雪降る石灯篭
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
25
入手方法
イベント
物語
文が寒山書院に戻って来た時、入口の石灯篭は雪をかぶり、そのそばには雑草が生い茂っていた。おかしい――文は思った。昔、番屋の章さんが毎日石灯篭を水で拭き、灯篭についた苔や霜をきれいに清めていたのをよく覚えている。「章さん、なんでこの石灯篭を毎日磨いてるの?」十年前の文はまだ青臭い学生で、生活の世話をしてくれた章さんとはとても親しい間柄だった。「寒山書院で何十年も番屋をして、子供たちが卒業して下山するのをずっと見てきた。その中には成功する子もいれば、失敗する子もいる。成功した子は大空へと羽ばたく。だが失敗した子たちにも、帰れる場所を用意してやらなきゃと思ってな……この灯篭が雪で見えなくなっちゃ、書院への帰り道がわからなくなっちまうだろう?」石灯篭を磨く章さんの皺だらけの手は、初冬の薄雪で真っ赤になっていた。「文、もし暮らしに困ることがあれば、無理はするなよ!この石灯篭を見つければ、俺を見つけたも同然だ。美味い鶏もも焼きを食わせてやるよ!」……十年後、当時を思い出した文は、初めて章さんの言葉の意味を理解した。書院の者に尋ねてみると、章さんは二年前に亡くなっていた。当然、この石灯篭を磨く人もいなくなっていた。「やっぱり、もう章さんの鶏もも焼きは食べられないんだ……」文はしばらくぼんやりと石灯篭の前にしゃがみ込んだ後、石灯篭の雪を手で少しずつ払った。石灯篭がまるで、章さんがいたあの頃のようにきれいになるまで。