酒場・杏花
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
7510
入手方法
イベント
物語
澄み渡った空の下、万物が萌え出る。暖かな風に、柳の葉が芽吹き、桃の花が庭に咲き乱れていた。杜牧は傘をさし、散歩に町を出た。霧雨の中、亭では若い男女が腰かけ、囁き合っている。男はたまごの殻をむき、タラの芽を添え、烙餅で巻いて女のほうに渡した。「世の中には、幸せな女性もいるのだな。」杜牧は心の中で呟いた。しとしとと降る雨の中、杜牧は青山に足を踏み入れた。泥が飛び散り靴を濡らす。青々とした草は、向かい側から来た人々に踏まれていた。酒と肉を持った老婦人が、杜牧とすれ違った。亡くなった夫を弔っていたのだろう。「なぜこの世には、不幸な女性がいるのだろう。」その年の清明節も、今日のような霧雨が降っていた。杜牧が酒場から帰ると、家に見慣れた姿はなく、机の上に金縷の衣だけが残されていた。それから杜牧は、毎年清明節の時期になると、杏花という酒場を探した。鬱蒼と茂る木の下で、大きな水牛が静かに草を食んでいた。その背には牛飼いの少年が寝そべり、両手を枕に雨の音を聞いている。杜牧は坂の下から顔を上げ、少年に問いかけた。「坊や、この近くに酒場は?」夢から目覚めた牛飼いの少年は、気だるげに手をあげて、前を指さした。「ほら、あそこだよ。」少年の指さすほうを見ると、杏の花の茂みから、酒旗が見えた。そしてそこで、秋娘が、杏花酒を飲んでいた。