青銅の鐘
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
2010
入手方法
厳さま取引
塩商
物語
同一和尚は、こっそり杭州へ遊びに行った小坊主に、罰として、毎朝毎晩鐘をついて時を知らせるように言いつけた。小坊主は首を傾げた。「お師匠さま、どうして朝も晩も鐘をつくのですか?」「その答えは、鐘を鳴らした後、自分で探してごらんなさい。」その夜、真っ暗な空の下、小坊主はあくびをしながら部屋から出て来た。開ききっていない目でふらふらと鐘に向かって歩いていく。近づくにつれて、小坊主は、鐘をつく撞木をつかむには自分の背丈が全然足りないことに気がついた。鐘を鳴らす時刻が近づき、小坊主は慌て、しきりに髪のない頭をかいていた。一方、少し離れた林の中で隠れて見ていた同一和尚は、口元に笑みを浮かべていた。「ふふふ、どうだい、やはり師匠の力が必要だろう!」 同一和尚が出てこようとしたその時、小坊主は突然部屋に駆け込み、中から椅子を持ち出してきた。小坊主は椅子の上に立つと、やっと撞木をつかむことができた。しかし今度は力が足りず、撞木を動かすことができない。同一和尚がまた呟く。「今度こそ、師匠の力が必要だろう!」二歩ほど足を踏み出した同一和尚だったが、そこで小坊主はやっとのことで撞木によじ登り、撞木を吊るす縄を両手に持つと、身体を揺すった。ついに鐘の音が鳴り響き、寺院から町へとどこまでも響き渡った。百八の鐘の音が、世界を混沌から目覚めさせる。「どうやら、もうあの子に師匠の力は必要ないようだ!」鐘の音とともに、同一和尚は床に就いた。翌朝、同一和尚はまた鐘の音とともに目覚めた。鐘の音がやみ、同一和尚は食堂に来たが、小坊主の姿が見えない。同一和尚は心配になって、あちこち探して歩いた。すると、鐘のところで眠そうにしている小坊主を見つけた。「何故こんなところにいるんだい?」「お師匠さま、登ったら降りられなくなったのです。」 なんとこの子は、この撞木に一晩中泊まっていたらしい。やはりまだまだ師匠の力が必要なのだ。「お師匠さま、鐘をつく意味がわかりましたよ。お師匠さまを僕のところに呼んでくれるのですね。あのねお師匠さま、昨晩はね……」話が終わらないうちに、小坊主は同一和尚の腕の中で、すやすやと眠りに落ちていった。