パステルだ。クライヴに、紹介してもらってな。

お前、絵の具を出し放題なんだろ?いっちょ、装置の塗りを頼むぜ。

大道具か……!任せて!

さあ、虹を描くよ!

おお、すげえすげえ。こいつはいいや!

まさに、装置に命が宿っていくようですね。

えヘヘヘ!お役に立てて嬉しいよ!さあ、どんどん持ってきて!



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story 着々と進む計画



w――以上が、搬入搬出の計画となっております。

cはいっ!遺漏はありません!

wルーントレインは便利ですが、仕込みは時間との勝負です。効率良く運行しましょう。

ですが、決して焦らずに。安全運転でお願いしますよ。

cかしこまりましたっ!

では次に、お客様の送迎のタイムスケジュールを打ち合わせしましょう。

wその前に、紅茶はいかがです?

cあ、はい!頂きます!


c……ふぅ~……♪

w……お父様とは、どうですか?

c……え?

wミスターギルモアは相変わらずご多忙なのでしょうね……

c…………

w彼はルーントレイン業界を牽引する方です。わたくし、尊敬しておりまして。

c……はい!

父との関係は、良好ですっ!

wなにより、です……♪


zLL――次は舞台転換の打ち合わせだ――

飛べ!シャグラン!



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story 濃厚な時間



いっこくいっこくと、本番が近づいてくるわね。

そうだね。

アイリス、衣装はどう?

うん、なんとか。今回は量も多いし、豪華だから……

本番に間に合うか、不安はあるんだけどね……

――こんな言葉があるわ。

『たかがー週間。されどー週間』……

そして……

『舞台はー週間前から!』

そ、そうなの……!?

そんな言葉があるだけよ。うのみにするのは危険だわ。

だけどね……そんなもんなのよ。

舞台は、直前が最も濃密よ。

このー週間の経験は、きっとかけがえのないものになるわ……

……そうね。がんばりましょう!

ええ!

(キャトラ……、すっかり染まっちゃって……)

(…………)

(負けない……!)



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story 勝負服



<本番前日>

l……座長は?

kあちらの席に。

 zLL……ここのきっかけは、ー呼吸遅らせよう。

 で、ここのセリフから、徐々に音響も煽っていって……

l最終打ち合わせか……

t座長さん、大変だなあ……

Kトップに立つもののさだめ、ですね……

tこっちの席に来ればいいのに……

kコヨミが呼んでこよーか?

Tキュウン?

lううん、いいのよ。大事なお話をしているから、そっとしておきましょう。

kはい!

K……それにしても、もう本番とは……信じられません。

l短いようで……ふふ、早かったわね♪

kそういえば、本番中、タローは楽屋にいる?

Tキュウン?

tタローは客席で観ていいんじゃないかな?

Tキャウン♪

tあんまり吠えちゃダメだよ?

k夕ロー、静かにしてられる?

Tキャン!

kよしよし♪タローはいい子だね♪

ご注文のカツカレーだ!破滅級大サービスで、なななんと、甘口だぜ!!

Kカツカレー……?頼みましたでしょうか……?

キャトラからのオーダーだ!お代は結構!コイツを食って舞台に勝ってくれ!

Kキャトラくんから?

lゲン担ぎ、ってやつね。

Kそういうものもあるのですね……では、ありかたくいただきましょう。

tおなか減ってたんだー♪いっただっさま~す!

kはふ……はふ……あむっ。……とってもおいしいよ!

Tキャウーン!

K……明日、か……

l悔いの残らないように、いままで培ってきた全てを出し切りましょう……!

Kええ……!


<――こうして、結束は高まり――

プロデュースユニット『ほわいときゃつつ』は、本番当日を迎えるのだった――>




next ~ぬくもりのおまじない~




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