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ルチル・メイ

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ルチル・メイ CV:
2017/00/00



story0 プロローグ


――この世界には、特別な力を持った「召喚士」と呼ばれる一族がいる。


「召喚士」は、精霊を屈服・服従させる能力を持ち、

異世界や、はるか遠く離れた精霊を一瞬で呼び出す「空間魔法」すら使いこなす、この世界でも特別な存在。


本来は成人を迎え「召喚の儀」を行い、やっと「召喚士の能力」を得るはずが、

「ルチル」は、生まれた時から「精霊と心を通わせること」はもちろん、「召喚士の能力」も備わっていた。


幼少時からずっと精霊と過ごしてきた特別な子「ルチル」

口数も少なく、感情を露わにしない「ルチル」は、

精霊達と過ごしている時だけは、誰にも見せない笑顔を見せる。




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正月 おともだちとの新年



強い風と雪が舞う空の下で、ルチルは寒さに震えていました。

新年を明日に控えた今日、薬草を取りに出かけた彼女は、

長く降り続く雪のせいで、道がすっかり隠れてしまい、家に帰れなくなってしまっていたのです。


「うう……どうしよう……」

困り果てたルチルが、泣きそうになった、その時。

「あなた、どうしたの? 迷子?」

雪混じりの風にのって、新緑色の髪をした女の子が、ルチルの前に降り立ちました。

「あの……わた……わたし……」

「あー、細かいことはいいからいいから! 寒いよね、一緒に行こう、ここじゃ凍えちゃうよ?」

そう言うと、女の子は震えるルチルの手を取りました。

「……!」

ルチルは驚きました。女の子の周りには不思議な暖かい風が満ちていて、なぜか雪は彼女を避けて降っていたからです。

「しっかり掴まっててね! さあ、いくよー!」

女の子はそう言うが早いか、強く地面を蹴りました。

「えっ、あ、ひゃああ!」

するとどうでしょう、ぶわん、と足元の空気が膨らんだ感覚とともに、ルチルと女の子は空に舞い上がったのです。

「風の精霊たちはこの時期元気だから、乗ってて楽しいんだよ」

冬の風に逆らうことなく、流されるように翔ぶ女の子は、心底楽しそうにそう言いました。

「ねえ、家の場所わかる?」

「わ、からない……」

「んー……じゃあまあ、とりあえず晴れるまでウチにいればいいよ。すぐそこだからさ」

こんなに雪が降っている時に外に出たことを、女の子は責めることも怒ることもしません。

どこまでも優しい女の子に、ルチルはとても申し訳なくなってきました。

「あの……」

「うん、どうしたの?」

「ごめん、ね……?」

「なんで謝るの? なんにも悪いことされてないのに」

「えっ……う……」

それから、ルチルは何も言えなくなってしまいました。

家についてからも、小さく頷くばかりで、困った笑顔を浮かべる女の子に、お礼すらも言うことができなかったのです。


結局その日は雪が止むことはなく、ルチルははじめて新しい年を自分の家の外で過ごしました。

翌朝、空は抜けるような青色。溶けかけた雪がキラキラと光るその場所で、新緑色の髪を揺らしながら、女の子は精霊たちと遊んでいます。

「わたし、できるかな……」

そう言い、不安げな顔をするルチルの背中を、精霊たちは小さな手で一生懸命押しました。


がんばって、勇気を出して、と。


「そう、だよね。……ありがとうって、いわなきゃ」

彼女が一歩踏み出すと、雪がさくっと音を立てました。さく、さく。ちいさな足音を立てながら、ルチルは一歩一歩前に進みます。

「あの……! えっと……!」

精一杯の声で、ルチルは女の子に声をかけました。彼女はふわりと振り向くと、ルチルに向かって笑いかけます。

逃げ出したくなる気持ちを押し留めて、ルチルは言いました。

「昨日は、あり、がとう……、えっと……」

「ううん、どういたしまして! 私はルミィ。ルミィ・エイプリル

そう言うと、ルミィは元気よく手を差し出しました。

一瞬驚いたルチルでしたが、ルミィの笑顔に釣られて、おずおずと手を伸ばします。

「ルチル・メイ……あの、これからも、よろしくね、ルミィ……ちゃん?」

「うん、こちらこそ、ルチルちゃん!」


そっと繋がれる手と手。それが、ルチルに初めての友達が出来た瞬間でした。



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