羨魚の池
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
3510
入手方法
桃花村の謎
物語
どうやってここに辿り着いたのか、白雲深自身にもわからなかった。微かな記憶では、道に迷い、水の音を頼りにここに来た気がする。密やかな竹を掻き分けると、水辺に小舟が一艘とまっていた。舟にはお茶が用意され、奥を覗くと、老人が居眠りをしていた。眠りが浅い老人は物音で起き、白雲深を見て、水を求めに来たのかと思い、自由に飲めと言うかのように船首の茶碗を無言で指さした。白雲深も遠慮なく、茶碗を持ち上げてごくごくと飲み干した。急須にお茶はほとんど残っていないのを見て、白雲深は老人のためにお湯を沸かそうとした。しかし、老人は手を振り、「ワシの魚を驚かすな」と突っぱねた。そう言われて白雲深はやっと、水の中で尾を揺らし水草の間を楽しそうに泳ぐたくさんの魚に気がついた。羨ましい。その感情は果たして、遊魚の気楽さに対してか、はたまた新鮮な魚をたくさん食べられる老人に対してかは、彼自身にもわからなかった。