渓山大仏
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
5010
入手方法
イベント
物語
先生が重々しく戒尺を叩くと、生徒たちのひそひそ話はぴたりとやんだ。軒と轍は視線を交わして、手に持っていた話本を引っ込めた。先生はいつも通り、みんなの勉強不足への指摘や、将来後悔することになるとかの話を並べ立て、みんながうとうとし始めると、ついに翌日の試験を発表した。そして帰り際、先生はこう告げた。「試験に合格できなかった者は、別の先生をあたりなさい。たとえ神頼みをしてもいい、この試験には必ず合格するように!」「ねえ、先生っていつもこう言ってみんなをおどかすけどさ、本当に神頼みで合格できるなら、とっくにそうしてるよね。」放課後、軒は書院の外で轍に会い、思わず文句をこぼした。轍はしばらく考えると、ふと不思議な表情を浮かべ、「一緒に来て」と誘った。それから半刻後、軒は目の前に聳える仏像を見上げて言葉を失い、しばらくしてようやく声を取り戻した。「こ……この仏像、いつできたの?見たことないけど。」「知らなかったの?ここにはもともと仏像の遺跡があって、知府さまが江南水都一の職人を呼んで修繕して、最近完成したばかりなんだ。」もう暮れ時で、夕焼けが広がる。下から見上げると、仏像は金色の衣をまとっているようだった。夕風が雲を吹き流し、さらに仏像は生気を増した。二人は仏像の足もとへ近づくにつれ、直視が憚られるほど威厳を感じた。ようやく巨大な「足」の前に立った時、二人は粛然と口をつぐんだ。言うなれば「敢て高声にて語らず、恐らくは天上の人を驚かさん」という雰囲気だった。どれほど経ったか、やがて軒は痛む首を動かし、轍の方を振り向いた。「これが神頼みってか?こんなに大きな仏様、俺たちが頼んでも耳の高さまで声が届かないじゃないか?」「えへへ、ずっと見に来ようと思ってて、さっきのを聞いて思い出したんだ。」「もう見たんだから、そろそろ帰って勉強するか。」その日から、軒と轍は急に勉強に励み出し、翌日の試験に合格しただけでなく、すぐに生徒の中でも上位になった。賢者の教えを授かったと言う者もいたが、その理由は、軒と轍自身にもよくわからなかった。