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【アナデン】名無しの少女 Story

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最終更新者:にゃん
アナザーダンジョン





「あら……あなたは……。そうアルドというのね。」

「え!?どうしてオレの名前を?」

「なぜかしら。でもあなたが来るってずっと前から知っていたような気がするわ。」

「なんだか変わったやつたな……。でキミは誰なんだ?」

「わたし?わたしは……次元の水先案内人。

わかるのはそれだけ。ここに来る前のことはよく覚えていないの。」

「記憶喪失ってやつか?だとしたら大変だなあ……。名前とかもわからないのか?」

「私の名前?……そうね。わからないわ。」

「そうか……何か手がかりになりそうなこととかないのか?」

「手がかり……。少しだけ覚えている記憶があるわ。記憶というか景色というか……。

うすぼんやりした場所……。その中をゆっくりとたゆたっていたの。

あそこはどこだったのかしら。私はどうしてあそこにいたのかしら?

朝と夜のない揺り龍……。暗くて冷たくて泣きそうになるくらい静かで……。

ダメ。これ以上は思い出せないわ。」

「そうか……。何か手助け出来ればいいんだけど……。」

「じゃあこの扉の中を調べてきてくれない?」

「この扉か?一体なんなんだコレ?扉だけポツンと立っているが……。」

「この扉は私がここに来た時に出来たみたい……。それまでは何もなかったって。

だからきっとこの扉の先に私の記憶の手がかりがある……。」

「なるほど……よくわからないがこの先を調べればいいんだな?

そういうことなら任せてくれ!」


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「あらおかえりなさい。だいぶ探索が捗っているみたいね。」

「ああ段々この扉の世界にも慣れてきたよ。」

「それはよかったわ。私も新しい記憶を思い出したの……。」

「おお!良かったな!どんな記憶なんだ?」

「多分……私の中ではすごく古い記憶なんだけど……。

大勢のヒトが私を見ていたわ。私は透明な壁の中に閉じ込められて動けなかった……。

そしてあの人はこう言ったの。ゆらぐ世界の模として君は光を消し去る者だと。」

「あの人?」

「大勢のヒトの中心にいた人……。

あれは……誰だったのかしら。それはまだ思い出せない。

また思い出したら話すわ。扉の世界の探索を続けてちょうだい。」





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「……新しい記憶が戻ってきたわ。」

「良かったな!で、どんな記憶なんだ?」

「多分これは前の記憶の続きね……。

大勢のヒトが私を見ていて……そして中心にいたあの人……。

あの人は……あの男性は私を産んだ人。」

「お父さん……ってことか?」

「多分……そうだと思う。

あの人はこう言っていた……。

この世界はゆらいでいる。一つの誤りで消えてしまう不確かな世界だと。

その原因は光だって言ってた。光を消せばこの世界は確かなものになる。あの人はそう言っていたわ。

そして私は光を消し去る者だとも……。」

「光?何かのたとえか?」

「たぶん……でもこれ以上のことはまだ思い出せない……。

それと……アルド。何か嫌な予感がするわ。これより先はこれまで得た記憶とは違う気がする。

もしかしたら私は……あなたも後悔することになるかもしれない。

それでも……あなたは続けるのね……。」

「ああ。真実がわからなければ何もできないからな。

それにいつまでも名無しってわけにはいかないだろ?」

「あなたならそう言うと思ったわ。うん……怖いけどそういうあなたになら任せてもいいかな……。

これからはこれまで以上に扉の中を調べなきゃいけないと思うけど……ゆっくりでいいから……」



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「頭が……っ!」

「おい!大丈夫か!?」

「え、ええ……大丈夫……。

最近はいつものことだから……。

アルド……あなたが扉の中を調べるたび……私の中に何か流れ込んでくるわ。」

「それは記憶のことか?」

「いいえ……私のもっと深い部分に……。これにどんな意味があるか……今の私にはわからない……

それでもあなたが扉の世界をめぐる度私の中でどんどん大きくなっているの……

これは……何?」

「……。」

「この存在が一体なんなのかわかりそうな気がするの……。

あとちょっと……あとちょっとで……。きっとそれが最後の記憶……。

でも……アルド。

全ての記憶が戻った時……きっと何か良くないことが起こる。

このままだといつか私、あなたを……。

くっ……!」

「無理をするな!」

「……大丈夫。私はへいきだから。

ともかくこれが最後の警告よ。きっと次の記憶を取り戻した時良くないことが起こる。

それでもあなたは進むのね?」

「どんな事実が待っていてもそれでも前に進むしかない。

真実を見ないフリをして生きていくことは出来ないからな。」

「ええ……あなたならそう言うと思っていた。

警告はしたからね……。」



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「アルド……私、思い出したわ。」

「新しい記憶か……。」

「ええ……。でも前に警告したとおり……後悔するかもしれない。」

「それでも……話してくれ。」











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