緑園の怪石(2024春)
概要
レア度 | 画像 | マス |
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効果
7510
入手方法
厳さま2024春限定建築
物語
数年ぶりに、璟は再びこの馴染み深い庭園に足を踏み入れた。気がつくとその怪石のそばまで歩いていた。
時は仲春、そこには昔のように盆栽などの草花が置かれており、茶机には茶盃、 地面には本が散らばり、全てが記憶の中とそっくりだった。まるで昨日も彼女はあの人とここで本を読んだり茶を点てたりしていたかのよう。
風景は昔と同じでも、人はとうに変わっていた。
璟は深いため息をつき、出会いから別れまで、全ての過去を思い切って振り返ってみた。
すると、今まで決して触れることができなかった、もう忘れたと思っていたことが、こんなにも鮮明に覚えていることに気づいた。
石の隙間を抜け、咲き誇る桃の花を見た。
璟は突然、昔その石の隙間に挟まれた桃の苗木の運命を嘆き、こんな環境では大きく育つかすらわからないと感傷的になったことを思い出した。
あの時、あの人は彼女の手を握り、その苗木は彼女が思っていた以上に生命力があり、それが生き残りたいと思えば、どんな厳しい環境でも耐えられると慰めて くれた。まるで彼ら二人の関係のよう に。
「私たちの関係のように、ね。」璟は思わずつぶやき、自嘲の笑みを浮かべた。 何年もの時が経ち、小さかった苗木に花が咲いたが、彼と彼女は、とうにあの年の春風の中ではぐれてしまった。