残雪の楼園(2022冬)
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
7510
閑人住宅
入手方法
厳さま2022冬限定建築
物語
ある冬至の日、杭州に雪が降った。町中の住民にとって、それはとてもめでたいことだった。若い男女は傘をさして湖畔を散歩し、子供たちは雪だるまを作ったり雪合戦をしたりと楽しんでいた。霜の父が官を辞して家に帰ってからというもの、以前ほど豊かではなくなったが、一家の生活はより楽しくなっていた。しかし、父親が見合い話を持って来てから、霜は憂鬱になっていた。今日は大雪だ。降りしきる真っ白な雪が、霜の気分を少し慰めてくれた。追いかけっこをしてはしゃぐ子供たちを眺めながら、霜は呟いた。「こんなに楽しい日々も、もうすぐ終わってしまうのね。」 堤防に積もった雪を踏みしめると、キュッキュッと音が鳴った。北風が霜の髪を乱す。その髪の先には雪の結晶がついていた。湖のほとりは冷えこんでおり、服でしっかりと体を包んでもなお、冬の寒さは骨身に応えた。あたたかな良い匂いが道端から漂ってきた。見ると、湯気に白く包まれた屋台があり、冬の中でも暖かそうだった。霜はその匂いにつられるように、屋台に近づいた。煮えたぎる鍋の中に、小さな団子が浮かんでいた。まるで子供が投げていた雪玉のようだ。「すみません、湯円をください。」霜は椅子に座り、椀の中の湯円を覗き込んだ。湯気が広がり、凍えて赤くなった小さな顔に、春のような暖かさを感じた。湯円を二つ口に入れ、膨らんだ頬を両手で揉む。父親といたずらをしていた子供の頃に戻ったような心地がした。降りしきる雪の下、湯気に包まれた小さな店の中からうっすらと見える後ろ姿があった。あの時に見た、江南の霧雨の中遠ざかっていった姿と似ていた。「もし、お嬢さん、これはあなたの傘でしょうか。」霜の背後から声がした。振り返ると、そこには雪まみれの男が立っていた。その傷だらけの手には古びた傘が握られていた。男の目には、頬をぷくりと膨らませた女の子が映っていた。