瑶台宮
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
35 10
入手方法
ガチャ(輝煌)
物語
女官の月牙にとって、瑶台宮は人生で一番の思い出の場所だ。
あの頃の彼女は、まだ宮中で働き始めたばかりだった。
花が咲き誇り木の若葉が萌える様子や、人々の美しい出で立ちに感動を覚え、その裏で渦巻く陰謀など知る由もなかった。それゆえに、瑶台宮に配属された当初、周りからの同情の眼差しの意味を理解できなかった。
運命はいつでも善良な人の味方だ。彼女は瑶台宮で最も幸せな十年間を過ごした。瑶台宮に住む妃は多芸多才であった。彼女に「月牙ちゃん」と名付け、琴を聴かせ、読み書きを教え、時には草でウサギやイナゴを編み、楽しませてくれた。瑶台宮を訪れる客は少ないが、彼女たちは全く気にしなかった。
彼女たちは庭の空地に果樹を植えた。井戸の横に植えられた桃の木は、露井桃と名付けられた。その名は、唐の詩人王昌齢の詩「昨夜風に開く露井の桃、未央の前殿月輪高し。平陽の歌舞新たに寵を承け、簾外春寒く錦袍を賜ふ」にちなんでいる。
この楽しい日々は永遠に続くかと月牙は思っていたが、妃が亡くなったあの冬、すべてが終わった。
瑶台宮はもう長く誰も住んでおらず、月牙も他の宮殿に配属され、当初の天真爛漫な気分は最早失われていた。
ただ、毎年春、桃の花が咲き乱れる頃になると、月牙は決まった時間に瑶台宮の外に姿を現す。壁からはみ出る春景色から、桃の花を一本切り落としに……