泖塔
画像
開放条件
Lv.40で開放
紹介
兄弟が物心ついた頃から、父は寡黙な人だった。母が亡くなり、父はさらに無口になった。その日は、大洪水だった。母は川へ洗濯に行ったきり、二度と帰って来なかった。父は兄弟二人を連れて郊外の山に避難し、命からがら助かった。家に帰ってからというもの、父は、母は海に連れて行かれたのだと言って、よく海に行くようになった。父は広大な海を眺めながら、次第に魅入られていった。船で海に漕ぎ出し、なかなか帰ってこないことが増えた。こうして、大郎はいつも一人で弟の面倒を見ながら暮らしていた。ある日、父は海に出たきり、帰ってこなかった。兄弟は、父を海から取り戻そうという思いでいっぱいになった。二郎はどこで聞いてきたのか、灯台に明かりを灯せば、さまよう船に帰り道を示せる筈だと言った。大郎は、以前の父の言葉を思い出した。父は泖塔のてっぺんを指さして、「昔は明かりが灯され灯台として使われていたが、今は廃れてしまった」と言っていた。明かりを灯せば、父はきっと帰ってきてくれる。夜になり、兄弟は灯油を背負い、夜闇のなか塔に忍び込み、階段を一段、また一段と登っていった。足が震え始めたその時、二人はようやく塔のてっぺんに辿り着いた。使われなくなって久しい照明に灯油を注ぎ、火をつけた。塔のてっぺんは、久方ぶりに柔らかな光を放ち、父に帰り道を示した。兄弟は期待と共に父の帰りを待った。しかし、願いも虚しく、日が昇っても船が現れることはなかった。それでもその明かりは、何年も経った今でも、兄弟を前へと導いている。
ステータス
所要材料 | 数 |
5 | |
35000 | |
12 | |
12時間 | |
繁栄度・環境 | 25・10 |