広陵旅館
画像
ステータス
材料 | 3500 いいねのお皿 50 20 |
繁栄度・環境 | 30 |
紹介
広陵旅館の店主は、今で十八代目だ。
旅館の施設は古く、部屋には隙間風が吹き、仲居も料理人も動きの鈍い老人ばかりだった。店主としては、当人たちが仕事を辞めたいと言わない限り、いつまでも雇い続けるつもりだという。
周囲には新しく建てられた旅館がところ狭しと並び、どこも輝いている。新しい旅館は客を取ろうと、講談師や歌姫、西域の舞姫や西洋の料理人まで雇い、毎日どんちゃん騒ぎだった。その賑やかさの陰で、広陵旅館はますます淋しく見えた。
それでも、揚州に長く住む住民はみな、 広陵旅館でお茶や菓子を注文し、外の大木の下で腰を下ろし、お喋りするのが大好きだ。
店主は客たちがいつまで座っていようと気にせず、茶釜の火を入れるために、たまに足を運ぶだけだった。
強は、天文学生に合格した聡を引っ張りながら、お祝いの食事をする場所を探して歩いていた。二人は町を歩きまわり、見栄えがする店の前を通り過ぎ、やがて広陵旅館に辿り着いた。
常連たちは新しい顔を見て、興味を持った。
「お二人さん、どちらからお越しで?」
「応天府です。」
「応天府はいいとこだよな、宿は取るか?」
「いいえ、食事だけしたくて。」
客たちはさらに興奮して、「楊くん、食事だってよ!」と店主に向かって叫んだ。
そして店主は、大きな肉団子料理を運んで来た。さっぱりとした汁に入った大きな肉団子の美味しそうな匂いに、聡と強は思わずよだれが出た。二人は食べ終わると、他の客がまだこちらを見ていることに気づいた。
口を開こうとすると、「なぜこの旅館を選んだんだ?横には新しい旅館がたくさんあるのに。」と先に問いかけられた。
聡は少し考えると、「ああいう旅館はどこにでもありますが、広陵旅館はここにしかありませんから。」と答えた。
強も、「広陵旅館には、他の旅館にない風情を感じます。」と添えた。
客たちは微笑んだ。なぜなら広陵旅館は、揚州でもっとも人間味のある場所だからだ。
ここが開店した頃から、かつての住民は初代の店主と親しく、そしてその関係は、変わりなく代々伝わってきた。
たとえ世がどう変わろうとも、広陵旅館はいつまでも、揚州の住民がのんびりお茶を飲める場所であり続けるだろう。