題詩壁
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
2010
入手方法
厳さま取引
塩商
物語
文人の間で、壁に詩を書く風潮が生まれた。風潮は徐々に広がり、やがて庶民の娯楽になっていった。町の人々は、文学への愛があるかどうかは別として、壁や岩壁を探しては、文字や絵を描くことを楽しんだ。流行を楽しむ者がいる一方、困る者もいた。解読不明な何かや、意味不明な詩句。同一和尚は、寺の壁に描かれたそれを見て、頭が痛くなった。しかたなく、彼は黄色い塗料で壁を塗りなおし、落書きを覆い隠した。しかし、塗料が乾くと、壁はまたすぐに落書きでいっぱいになってしまった。同一和尚は階段に腰を下ろし、ため息ばかり吐いていた。小坊主はそんな師匠の困り果てた様子を見て、同一和尚の背中をぽんと叩いた。「お師匠さま、このままではいけません。」同一和尚が振り向くと、小坊主が大真面目な顔でこちらを見ていた。同一和尚は少し笑いそうになりながら尋ねた。「何か良い方法があるのかい、言ってごらん。」小坊主は目をキッとさせ、真剣に口を開いた。「書院の先生が仰っていました。塞いで抑えるより疏して導くべきだ、と。あえて落書きできる余白を残してみてはいかがでしょうか。」同一和尚は小坊主に親指を立てた。「お昼に饅頭を一つ増やしてやろう!」それから数日後、寺の庭にまっさらな大きな石の壁が設けられた。その横には、筆と墨と賽銭箱が置かれている。「こちらの壁は、みなさまに詩を書いていただくための場所です。どうぞご自由にお書きください。」題詩壁は毎日一回掃除するだけで、賽銭箱はすぐにいっぱいになった。小坊主も食事に饅頭を一つ増やすことができ、同一和尚は毎日楽しく笑っていた。