双喜の木札
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
10
入手方法
ガチャ
物語
この日、恒は帰宅すると、庭に現れた大きく【喜】と書かれた一組の木札を見て、自分は本当に江柳柳と結婚するのだと実感した。あの子のことを思い、恒は微笑みを浮かべた。自分はいくつか年上で、ほぼ幼なじみのように共に時を過ごしてきた。あの子の好きなこと、何気ない癖すらも、すべて知り尽くしている。あの子が怒ったふりをした時も、一番知っているから、どんな時でも機嫌を取ることが出来た。結婚したいと思い始めたのは、いつ頃だったか。もうよく覚えていない。庭で鞦韆に乗って、風になびく衣の裾が美しいと思った時かもしれない。科挙に行くときの別れ際、あの子がさめざめと泣いた時かもしれない。その想いは、いつの間にかひっそりと恒の心の中に芽生えていた。大きな木札は二枚あり、対の縁起物を意味している。恒はそれを見て、また見て、さらに見て……自分の人生が、これ以上ないほどに満たされているのを感じた。