蓮の祭壇
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
3510
入手方法
ガチャ(封神)
物語
あの年の五月、輝は祖母のために特別な葬儀を執り行った。祖母は生前占い師で、村では有名だった。輝は祖母が引き取ってくれた孤児で、二人は二十年以上も寄り添い生きてきたが、ついに祖母は高齢で寿命を迎えた。輝は、亡くなる前の祖母が彼の手を取って色々と話してくれたことを、今でも覚えている。生きることは楽しいことであり、自分は生涯人のために占いをして、稼いだお金を使うべきところに使えたことに満足している。一片の後悔もない。自分がいなくなってからも、あまり悲しまず、楽しく暮らしていくように。葬儀のことは考えなくていい。賑やかなのも嫌だし、みんなに迷惑はかけたくない。――祖母はそう輝に伝えた。輝は涙をこらえながら祖母に応え、彼女の遺志に従って、簡素だが特別な葬儀を行った。祖母が生前使っていたもの、好きだったものを庭にある蓮の祭壇に並べ、弔問に訪れる人が誰でも祖母を思い出せるよう小さな祭壇を作った。葬儀当日、輝が思っていた何倍も多くの人々が訪れた。祖母が生前に助けた貧乏学生や、郷里の人たちばかりだった……みんなは祭壇を囲み、それぞれ祖母とどう知り合ったか話した。輝は倹約家だった祖母が、密かにたくさんの人を助けていたことを知った。誰かが祖母の生前の面白話を話し、みんなが笑いだした。池に咲いている蓮の花が、風に吹かれて小さく首を振った。まるで、みんなと一緒に笑っているかのようだった。