花見手水(2023春)
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
7510
入手方法
厳さま2023春限定建築
物語
李家の妹は小さい時から病弱で、病床を離れることができず、ただ通りを行き来する人々を窓から眺めることしかできなかった。春に生まれた彼女は、春が好きではなかった。寒い時期は家に閉じこもっていた誰もが、春になれば、軽装に着替えていそいそと出かけていく。その様子を窓辺から見るしかない彼女は、いっそう自分の命のはかなさを思い知らされた。その日、庭はひときわ賑やかで、時折澄んだ笑い声が聞こえてきた。数人の従姉妹たちが楽しそうにお喋りしながら入ってきて、庭を見に来てと彼女を呼んだ。やっとの思いで扉にたどり着いた彼女の目に映ったのは、庭の長机を挟むように配された二つの香炉机と、その上を飾る色とりどりの花々だった。「今日はお誕生日でしょ?あまり部屋から出てこないから、春をここに持ってきてみたの!」「今年はお庭でお花見しましょ。来年の春は一緒に外で草合わせしようね!」病で色を失っていた李家の妹の顔に、笑みが浮かんだ。彼女は人生で初めて、春を好きになった。