青松登高
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
3510
入手方法
イベント
物語
重陽の節句が来た。高職についている訓は、一切の客を断った。毎年この秋晴れの日になると、彼は町はずれの小山を登りに出かける。山には名もなく、観光客はまばらで、山道も静かだった。途中、菊が咲き誇っているのを見た訓は、何本か摘み、山路の退屈を凌いだ。山は低いが、登るには何時間もかかった。頂上に着いた時、既に昼すぎだった。召使いたちは、ござを敷いてから、脇へ下がった。訓は遠くを眺めながら、腰を下ろした。横の崖に生えた松が、山風に揺れている。その暗く深い色を宿した双眸は、じっと南の方角を見ていた。召使いたちは、離れた場所でひそひそと話し合った。「旦那様、また郷愁に浸っておられる。」「旦那様の故郷、北じゃなかった?」「なら、旦那様は南を向いて何を見ているのだろう?」九月九日崖登り、道にて出会う鬱金の秋菊。今は一人で地に座り、斑の両鬢思い出す。若きこの日は友と酔い、山を登って数十年。琴弾く者なき松の下、見渡す寂しき秋の空。斜陽と独り酒を飲む、雁にも届かぬこの心。