固興の鼎
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
25
入手方法
イベント
物語
孫旺財が自分の家を改修した時、庭の隅から鼎を発掘した。鼎の腹には窃曲紋という模様が彫られ、足の上部には獣の頭が飾られていた。どうやらかなりの年代物のようだ。家族は大喜びし、噂を聞きつけた近所の人々も家に集まってきた。古来より、彝器の出土は吉兆とされてきた。孫旺財はこんな僥倖が自分の身に訪れるとはいまだ信じられなかった。「旺財さん、おめでとうございます!これぞ天の恵みですよ!」「そうだ、ここで彝器なんてもう何年も出土してないのに、こんなに精巧な大鼎が出たとは!」「皆さんが日頃積み重ねてきた善行のおかげですよ!」謙虚に答える孫旺財だったが、振り向くと、自分の祖父がいつの間にか杖をついて鼎の前に立っており、隠しようもない悲しい表情をしていた。孫旺財は急いで高齢の祖父を部屋に連れ戻し、理由を尋ねた。祖父は涙をぬぐい、深く息をつくと、口を開いた。「あの鼎はもう一生見ることがないと思っていたが、また会える日が来るとはのう。」「最後にあれを見た時、ワシはまだ七、八歳の子供じゃった。あの時ワシの爺さんは高官で、前代の親王様と仲がよかったから、彼の代わりにあの鼎を守っていたんじゃ。」「その後、戦乱があって、親王様は失脚してしもうた。爺さんは鼎とワシら一家を連れてここに避難してきた。じゃが、鼎を奪おうとする者たちは、ワシらを見逃してはくれなかった!爺さんはワシらを匿いながら、それはそれは恐ろしい毎日を過ごしておった。そしてある日突然、彼は鼎と一緒に姿を消したんじゃ。」「それ以来、我が家はようやく安らかな生活を得た。だが、ワシらは爺さんを探すことを諦めていなかった。たとえ本人が見つからなくても、せめて墓だけでもと思っておったが……まあ、世の中わからんもんじゃな。」祖父は部屋を見回した。「かつて人々が奪い争ったものも、とっくに土に埋もれて、立派だった家も、今やこんなに貧しくなった。ワシが頼りないばかりに、家業を立て直すことができなんだ。大変な思いをさせてしまったねえ。」孫旺財はいつの間にか目尻に溜まっていた涙をぬぐい、祖父の手を握りしめた。「そんなことない!昔のように裕福じゃないけど、温かい家で穏やかな生活ができて、とっても幸せだと思ってる!ぜんぶ爺さんのおかげだよ!」祖父は安堵のため息をつき、それ以上何も言わなかった。三日後、二人は鼎を州府まで届け、知府はその話を聞き、「固興の鼎」と名付けた。この世が固く末永く平穏で、興業盛んであるよう願って。