海棠
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レベル
Lv.59
紹介
紅ちゃんの親友、蝶が旅から帰り、珍しい見聞をたくさん話してくれた。
その中で紅ちゃんが一番憧れたのは、山の上の桃林だった。
蝶はちょうど春にその山を訪れ、一面に桃の花が咲き乱れていた。名家の御曹司や令嬢たちが、色鮮やかな桃の花に囲まれながら、薄く霧がかかった山間を歩き回った。
紅ちゃんはその景色に憧れ、馬小君の前で何度も嘆いた。自分の庭に一本だけ植えられている枝垂れ桃樹が、なんともみすぼらしく思えた。
しかし、馬小君は胸を叩いて言った。
「たかが木を植えるだけだろう? そんなの簡単さ、俺だってできる。」
紅ちゃんはただの冗談かと思っていた が、翌日から馬小君は作業を始めた。彼は広い空き地を探し、そこに木を所狭しと植えた。
翌年の春、木々は濃淡様々にとりどりの花を咲かせた。
馬小君は嬉しそうに紅ちゃんを呼んできたが、紅ちゃんの反応は思ったよりよくなかった。 彼女は木に咲いた花を指さし尋ねた。
「 これ、桃の花?」
「えっ、違うのか? 同じ花だろ?」 紅ちゃんは馬小君の腕をつねった。
「よく見てみなさいよ!!これは海棠の花!」
馬小君はあまりの痛さに叩きつつも、その顔は驚きと後ろめたさに満ちていた。しかし、紅ちゃんは突然笑顔を見せた。
「まあ、海棠の花の海も悪くないわ。なんていったってこの世でここにしかないもの!」
ステータス
所要材料 | 繁栄度・環境 |
550 | 繁栄度5・環境10 |